映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

ロボット

2012年06月17日 | 洋画(12年)
 インド映画『ロボット』を渋谷TOEIで見てきました。

(1)インド映画については、以前、『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1998年)を見たところ、その無類な面白さに驚いてしまい、本作もきっと面白いに違いないと期待して映画館に出向きました。

 本作はSF物。
 主人公のバシー博士(ラジニカーント)は、恋人サナアイシュワリヤー・ラーイ)とのデートの時間をも惜しんでひたすら研究に励んだ結果、自分と瓜二つのロボットを制作するのに成功します。
 ですが、この画期的な成果を妬んだ恩師のボラ教授は、ロボット制作の許認可権を握る機関で影響力を持っていることをいいことに、認可にあたり、そのロボットが善悪の判断が出来るようにすることという条件を付けました。
 そこで、バシー博士は、再び寝食を忘れて研究に没頭し、遂に善悪の判断が出来る感情を持ったロボットの開発にも成功します。
 すると、あろう事か、このロボットは、バシー博士の恋人サナを心底愛するようになってしまうのです。そればかりか、戦うことよりも愛を解いてしまうロボットになってしまったために、バシー博士が一番の売り込み先と考えていた軍も受入を拒否してしまいます。
 怒ったバシー博士は、このロボットを破壊し廃棄処分にしてしまいます。
 他方、それを知ったボラ教授は、捨てられたロボットを回収し、逆に殺人ロボットに作りかえてしまいます。すると、そのロボットは、バシー博士の恋人サナを結婚式場から奪い去るだけでなく、ボナ教授も殺してしまい、さらには自分のレプリカを大量に作り出して、軍隊と対峙するようになります。サアどうなることでしょうか、……?

 元々は3時間近い3D映画を、日本用に2Dで139分にまで短縮したせいでしょう、以前見たインド映画ほどには熱気が感じられませんでした。沢山のロボットが登場するにしても、皆CGで描かれたとなると、迫力は大いに減じてしまうものです。
 それに、ハリウッド映画まがいのカーチェイスの場面が長いとなると、随分と製作費はつぎ込んでいると思われるものの、新鮮さが余り感じられません。
 それでも、『トランスフォーマー』といったハリウッドのSF物なら巨大なマシン怪獣が登場するはずのところに、ロボット集団が描き込まれているのは見ものでした。

 主役のバシー博士を演じるラジニカーントは、10年以上昔の『ムトゥ 踊るマハラジャ』でも主演でしたが、63歳の今でも当時と変わらぬ元気さで、映画の中でさすがの活躍振りを披露しています。



 また、相手役のサナを演じるアイシュワリヤー・ラーイは、初めてお目にかかる女優で、38歳ながら、ミス・ワールドに選ばれた美貌は衰えることなく、そのセクシーな輝きに圧倒されました(注1)。




(2) と、ここまでは、日本向けの短縮版を見た際の感想です。
 実は同じ映画館で同じ映画を5月の後半に見たわけですが、その後になって完全版が2週間だけ限定公開されるとわかりました。
 それも当初公開されたものより40分も長く、さらにはブラジルやペルーのマチュピチュのロケの場面がふんだんに盛り込まれているとの話。
 当初公開されたものに何か飽き足らなさを感じていたわけでもあり、おまけにブラジルが舞台となっているのですから、これは見なくてはと勇躍再度同じ映画館に足を運びました。

 ただ実際に見てみると、マチュピチュの方は行ったことがあるので親しみがあるものの、ブラジルで舞台となった場所は、期待に反して当時私が全く耳にしなかった砂漠地帯ですし、おまけにマチュピチュもブラジルの砂漠(注2)も、映画のストーリーとは全く何の関係もないという有様。

 でも、全然がっかりはしませんでした。むしろ、これこそがインド映画の真骨頂なのではと思いました。
 なにしろ、マチュピチュでは、映画のヒーローとヒロインが大勢のダンサー(皆インカ帝国の服装をしています)に混じって「キリマンジャロ」(注3)という曲に乗って、インカの遺跡のあちこちで激しく歌って踊るのです。



 またブラジルの砂漠では、ヒーローとヒロインが、白い砂漠をバックにこれまた歌い踊ります(注4)。
 こうしたものにストーリーなど不要でしょう(注5)。
 それに、当初公開された映画だって、一応のストーリーはあるものの、狙いは専ら歌と踊りのように見えます〔途中の激しいカーチェイスも、車のダンスと見なせるでしょうし、ラスト近くの悪のロボットたちの攻撃の様もロボットと警官隊との群舞ではないでしょうか(注6)?〕。
 そんな中に、さらにマチュピチュとブラジルの砂漠におけるダンス・シーンが付け加えられるのです!
 これらはCGではありませんから、『ムトゥ 踊るマハラジャ』同様の熱気と興奮が見る者にびんびん伝わってきます。

 結局このインド映画を短期のうちに2度見たわけですが、2度目は1度目以上の面白さを感じ、途中全く飽きることなくおしまいまで大層楽しく見ることができました(なお「完全版」といいながらも、3D上映ではないのはどうしたことかと思いましたが)。

(3)渡まち子氏は、「完全に突き抜けた域に達した娯楽作で、でたらめさを楽しむのが正しいお作法だ。昔の泥臭いインド映画を思えば随分と洗練されたものよとしみじみしつつ、マサラ・ムービーの王道を満喫させてもらった」として60点をつけています。
 また、佐々木貴之氏は、「あらゆる映画のジャンルを取り入れ、エンターテイメント性を全面に押し出して観る者を存分に楽しませてくれる本作は、ハリウッド作品以上に素晴らしいアクションも描けるということを証明できたのだ」として80点をつけています。





(注1)産後の激太りから元の体型に戻っていないとの報道もあるようですが。

(注2)ブラジル北東部にあるレンソイス・マラニェンセス国立公園の中に広がっています。
 その画像については、例えばこのサイトを。

(注3)この歌(「Kilimanjaro」)の歌詞の中に、「キリマンジャロ、モヘンジョダロ」といった掛詞が出てくるので笑ってしまいます。
それだけでなく、このサイトを見ると、意味不明ながら、歌詞の中にたくさんの韻が踏まれている様子がわかります(たとえば、“Kilimanjaro、Kanimanjaaro、kuzhimanjaro”とか、“mohanjadoro、nozhanjadaro、kozhanjadaro”)。

(注4)この歌(「Kadhal Anukkal」)の歌詞の中では、「君はハチミツの中の刺激的なワサビ」(字幕によります)といったよくわからないフレーズがくりかえされますが、このサイトによれば、それは「Ho! Baby .. O Baby Senthenil Ossav」のところに該当するのでしょう。

(注5)ブラジルの白い砂漠での歌と踊りは、バシー博士とサナとの諍いが昂じて破局かと思われたところ、最後のキスを何回もしているうちによりが戻って破局契約書が風に吹き飛ばされて、というところで突如として始まります。
 また、マチュピチュでの歌と踊りも、海岸で漁師にあわやというところから逃げ出したサナにバシー博士が合流したところから突然始められます。

(注6)なにしろ、悪のロボット(ボナ博士によって殺人プログラム・チップを埋め込まれたチッチィのたくさんの分身ロボット)の集団が、球体になったり壁を形成したり、蛇になったり竜になったり様々に変身するのですから。




★★★★☆



象のロケット:ロボット

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