バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

村岡マサヒロさん個展『ピエーポ!』に行ってまいりました。

2013-05-16 | アート・文化

火曜日、先日ここにも記した村岡マサヒロさんの個展『ピエーポ!2013』を見るため目白のファンキーなセレクト本屋さん『ポポタム』へ行ってまいりました。

130514_1604_2

なんとこの日が最終日!ほんとギリギリ都合がつきました。良かった~。

久しぶりに村岡さんにも会えて楽しかった。なかなか会えるわけやないきねー。開口一番「最近は三鷹に行けてなくって…」と村岡さん。「いやいや、せっかく東京に来て無理に遠い三鷹まで足を運んで頂かなくても…」と恐縮するワタクシ。

今回は正面になかなかブラックな新作カルタ(これがもっと何度もゆっくり見たかったくらいに深く笑える逸品揃い)がずらっと並べられ、右に今回の書き下ろし『ピエーポ』や子どもたちとの回し書き作品。左に『裸眼ドローイング』(視力がとても低い彼が、ハンデを逆手にとり裸眼で対象物を見て書いた作品。モンクのジャケットなんて最高!)。入ってすぐの壁には『絵金祭り』絵くらべに出品された村岡版絵金屏風(絵金作品の保管トラブルを起こした熊本県を恐ろしい熊で現したなんともファンキーでパンキーな大作。)と盛り沢山。居合わせた方々ともお話する機会があったりと楽しい時間を過ごしました。

130514_1642_5

ひと通り見終わった後、彼の作品のファンである自分としては、興味深い展示の数々から改めて漫画家村岡マサヒロさんの作家性を感じ、感慨深く眺め直しました。

デヴュー当時からの彼の本筋?のアンダーグラウンドでどぎつめのテイスト、そして『きんこん土佐日記』。一見かなり手触りが違うのですが、よく見るとどちらも彼の本気の作品。多くの人に愛されている「きんこん」をとても大切にしつつ、これまで時間をかけて作り上げてきた~時に血が飛び散ったり、エログロ?だったりもする作品に向かう時間も保ち続ける。ここに漫画家としての志の高い姿を感じました。
両テイストに共通して流れる、ブラックユーモア?批評性があってこそ、時事ネタを扱う新聞漫画として『きんこん土佐日記』がこれだけ幅広い支持を集めているのだと思います。

会場の片隅に無造作にドサッと置かれていた高知新聞の山。「これは?」とのお客さんの問いに「こういう感じで掲載されているんです、という例として…」と応える村岡さん。「掲載された新聞全部保管しているんですか!!」とお客様。曖昧に応える村岡さん。気になっていたのは自分も同じ。その新聞は2011年の震災の日からしばらくの新聞でした。きんこんの掲載された夕刊のみならず朝刊もありました。生々しい見出しの数々…。写真。
3月11日の夕刊掲載作は震災発生前の締め切り。翌日からは押し寄せる圧倒的な現実の中で彼が悩み考え、描いたであろう作品が続く。安易に無難なものを描くわけでも、声高に何かを訴えるわけでもなく、自分の作家性と現実の中でギリギリの折り合いをつけ人の心に迫るものを描いている。
それは、一見異なるテイストの作品を書き続けてきた漫画家の本領発揮ともいえる感動的なものでした。僕は当時、一連の作品群を見た時の記憶がありありと蘇ってきました。

作品だけではなく彼は、何かを説明的にアピールするのがあまり好きではないのでしょう。もしくは、そういうことをしない創造者でありたいと思っているのだと思います。
なので、こんなことを書かれるの好きではないかな、とも思ったりしています。
どうしようかな、と思いました。
でも、新聞を開いて、瞬時に当時の空気や匂いを思い出した僕は書かずにはいられませんでした。この時期の作品は『きんこん土佐日記』7巻に収録されています。

130514_1643

※写真は来場者プレゼントでもあった高知、いの産のリサイクルトイレットペーパー『やりこいロール』。ネットでも販売中です。

ともあれ村岡さんにビールを頂き(暑かったから嬉しかった~)立ち話をした時間はとても楽しかった!
忙しいとか言い訳せずに行って良かったです。個展用の新作『ピエーポ!』の2年前の『ビリけつアウトドア』も素晴らしかった!読むと登山したくなりました♪『きんこん』最新刊も買いました。
こんな素晴らしい時間を2年に1度提供してくれる『ポポタム』なんて素晴らしいんだ。ありがとうございました。
そして村岡さん楽しい時間をありがとうございました。

高知に居なくても『きんこん土佐日記』をリアルタイムで!
WEB版(1週間限定/日曜更新)も見てみいや~。