【続く「行人」「こころ」とあわせ後期三部作とされる。修善寺で生死の間を彷徨い、五女のひな子の急死などに直面したあとの小説。人間の心の奥の苦悩と愛の不毛を描く。主人公の川田敬太郎が聞き手としてさまざまな登場人物を引き出す6編の短編と「結末」からなる。長編小説の新しい手法の先駆と位置づけることができる。】
>「彼岸過迄ひがんすぎまで」というのは元日から始めて、彼岸過まで書く予定だから単にそう名づけたまでに過ぎない実は空むなしい標題みだしである。
・・・だそうで、初め同じ下宿の森本との話は読んでいてよく分からなかったし、どういう話なのか見当がつかないもんで、なかなか話に入り込めず(ただの集中力の問題?)ちょっと苦労した。けれど、友人須永の叔父田口に頼まれて探偵のようなことをする話や須永といとこ(田口の娘)千代子との話などから次第に面白くなってきました。
大学を出て未だブラブラしている敬太郎が同じ下宿の森本やら、友人の須永やら、須永の叔父やら、須永のいとこの千代子やら、千代子の叔父やら、の話から、世間を(少~し)知るという形の小説となっております。
千代子が幼いいとこの死を目の前にした話などは、人はなんとまあ簡単に死ぬんだと思ったし、探偵している場面はなかなかスリリングでもありました。それに、人は見かけだけじゃわからない、それぞれの物語をもっているというようなことも思ったりして・・・。
ただ、須永は何というかめんどくさいというか、自尊心が強いというか、自分に自信がないのに(それゆえ?)千代子に対して素直になれないというか、うじうじして吹っ切れないというか・・・・
その性格の根っこに母親との関係があったようだけど(!)、でもな~それはそれ、まあ人それぞれ色々ありますね~。
人間、あれこれ考えすぎるとあんまりよくないのではないかと、思ったりもします。しかしまあ、人間(の心)って、なんと複雑でめんどくさくて難しいものなんざんしょ。^^;
敬太郎さんには、人の話を聞くだけじゃなく、今後は自分自身が主人公になるべく、色々と経験を重ねていってほしいものでございます。(何でもいいから働け・・^^)
先に「こころ」を読んでしまったけど、もう忘れてるからもう一度後期三部作に挑戦!
星4つ
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