Retrospective...

イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

北へ~津軽篇 

2005-02-12 | できごと。
函館を、スーパー白鳥10号がしずしずと出ていきます。まだ、朝7時。
夜明けの早い北国ですが、ひっきりなしに降り積もる雪で、周囲は薄暗い感じがします。

僕らはすでに、この時点で朝食をすませていました。
函館朝市の食堂へ行ったのです。道南食堂は函館では超メジャーとのことですが、
朝市のどんぶり横町が改装中で、お店がほとんど開いていないというのもありました。
でも何はともあれ、ミックス丼、ほっけ、鮭ハラスなどを朝からヘビーになるほど食べました。
うに、イクラの美味しさは言うまでもなし。

その後函館~青森~弘前と移動し、今日の第2のハイライト・津軽鉄道へ乗るべく、五能線で
五所川原へと到着です。

太宰治ゆかりの地を走る、津軽鉄道。
ご存じの方はいらっしゃるかと思いますが、ここには「ストーブ列車」が走っています。
それに乗りに行ったのですが、なんと観光客が多すぎて、座りきれないという事態が発生。
昨日の函館に続いて、意外なほどの観光客の多さでした。

ストーブ列車は、古い客車(旧型客車)の車内にだるまストーブを設けてあり、
風情と懐かしさでいっぱい。
石炭で燃やすストーブは身体が火照るくらいの暖かさ。そして、車窓は地吹雪。
地元の商工会の観光アナウンスの話す、彼らの優しい津軽弁。

僕らは途中、金木駅で下車。ここには、太宰治の実家(斜陽館)があるのです。

太宰治...本名津島修治。今年で生誕95年になります。
津軽屈指の大地主の六男として生まれた彼は、むしろ大地主の子であることに
屈折した罪意識を抱くようになりました。
「しかし私は賎民でなかった。ギロチンにかかる役の方であった」...
「自分は罰せられなければいけない」と...。

足下から身体を冷やすような寒風の中、
裏寂しい駅前から歩くと見えてくる津島家の偉容。
太宰の家は、想像以上に大きかった。
階下11室278坪、2階8室116坪、付属建物や泉水を配した庭園など合わせて
約680坪の大豪邸。

「斜陽」「HUMAN LOST」...そして「人間失格」などの、
読み耽った、太宰の作品が頭をよぎります。

この閉鎖的な家と、意外なほど開放的で瀟洒な津軽という土地が、太宰を作った。
その断片に踏み入れることが出来て、良かったです。

>>斜陽館、なんとかして行きたかったところでした。
だから、着いたときは感無量でした。
時間を、お金をかけてでも行く価値がある。
そう思いました。

>>津軽は、たしかにうら寂しいところでした。
でも、町に流れていた三味線の音色は胸に染み渡り、
こころの奥にある<日本人の源流>のようなものを
ブルブル震わせる魅力がある土地でした。

コメント (4)
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