映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

ニューヨーク、愛を探して

2018年01月20日 | 洋画(18年)
 『ニューヨーク、愛を探して』をヒューマントラストシネマ渋谷で見ました。

(1)ネットの紹介記事などを見て、なんとなく良さそうだなと思って映画館に行ってきました。

 本作の冒頭(注1)では、リグビーセルマ・ブレア)が、カメラにフィルムを入れたりして撮影の準備をしています。
 次いで、ライブ会場。
 リグビーは、舞台で上半身裸で歌うリード・ヴォーカルのクインルーク・ミッチェル)を狙って、そのそばを動き回りながらシャッターを切ります。

 次いで、リグビーのモノローグ「母親の感覚を持ったのはいつ?」「世界の見方を決めた時」「私はその瞬間を覚えている」。
 そして、幼い頃のリグビーと母親との会話が挿入されます。
 幼いリグビーが、アパートの窓を見て「あれは何?」と尋ねると、母親は「額縁よ」「あの部屋では、クリスマスツリーを作っているの」などと答えます。
 そして、リグビーのモノローグ「どの額縁にも物語がある」。

 今度は、下着デザイナーのジョージナミラ・ソルヴィノ) の部屋の中。
 ジョージナが鏡に向かって化粧をしています。
 同居しているモデルのセバスチャンクリストファー・バックス)が、「化粧品はいつでも持っている」「そんなメイクの仕方では台無しだ」などと話します。

 ジョージナは、自分がデザインしたブラのことで、TV番組に出演します。
 MCが「いままでにない製品と思いますが、どういうコンセプトで?」と尋ねると、ジョージナは「より美しいシルエットを作り出しながらも、値段はお手頃なところに」と答えます。
 さらに、MCが「下着のままでも街を歩けそう」と言うと、ジョージナは「機能性とファッション性が重要です」と答えます。

 番組が終わると、セバスチャンは「上出来だった」と言います。

 こんなところが本作のホンの始めの方ですが、さあここからどのように物語は展開するのでしょうか、………?

 でも、本作で映し出される物語のあまりの酷さに、呆気にとられてしまいました。
 例によって、主人公(注2)は、今や羨望の的のカメラマンで、それも女性。登場する男性は、皆女性の添え物的存在。そして、ニューヨークで暮らす相互にあまり関係がない5組の母親と娘の関係が綴られます(注3)。どの話も似たり寄ったり。映画料金を返してくれと言いたくなります。

(2)例えば、カメラマンのリグビーは、上記(1)でも記したように、バンドのリード・ボーカルのクインのライブ活動などを写真に収めていて、彼から1年間ツアーに同行して写真を撮ってくれないかと言われ、大いに張り切ります。
 彼女は、妊娠が判明しても(注4)、ツアー同行を優先するために、中絶を考えます。そうしたところ、クインが、泥酔している女の子をレイプしようとするのを目にして、その女の子を救出する一方で、たちどころに中絶は取りやめにして、歳をとった時に一人きりになるのは堪えられないという理由から、子供を産むことになります。
 でも、見ている方は、「エッ、そんなに簡単に考え方を変えてしまうの」「事務所を開設して大々的にやっていこうという計画はどうなるの?」などと思ってしまいます(注5)。

 おまけに、クインの方は、リグビーの剣幕に気負されたのか酷く反省して、離れて暮らしている母親に電話して、「今、自分は危機に瀕している」「どうか、一緒に暮らして、自分を見守ってほしい」などと、マザコン全開の願い事をする有様。「上半身裸でロックを歌っている時のあの姿はいったい何なんだ」と言いたくもなります。

