奇跡の生還へ導く人―極限状況の「サードマン現象」 | |
ジョン ガイガー | |
新潮社 |
ジョン・ガイガー「奇跡の生還へ導く人 極限状況の『サードマン現象』」を読む。ヒマラヤや極地や大海原に挑んだ探検家や冒険家の中には極限状況に直面した時、自分とは別の人間がそばにいて、助けてくれる「サードマン現象」という不思議な体験をする人がいるという。南極のエンデュアランス号漂流で有名なシャクルトンは、最後にサウス・ジョージア島を横断する時に、仲間の三人以外の四人目の存在を感じていたし、史上最強の登山家ラインホルト・メスナーはナンガパルバットで弟のギュンターを失った後、同じような体験をしたという。極地のように環境が外界と隔絶されており、風景も動作も単調で、刺激のうすい日々が長期間続くと、サードマン現象を体験しやすいという。
興味深かったのは、探検家や冒険家によるこうした体験と、宗教の始まりの間には、なんらかの共通点がありそうだという指摘である。山野井泰史さんも言っているように、極限的な冒険は精神的な要素が強い行為である。現在だと、こうした現象を体験しても脳認知学や神経学、心理学による解釈で説明を試みるだろう。しかしもし、初期のキリスト教の修道士やチベット仏教の隠者が山岳や洞穴で瞑想中にサードマン現象を体験したら、そこに神や天使の姿を見るはずだ。つまり現代の探検家や冒険家が体験している状況は、世界の真理を見つけるために荒野に向かった昔の修道士や行者の体験に近い、ということである。
かくいうわたしも、チベットのツアンポー峡谷を長期間、ひとりで探検している最中、あれは心身ともに衰弱しきった22日目のことだっただろうか、険しい岩壁をロープで下り、せまい岩場のテラスで一息ついた時、右奥のほうに白いぼんやりとした人間の形をした「存在」を、たしかに……感じなかった。正直言って、この本を読んで残念だったのは、自分がサードマンを見られなかったことである。確かな存在感があり、安らぎを感じさせてくれ、生きのびるためにはどちらにむかったらいいか、何をしたら教えてくれる、それがサードマン。まったく信じがたい話であるが、どんな感じがするのか非常に興味がある。一度でいいから体験してみたい。
ちなみに著者のジョン・ガイガーは、最近読んだ極地ものの英書、「Frozen in Time」の共著者でもある。なんだか、世の中せまいな、と思ってしまった。
はじめてブログ読みました。
新しいものから読んで、ここまでさかのぼってきましたよ。
そして、サードマンに会いたがってる角幡さんを発見して驚きました。
仰るとおり、極限状態である探検の時に、自分のスピリットガイドやハイヤーセルフを視覚として感じる人がいるのは、とても納得です。
でも、探検していなくても、瞑想が非常に深まって、本当に答が欲しいと思っていることがあれば、その存在と対話することは、ふつうの場所でも体験することは可能ですよ。
そういう存在とコンタクトをとりたいなら、
北極に行かれる前に、ぜひもう少しスピリチュアルな世界に意識を開いてみてください。
言っときますが、スピリチュアルとは、宗教とは全く関係ないことですから、勘違いのないように~。宇宙の真実は、信念や宗教に関わらず一つです♪