たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

金融リスク二の舞? <CLO ローン担保証券、金融庁が調査>などを読みながら

2019-03-12 | 金融経済と合理性・倫理性

190312 金融リスク二の舞? <CLO ローン担保証券、金融庁が調査>などを読みながら

 

大手金融機関は超低金利政策が長期化する中、IT決済やビッグデータ活用などの世界情勢もあって、支店統合などさまざまな対策を講じてきたようです。他方で、本来の金融商品開発なり投資や金融のリスク管理が進歩したのか疑問を感じるようなニュースを目にしました。

 

今朝の毎日記事<CLOローン担保証券、金融庁が調査 景気悪化時、不良債権化リスク>です。

 

CLOって耳慣れないことばですが、<企業向けローン担保証券>のことです。用語解説では次のように説明されています。

<低格付けの企業への融資を束ねて証券化した金融商品。米国では多額の債務を抱えるなど財務状況に劣る企業が年4~6%程度の高金利で銀行から融資を受けたり、社債を発行したりして資金調達している。引受先の金融機関は債務不履行などのリスクを分散するため、複数の債権をパッケージ化し、CLOとして投資家に販売している。>

 

証券を構成しているのは低格付けの企業への融資の束ですか、その企業というのは米国では財務状況に劣る企業で、年4~6%程度の高金利で融資を受けているといのですから、これあのリーマンショックのとき問題になったサブプライムローンと類似の構造ではと疑いたくなります。

 

米国の株高傾向が変調を示すような動きが昨年来続いています。

<SMBC日興証券などの調べでは、米国でのCLO発行残高は2018年末時点で6200億ドル(約69兆円)となり、リーマン・ショック直後の08年末に比べて約2倍に膨らんだ。>ずいぶん危うい金融商品が傍聴して破裂間近な印象にも見えます。

 

他方で、邦銀はCLOの世界残高の10%も保有しているというのですね。まあ米国に限った調査ではありませんが。

<外資系金融機関の調査によると、3メガバンクなど大手7金融機関グループの昨年末のCLO保有残高は計約11兆円に上る。英イングランド銀行(BOE、中央銀行)によると、欧州での発行分なども合わせた世界の残高の約1割を邦銀勢が保有しているという。>

 

CLOはサブプライムローンとは性質が違うという評価のようですが、まったく同じなら誰も相手にしないでしょう。手を変え品を変えるのがこの膨張する市場の特質ではないでしょうか。本質に違いはないように見えるのですが、その違いを明確にステークホルダーに示してきたのでしょうか。

 

すでにバブルがはける懸念が顕在化しつつありますね。

<CLOも米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ路線の継続を打ち出していた昨年12月には、市場価値が急落し、元本割れする商品が相次いだ。>

 

だいたいわが国の金融庁は後追い行政と揶揄されることもありますが、こののような邦銀のCLO依存率を承知していたのでしょうか。

<こうした状況を受け、金融庁も年明け以降の定例検査で、大手7銀行グループのCLO投資の実態調査に着手。各金融機関のリスク分析・管理体制を点検するほか、リーマン・ショック級の市場危機が再来した場合に想定される損失規模も確認している。さらに3月末からは、国内の金融機関や大手証券会社がCLOを含めた証券化商品に投資する際の自己資本規制を厳格化する。>

 

<大手行などは「邦銀が投資するCLOは格付けが最上位の安全な資産で、現時点で債務不履行の可能性は低い」とする。>ということですが、アナリストが指摘するように、急落のおそれを否定できる根拠をお持ちでしょうか。

 

だいたい低格付けの中で、最上位といっても、それだから安全な資産というのは、相対的評価に過ぎず、この金融商品のもつリスクをどのように自ら判断しているのでしょうか。格付け企業の評価自体、リーマンショックの時信頼性に乏しいことがあることを経験したはずです。格付け自体を前提にしつつも、自らの投資リスクを合理的に審査してきたのか試されていると思うのです。

 

CLOは<証券化商品>の一つです。このネット情報の説明では<ローンやリース、不動産など、将来一定の収益が見込める資産を裏付けとして発行される有価証券のことをいいます。これは、金融機関や企業などが保有する金銭債権や不動産などの特定の資産を切り離し、その資産が生み出すキャッシュフロー(現金収入)を裏付けに発行されるものです。>とのことです。

 

そしてその価値評価については<証券化商品には、個別性が強い商品が多く、通常、流通市場での取引量は限られており、取引価格(時価)の評価は必ずしも容易ではありません。>ということで、大手邦銀といえども、その評価を的確にするのは容易でないでしょう。上記記事で引用されているように、格付け会社の評価に相当依存しているのではないかと思われます。

 

そのリスクについてサブプライムローンでようやく身にしみたわけでしょうけど、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」というのでしょうか、「天災は忘れた頃にやってくる」(まあこれは人災でしょうけど)というのでしょうか、リスクについてはあまり考えたくないのが人情というか、人の性でしょうか。

 

それは企業経営ではあってはならないのですが、現実の社会では往々にしておきていますね。

 

上記情報では<今日では、証券化商品の投資にあたっては、高度なリスク管理の必要性が強く認識されるようになっていますが、一方でその対応は必ずしも十分にできているとは言えません(まだ不十分な面も多い)。>と言われていますように、どうも対応が的確に行われているのか心配です。

 

金融庁の検査に期待したいところです。私のわずかな預金に特段、影響はないものの、日本の金融市場が危うくなっては困ります。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。


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