白夜の炎

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原発コストの際計算―菅首相

2011-07-20 13:35:11 | 原発
 菅首相が原発のコストを再計算すると表明した。

 当然である。

 万が一の問題も、核廃棄物の最終処分も一切コストから排除していた今までのやり方が正しいわけがない。

 ようやくまともな話が議論にのってきたと思う。


 「原発コスト「かなり高いもので再計算」…首相

読売新聞 7月20日(水)13時17分配信

 菅首相は20日午前の衆院予算委員会で、原子力発電所の発電コストについて、「根本から検証しなくてはならない。原子力は現在よりかなり高いもので再計算しなくてはならない」と述べ、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえて見直す考えを明らかにした。

 首相は「これまでのコストでは今回の事故は想定されていなかった。最終処分地、原発立地費用なども考えると現在の現実とは大きく違う」と指摘した。海江田経済産業相は「再検証結果は(公に)出す」と語った。

 経産省の2004年の試算では、原発の発電コストは1キロ・ワット時あたり4・8~6・2円で、石油火力(10・0~17・3円)などより安い。ただ、高速増殖炉「もんじゅ」などの研究費は含まず、大規模な事故の補償も想定していない。
最終更新:7月20日(水)13時17分」

中島氏に賛同―政策では菅首相を支持すべき

2011-07-18 14:31:48 | 原発
 中島聡氏が以下のように書いている。

 ポイントは菅首相の政策は、脱原発を図り、経産省の権益を切り崩し、東電にやるべきことを要求している、というのに尽きる。

 私も大いに意を強くしたので支持したい。

 氏のブログもどうぞ→ http://news.livedoor.com/article/detail/5715457/

「先日も書いた通り、多くのマスコミはこれほど重要な政策の変更を首相がぶち上げたにもかかわらず、その議論をそっちのけで政局(政治ドラマ)ばかりを報道している。そんなマスコミに踊らされて数ヶ月おきに首相をひっかえとっかえしているから、日本の国際政治の舞台での存在感が薄くなってしまうのだ。

 今、われわれ国民が注目すべきは、そんな政治ドラマではなく、日本の将来をきめるエネルギー政策そのものである。脱原発の是非、東電の破綻処理、被災者の補償、福島の子供たちの被曝問題、原発の安全管理組織のありかた、原発に変わるエネルギーをどう確保するか、などの個々の具体的な政策に関して、国民一人一人が理解し、議論を戦わせ、できるかぎり民意を反映した形での政策運営を政府がするように働きかけることが大切だ。

ちなみに、エネルギー政策に関して、原発事故後に菅首相の打ち出した政策を時系列順に列挙すると以下のようになる。

従来の原発中心のエネルギー政策の白紙撤回

ストレステストを停止中の原発の再稼働の条件にする

原発に依存しない国を作るという「脱原発宣言」

原子力安全保安院の経産省からの切り離し

東電が拒否しつづけている遮蔽壁の早期着工指示

 日本の首相が、ここまではっきりと国民の意思を代表して、国民の利益のために既得権者からの権利を奪おうと政策転換をはかることは日本の歴史上きわめてまれな行動である。

 今この段階で、われわれ国民が菅首相をサポートせずに「民意を反映した政策の大転換」はありえない。私自身、決して民主党支持者でも左翼でもないが、今回にエネルギー政策に限っては菅首相をサポートすべきと考えたのは、これが理由である。


ちなみに、せっかくここまで菅首相を持ち上げたのだから、ワガママを言わせていただく。この勢いで、以下のような政策を打ち出していただきたくようお願いする。

東電の破綻処理(100%減資、債務・年金・退職金カット、一次国有化、経営陣の一新)

被災者の補償責任の東電から政府への移行

経産省次官、原子力安全保安院院長、原子力安全委員会会長の解任

東電の分社化、発送電の分離、発電ビジネスへの競争原理の導入

火力発電への段階的なCO2課税の導入

高速増殖炉プロジェクトの白紙撤回

 特に東電の破綻処理は、被災者に対する早急な補償という面でも、発送電の分離を実現するためにも、早急に実現すべき。今のままの東電を救済したら、被災者の補償はますます遅くなるし、発送電の分離など不可能になってしまう。東電が、決算書に1000億の建設費用を将来の負債として乗せたくないだけの理由で(本来なら地下水の汚染を避けるために1日でも早く作るべき)遮蔽壁を工程表に乗せずに先延ばしにしているのも、何とか政府にコストを負担してもらおう、今の会社の形を維持したまま救済してもらおう、という「甘え」である。ここは財務省がどんなに反対しようと、破綻処理をして国民の負担を最小にすべきである。

