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The Ban Dynasty FU

【香港:社会】グランドプロムナード(嘉亨灣)公称面積変更事件

2005-11-29 11:28:20 | 【香港:社会】
 2003年のSARS騒ぎにより落ち込み、冷え切った香港の不動産市場をもりあげた立役者があった。それは香港東地区に颯爽と登場した豪華マンションのグランド・プロムナード(嘉亨灣 Grand Promenade)なる不動産。売価が強気の1スクエアフィート当たり6,000~10,000香港ドル以上という「ムード盛り上げ価格」で話題になり、前年のSARSによる買い控えもあってか反応は上々、2005年の不動産景気上昇ムードのきっかけとなったものである。

■グランド・プロムナード 発売当時は大きな話題に


 ところがこのグラプロ、実は「政府と業者結託?」と疑われてもしかたがない問題行為があったという。新築マンションの延べ面積に応じて、もともと政府所有の空き地だったところを「住宅用地」として利用目的を変更するのに差額(手数料)をデベロッパが払うわけだが、「嘉亨灣」デベロッパがその土地を購入した際に、「マンションの他、隣接する水上警察の施設の一部、公道ロータリー整備も行う」と契約に書かれていた。ところが、土地を管理する役所の「地政署」が「このロータリーはサイズが中途半端で役に立たない」と、設計がよくなかったことを発見。それでデベロッパは2万平米の土地を公共施設用に変更する計画を出したのだが、一方で住宅を管理する役所「屋宇署」は、政府のチョンボだったのでゴメンネと、なぜか10万平米以上の「住宅のべ面積」を追加で許可していたのだ。
 これはどういうことか。 政府と業者が土地売買の契約をした。契約内容が政府の都合で変わっちゃった。政府が「すまんかった。ついては特別にマンションをもっと造ってもいい許可をあげちゃう」と弁償金がわりに(別にデベロッパは損してるわけでもないのに)特別サービスしちゃった。というわけ。

 土地を売却したあとに設計仕様の変更があった場合、「政府の都合による変更によって建築面積が増加した分の地価差額追徴」は定められていない。だからぶっちゃけ「もっとマンション数を増やしていいよ」と役所から許可をもらっても、業者は手数料がかからずに、より多くのマンション物件を作って売り、儲けることができる。政府・屋宇署は他の部門から「それはおかしい」と言われていたのに「まあ、いい」と受理してしまった。結果として香港政府は、本来なら得られるはずの「1.25億香港ドル」もの地価差額をとりそこねていた。これが今年11月中旬の政府調査報告で発覚したのだ。

 1.25億ドルを、あらあらで香港700万人として分配計算すれば、ひとり17.86香港ドル。香港市民全員がタクシー一回のって(ワンメーター)、テンポのティッシュが1袋買えてまだ余るのである。あるいは「ウエルカム」で歯磨き粉CREST(白)が一本かえちゃうのである。( `3´;)・∴ブー 




 それだけではない。デベロッパは政府に納める1.25億ドルを浮かせただけではなく、それによって増築したマンションを販売できるのだから、計算上は10億香港ドルもの増収があるわけなのだ。なんと美味しい話。

 公僕として政府の得るべき収入を「取り損ねた」責任者はだれか。いまやり玉に揚げられているのが前屋宇署署長・梁展文氏である。彼は香港の役人らしく「責任からノラクラにげまくり」。香港の立法會でも証人喚問に出席するのを拒否した。立法会の議長はその特権をもって木曜日に強制出頭させることに。梁氏もこれに同意した。

■渦中の人物:梁展文氏

(写真は新浪網より失敬)

 梁展文氏はこの事件が裁判になる関係で、帳簿の内容についての質疑応答を拒否。政府部門のひとつ、房屋及規劃地政局の孫明揚局長は自分の部下である梁展文(現在は同局の常任秘書長)に対して、立法會の政府帳目委員会会議にでるよう訓令を出したのだが、梁氏は出席はしたものの、上記の理由でダンマリを決め込んだ。(´-ω-`)

 普段なにもしてないと評判の、あだ名「ファッ×ユーおぢさん」黄宜弘議員が議長をつとめる同委員会は、「ノーコメントばっかりでは話にならない。ちょっと10分間休憩」と中断されてしまった。この日はあくまで「梁展文氏らを任意で出席してもらった」だけなので何も口を割らせることはできない。そこで、黄宜弘議長は法で定められた「特権」を行使。木曜に梁展文氏を「強制出頭」させて、「尋問」することに。この場合、梁氏は「ノーコメント」は出来ず、きちんと答えなければならない。さもなくば違法行為となる。めずらしくカッコイイところを見せている黄議員である。

 渦中の人物・梁氏によれば、政府の部門である審計署が今年4月~10月に行った「嘉亨灣疑惑」の調査について、当局は自分に連絡もしてこなかったと主張。なにも知らされず、なにも意見を言う機会もなかったのに、調査報告書の中で自分が悪者にされているのは不公平だと反発。梁氏本人は今月1日になって、現屋宇署長から調査報告書の「最終原稿」のコピーが送られてきて、その中で事件を知ったという。すでに、それは「最終案:今後変更なし」版で、自分がこれをみて意見をいったり訂正することもできなかったのだと嘆いている。

 「嘉亨灣疑惑」では政府・審計署の調査報告書によると、当時の責任者である梁展文氏(当時・屋宇署長)の時代に、道路(ロータリー)計画の変更から、同署の建築事務監督が最終的に、自らが持つ決定権を行使して、「変更があってすまんかったので、代わりにマンションを沢山たててもいいよ」と許可。他の部門は「いくら道路計画がわるかったからといって、その土地にマンション立てさせるという変更はやりすぎだ」と批判していたが、結局許可して、増加した建築のべ面積については差額追徴がなかった。そんなわけで、政府がこのデベロッパから得るべき『補地価』(更地を住宅用地にするために地価が上昇するのでその差額の追徴のこと)で1.25億香港ドルとりそこねてしまった、と指摘している。

 また政府各部門が協調性がなかったためにこのような問題が起きたことも見逃せない。土地に絡む仕事でも、いろいろな部署があって、それぞれてんでばらばらなことをしていたのだとわかってしまった。

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