これが見納め―― 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景 | |
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みすず書房 |
『銀河ヒッチハイク・ガイド』で有名なダグラス・アダムスの『これで見納め』を読む。マウンテン・ゴリラ、キタシロサイ、ヨウスコウカワイルカなど絶滅危惧種を見るため世界中を旅行したルポ・エッセー。邦訳版が発売されたのはこの7月だそうだが、著書は2001年に亡くなっており、原著の初版刊行は1991年だという。20年前の作品なので、ニュージーランドで電話のダイヤルが反時計回りだとか、細かい部分で時代のギャップを感じる。
『銀河――』を読んだとき、個人的には、この人のユーモアのためのユーモアみたいな文体があまり好きになれなかったが、この本では、その過剰なユーモアが、動物たちの本質を正確に記述するための有効な手段となっている。もちろん、アダムス独特の、一見斜に構えた、深い洞察があってのことだが。一番よかったのはゴリラの章。ゴリラの迫力と知性を描写した部分は最高だ。
アダムスファンと旅本好きには、格好の本だろう。