こんなことを言い出せば、大手マスコミの「菅おろし」の声はますます高まるだろうが、そんなものは無視すれば良い。民意を反映した、本当に日本の将来のことを考えた政策を出し続ける限り、国民はついてくる。

もんじゅをめぐるヤフー・リサーチの結果

2011-07-16 16:09:11 | 原発
 ネット調査は、回答者が偏りがちなので、どの程度に評価すべきか問題がありますが、もんじゅについて、ヤフーのリサーチでは以下のような結果が出ていました。

 (http://i.yimg.jp/i/topics/clickresearch/roll_blogparts_tate.swf?poll_id=6884&typeflag=1,150,410)

原子力関係者、告発される。

2011-07-16 15:44:30 | 原発
 広瀬隆・明石正二郎氏による原発加害者に対する刑事告発の記事。

 すでに紹介していた刑事告発が実行に移された。(http://blog.goo.ne.jp/baileng/e/289f1d44030f6987cb8cfc5be02a8aad)

 素晴らしい。私は支持します。

 「21世紀日本、最悪の人道犯罪を引き起こした張本人たちが一斉に刑事告発された。

 主役たちとは東京電力の勝俣恒久会長はじめ最高幹部3人、原子力安全委員会の斑目春樹委員長、寺坂信昭・原子力安全保安院長ら(以上Aグループ)、福島県放射線健康リスクアドバイザーの山下俊一・長崎大学大学院教授(※)、高木義明文部科学大臣ら(以上Bグループ)。


 黒澤映画も顔負けの豪華出演陣だ。登場するのは悪役ばかりの惨劇だが。

 Aグループの罪名は業務上過失致死傷、Bグループは業務上過失致傷で、両グループ合わせると被告発人は32名にものぼる。

 告発したのは ジャーナリストの広瀬隆と明石昇二郎氏。両氏は今月8日付で上記32名を東京地検特捜部に告発した。

 告発状によると主役たちの罪状は次のようなものだ――

●東電(勝俣会長ら)は、いったん原発事故が起きれば多数の一般住民を被曝の危険に晒すことを知りながら、そうした事態を避けるための措置を怠った。さらには「原発安全神話」をふり撒き、危険性を指摘する学者、ジャーナリスト、市民に攻撃を仕掛けた。

●原子力安全保安院(寺坂院長)は、同院所管のワーキンググループ委員から原発を襲う津波の危険性を指摘されていながら、その対策を東電に講じさせなかった。

●原子力安全委員会(斑目委員長ら)は、事故防止のために万全な措置を講じるよう東電や安全保安院に指示しなければならないにも関わらず、この任務を放棄した。

 「浜岡原発運転差し止め裁判」の際、斑目委員長は「再循環系が複数同時に破断し、同時に緊急炉心冷却系が破断することも考えるべきではないか?」と問われ、「地震が起こった時に破断することまで考える必要はない」と答えている。(裁判で問われていたことが福島第一原発で実際に起きてしまった。これが任務放棄として告発されているのである)

●福島県放射線健康リスクアドバイザーの山下教授は、放射線専門家として子供らの安全を図る義務があり、速やかに子供らを避難させなければならないにもかかわらず、ずっと放置していた。一般市民、児童、生徒、学生らの避難と放射性物質による被曝からの防御対策をサボタージュした。

 告発人の広瀬隆氏は「チェルノブイリ以上のことが起きている。彼ら(被告発人32名)をはっきり悪党と呼ぶ。はっきり呼ぶ」と奥歯を噛みしめた。

                   (つづく)
 ◇
(※注):山下俊一氏は7月15日付けで福島県立医科大学副学長に就任。」

本当の原発コストを考えよう。

2011-07-15 19:32:50 | 原発
 以下のサイトが原発コストの実態に迫っています。

 かなり長いものですがぜひとも一読を。
 
 「原子力“低コスト神話”覆すシンプルな計算法」

 http://president.jp.reuters.com/article/2011/07/14/67B2B3DC-A7B2-11E0-8ABD-9C113F99CD51.php

「本当の原発発電原価」を公表しない経産省・電力業界の「詐術」

2011-07-15 19:21:07 | 原発


「フォーサイト POLITICS

「本当の原発発電原価」を公表しない経産省・電力業界の「詐術」

塩谷喜雄 Shioya Yoshio

科学ジャーナリスト

爆発後の福島第1原発3号機原子炉建屋[東京電力提供]=2011年3月21日【時事通信社】

 この国では、「安定した復興」とは元の黙阿弥のことを指すらしい。政治家たちの錯乱ぶりに隠れて、原発と電力の地域独占は何の検証も経ずに、今まで通りそっくり継続される気配が濃厚である。

