宇宙創成〈上〉 (新潮文庫) | |
サイモン シン | |
新潮社 |
サイモン・シン「宇宙創成」を読む。古代ギリシアの哲学者たちが考えだした宇宙観が、科学史的な暗黒時代だった中世を経て、いかに現代のビッグバン宇宙論にまで辿り着いたかを、シン独特のどんな科学音痴でも理解できる巧妙な語り口で紡ぎだしている。
高校時代、数学や化学はいつも赤点、化学にいたっては隣の生徒の答案をカンニングしたら、そいつが予想以上に出来のいいヤツで、自分もついでに学年5番くらいの点数を取ってしまったことがあるほどの理系音痴の私でも、アインシュタインの一般相対性理論を理解できたような気になるからサイモン・シンは恐ろしい。
昔、シンのデビュー作「フェルマーの最終定理」を読んで、数学者というのはなんてカッコいいんだろうと感銘を受けたことがあったが、今回もどうして自分は宇宙物理学者の道を志さなかったのか、少し後悔した。このブログを読んでいる少年少女は(おそらくいないだろうが)、探検家ではなく宇宙物理学者をめざすことをオススメする。
ちなみに現在、北極圏バフィン島の町イカルイットに滞在中。気温はマイナス25度から35度ほど。いまのところ寒さよりも空気が乾燥していることの方がつらい。カナダ入国以来、のどの痛みが収まらない。この国の人ののどはいったいどうなっているのか、不思議で仕方がない。
明日から訓練のため、ちょっと長めのキャンプ生活に突入する予定である。