 また、レベッカクリスティーナ・リッチ)の場合、産まれた時から母とされた人が実際には祖母であり、叔母(母の妹)だと言われていた人(ベスコートニー・コックス)が実のところ母だと最近になって判明し、20年以上にわたって親が子供に嘘をついていたのかと怒って、家を飛び出してしまいます。
 ですが、すぐ後に、最近亡くなった祖母の残してくれた謝罪の手紙を読み(注6)、祖母が230万ドルもの大金を自分と弟・トニー(注7)に残してくれたことがわかると、たちどころに両親との関係は元通りの円満なものに戻ってしまうのです。
 まるで、大金を手にした途端に、2人の子供は、それまで頭にきていたことを綺麗サッパリと水に流してしまった感じなのです。
「何なんですかこの話は!」と叫びたくなります。

 とてもこんな底の浅いつまらないお話に付き合ってはいられないと、さすがのクマネズミも、後半になると眠気に襲われました(注8)。
 要すれば、との話も、当初、重大な葛藤が母娘間にあるように見せながらも、しばらくすると、ホンのちょっとしたきっかけで両者は和解してしまい、結局ハッピーエンドで終わるというパターンの繰り返しでしかないように思えます。
 少なくとも、5組の物語にもっと繋がりをつけて、例えば、カメラマンのリグビーがどの話にも登場するといったような何かしらの工夫を凝らすべきではないのか、と思いました。それでも、つまらなさは救い難いでしょうが(注9)。



(注1)監督・原案はポール・ダドリッジ(本作が監督デビュー作:なお、この記事によれば、Nigel Levyとの共同監督とされています)。
 脚本はペイジ・キャメロン。
 原題は『Mothers And Daughters』(2016年)。
 なお、本作は、2017年8月にWOWOWで放映されているようです。

 また、本作でゲイルエヴァ・アムリ)の母親役を演じるスーザン・サランドンは、『ランナウェイ 逃亡者』や『ソリタリー・マン』で、見ています。

(注2)リグビーは、主人公というよりも、本作に最初に登場する女性にすぎないともいえます。

(注3)ただし、下着デザイナーのジョージナの話は、ファッション雑誌編集長・ニーナシャロン・テート)とその娘のレイラアレクサンドラ・ダニエルズ)との話に繋がってきますが。

(注4)リグビーは、元の鞘に収まりたいと言って別れていったばかりの男との間にできた子供を妊娠したのでしょう。

(注5)加えて、妊娠している自分を診てくれたイケメンの産科医コンラッドデイヴ・バエズ)と、リグビーは一緒になってしまうなんて(まあ、これはご愛嬌でしょうが)。

(注6)母親のベスがレベッカを妊娠した時の年齢は15歳で、相手のピーター(大人になってからポール・アデルステイン)も17歳。それで、祖母は二人の仲を引き裂いて、レベッカを娘として育てざるを得なかったという事情が手紙には書かれていました。

(注7)よくわからないのですが、レベッカの弟ケニーは、誰がいつ生んだのでしょうか?
本作によれば、ベスの相手だったピーターは、長い間軍隊に入っていて、その間ベスとは交際していなかったようなのですが。それに、ケニーに対しては、祖母やベスとの関係をどのように言っていたのでしょう?本作では、ケニーも、レベッカと同じように、ベスやピーターの態度を怒っているようなのですが。

(注8)尤も、こうした感想を抱くのは、クマネズミが本作の細部を誤解しているからかもしれませんし、あるいはクマネズミが男性であるためなのかもしれませんが。

(注9)本年1月18日にTBSTVで午後8時から放映された番組「メイドインジャパン」では、5歳と7歳の幼い姉妹だけでイギリスへ“はじめてのおつかい”をする話が取り上げられていました。
 もう少し言えば、母親の強い反対を押し切って日本に嫁いできてしまい、母親との関係が険悪になってしまった娘が、自分の幼い子供たちに日本の「こたつ」を届けてもらって、母親との関係をよくしようとする話です。実話ベースの話であり、登場するのが幼い姉妹であるという点で、本作で描かれるいろいろなエピソードよりも、一つだけでもずっと感動的に思えました。
 〔ただ、実際には、幼い姉妹に同行した番組スタッフの方から様々なサポートがあったように思われ、ある意味で“やらせ”なのかもしれませんが〕



★★☆☆☆☆

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