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日本経済再生に移民政策は不可避=ケネス・ロゴフ氏/ロイター

2016-01-20 10:25:16 | 社会
「[東京 21日] - 世界で最速の部類に入る人口減少速度と世界最大の過剰公的債務問題の組み合わせは、日本経済にとって極めて有害だと、ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は指摘する。人口問題解決には移民問題への取り組みが不可避であり、経済再生にケインズ主義的な刺激策が役立つと考えるのは「ナンセンスだ」と説く。

同氏の見解は以下の通り。

<人口問題解決なくして構造問題解決なし>

人口動態は宿命だ。人口減少問題に取り組むことなしに、日本が長期の構造問題を解決することは不可能である。

日本は、欧州に比べれば、非常に大きなアドバンテージを持っている。フランスの前期高齢者(young old、65―74歳)は引退を望んでいるが、日本のその年齢層は働く意欲がある。ただ、これだけでは、大きな助けにはなるが、十分とは言えない。

日本は、働いている母親たちの環境を良くするために、大きく前進する必要がある。例えば、ジョブシェアリングの制度を整えたり、テレコミューティングなど在宅勤務の選択肢を改善したりすることなどが考えられる。

さらに、移民問題に取り組むことは不可避だ。日本は最近、就労目的の在留期間を最長5年に延長することなどによって、例えば外国人の建設労働者に(事実上)門戸を開いた。大阪などの一部地域では、家族ごと受け入れる実験的試みも行われている。しかし、やるべきことはもっとたくさんある。医療や介護の現場などでは、外国人労働者に対するさらに大きなニーズがある。

私は、人口動態をめぐる問題が、とてもデリケートな社会問題を包含していることは理解している。日本は、自国の強みのすべてを残しつつ、人口を増加させる諸方策を見つけることが重要だ。

<ケインズ主義的刺激策はナンセンス>

日本はまた、長期にわたって財政の脆弱性にも対処しなければならない。世界最大の公的債務(国民所得に対する比率)と世界で最も速い部類に入る人口減少速度の組み合わせは、極めて有害なものだ。ケインズ主義的な刺激策が、抜本的な構造改革よりも、日本経済を再び成長させるカギだと信じている人もいるようだが、それはまったくナンセンスだ。

日本は、過剰な公的債務が低成長としばしば関連している「パブリック・デット・オーバーハング」の典型例だ。巨大な赤字は時間的猶予を与えてくれるかもしれない。しかし、それは長期的な問題解決策ではない。

*ケネス・ロゴフ氏は、ハーバード大学教授(経済学、公共政策)。ニューヨーク連銀経済諮問委員。2001年から03年まで国際通貨基金(IMF)のチーフ・エコノミスト兼調査局長。10代からチェスの名人として世界的に知られ、国際チェス連盟から国際グランドマスター(最上位のタイトル)を授与されている。カーメン・ラインハート氏との共著に「国家は破綻する 金融危機の800年」(日経BP社刊、原題はThis Time Is Different)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2016年の視点」に掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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http://jp.reuters.com/article/view-kenneth-rogoff-idJPKBN0U309Q20151221?sp=true


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