 福島の事故が打ち砕いた原発安全神話に代わって、経済産業省と電力会社が流布するのはもっぱら原発「安価」神話だ。

 火力や水力に比べ原発の発電原価が断然安いという、架空の、妄想に近い数字が幅を利かせている。

 評価も監視も放棄した新聞・テレビは、今度も懲りずに虚構の安価神話をただ丸呑みして、確かな事実であるかのように伝え、社会を欺き続けている。

 日本経済が沈没するとすれば、その原因は原発停止による電力不足や料金高騰などではなく、行政と業界が一体となった利権と強欲体質の温存が主因であろう。

すでに世界は変わっている―再生エネルギーが主流へ

2011-07-15 18:01:48 | 原発
 ワイアードビジョンが、再生エネルギーが原子力を上回り、エネルギー問題は新たな地平に達しつつあると伝えている。

 日本では再生エネルギーというと電気代がどうのこうのと言っているが、そのような議論、あるいは発想が自体が時代遅れなのである。

 といってもおそらくは再生エネルギーつぶしで原発利権を守るためのキャンペーンなのだろうから言ってみても仕方ないが。

 是非とも以下のサイト・記事を一読してみてください。

 http://wired.jp/2011/07/14/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%90%84%E5%9B%BD%E3%81%A7%E5%86%8D%E7%94%9F%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%81%8C%E6%80%A5%E5%A2%97%EF%BC%9A%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%A7%E3%81%AF%E5%8E%9F%E7%99%BA/



「再生エネルギーへの投資が増大し、価格が低下している結果、世界全体のエネルギー市場が変化しつつあるという傾向を示す報告書がこのほどふたつ発表された。

 まず、米Bloomberg社のNew Energy Financeグループは、国連環境計画およびFrankfurt School of Finance and Managementと協力して、再生可能エネルギーに対する投資の包括的概観をまとめた。

 この報告書によると、水力発電を除く再生可能エネルギーは、昨年世界全体で増大したエネルギーのおよそ35%を占め、エネルギー全体の5%以上を生み出した。再生可能エネルギーに対して行われた投資(合併や買収などの事象は除く)は1,870億ドルに達し、化石燃料発電所への支出に着実に近づきつつある。支出額の差は、740億ドルから310億ドルに縮まった。このペースなら、今年か来年には再生可能エネルギーへの投資額の方が多くなるだろう。

 再生可能エネルギーのコストはかなり下がってきている。風力発電技術はすでに非常に成熟しているが、それでも発電量に対するコストはこの2年間で18%削減された。さらに太陽電池のコストは、この期間に60%も下がった。

 資金供給の額は、先進工業国よりも、発展途上国における実用規模のプロジェクトの方で多くなっている。この変化を後押ししているのは中国で、同国の投資額は約30%増加して490億ドルに達した。

 米国は60%もの急増を遂げたものの、中国には大きく後れを取っており、投資額はおよそ250億ドルにとどまっている。ただしこの額は第2位のポジションを守るには十分だ。

 ドイツでは、大規模プロジェクトへの政府主導の投資が数年間行われた結果として、屋上型や同様の能力を持つ太陽光発電が爆発的に増大した。

 小規模の太陽光発電は現在ドイツの投資の大半を占め、同国をこの分野で世界第2位の地位に押し上げている。同様の傾向は、イタリアやフランス、チェコ共和国など、ほかのヨーロッパ諸国でも見られた。

 再生可能エネルギーは、BRIC諸国(B:ブラジル、R:ロシア、I:インド、C:中国)以外でも重要な要因になりつつある。

 中南米諸国の投資は3倍の60億ドルにのぼり、その他のアジア諸国では30%増加して40億ドルとなった。だが、最大の増加を見せたのはエジプトとケニアが上位を占めるアフリカで、投資額はおよそ5倍の36億ドルに達した。報告書によると、「通信用のタワーに太陽光発電が使われるようになってきている」という。

 一方、米国エネルギー情報局は毎月、国内のエネルギー経済調査を実施しているが、最新の報告書(6月分)には少々驚くべき内容が記載されていた。

 今年最初の3カ月では、再生可能エネルギーが原子力エネルギーを上回ったというのだ。原子力発電所で発電された電力は、過去数年間およそ8.4京BTUで維持されているのに対して、再生可能エネルギーは目覚しい成長を続けており、昨年は8京BTUを少し上回っていた。

 再生可能エネルギーの数字には、風力と同様にこの10年間で著しい成長を見せたバイオマスも含まれている。

 これまでのところ、太陽光発電はほとんどこの数字に影響を与えていないが、太陽光発電と集光型太陽熱発電の両方で、主要な実用規模のプロジェクトが複数稼働しているため、近いうちに状況は変わるだろう。

TEXT BY John Timmer
TRANSLATION BY ガリレオ -天野美保/合原弘子