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なぜ対北朝鮮政策は失敗するのか/中央日報

2016-02-12 17:58:28 | アジア
「 社会主義経済と体制移行を専攻した筆者は、短くない外国生活を終えて2003年に帰国した。北朝鮮を本格的に研究したかったのが主な理由だった。しかし現実は期待と違った。研究に必須のデータが少ないだけでなく公開されることもなかった。さらに北朝鮮問題は理念に透徹した戦士たちがうようよいる戦場になっていた。学問の空間は極めて狭かったが、票計算に明るい政治家が活動するにはこの上なくよい舞台だった。学者たちも権力者の極めて常識的な一言が真理であるように、これを忠実に反映して対北朝鮮政策を作れば高位職に簡単に登用されるようだった。

事実を知らなければ票と理念が支配する。その当時、与党(現在の野党)の数人の国会議員とスタディーグループをした専門家から聞いた話は衝撃的だった。彼らは北朝鮮経済が危機に陥った理由が米国の制裁のためだと信じているということだ。制裁によってペンティアム級コンピューターも輸入できないため、どうやって北朝鮮経済が成長するのかということだった。しかし北朝鮮の危機は制裁でなく悪い体制と制度によるものだ。今まですべての社会主義経済は危機に陥り、資本主義に移行しなければ危機を抜け出せなかったという事実は、例外のない法則だ。さらに丹東に一度でも行ってみれば、北朝鮮はペンティアム級コンピューターをはじめとするほとんどすべての制裁品目を自由に買っていくのを簡単に確認できたはずだ。理念と票に目がくらんで作った政策が実効性を得られないのは当然だ。

学習しなければ言葉だけの対策を立てる。10年ほど前に世界的な学者を招聘し、社会主義経済体制の移行に関する国際学会を組織し、関連部処の官僚の出席を要請したことがあった。返ってきたのは拒否だった。北朝鮮を刺激する可能性があるからだという。優れた専門性を持つ学者の研究成果を学習し、これを政策に反映するのは官僚の義務だ。学校で開かれた学会への出席まで北朝鮮が監視すると信じるほど公務員のセキュリティー意識は透徹しているだろうか。北朝鮮問題のように創意的な解決策が必要なテーマについて学習意欲さえ持たない政府と政治家に、何を期待できるだろうか。

急造の政策は失敗する。前政権の初期の話だ。非核・開放・3000政策を標ぼうした政府部処の高位関係者に数人の専門家と一緒に会った。専門家はこの政策の実現可能性が低いとみて、これを現実化させる案があるのか心配していた。その公職者はすべての準備は完了し、あとは実行さえすればよいと述べた。しかし翌日、部処の実務者から電話で連絡があった。非核・開放・3000を実現させる案について研究してほしいということだった。少なくとも韓国政府の実力を信じたかったが、希望は完全に崩れた。おそらく選挙キャンプで主に保守性向の有権者の票を意識して短期間に作った政策だったはずであり、その実現の可能性をどれほど考慮したのだろうか。政府の対北朝鮮政策の成果があったとすれば、準備できていない政府の原則論は貧弱な成果に帰結することを確認させた程度だった。

朴槿恵(パク・クネ)政権の対北朝鮮政策は上の経験から学ぶべきだった。事実を基礎に、学習を通じて具体的で緻密な政策と戦略を出さなければならなかった。にもかかわらず、韓半島(朝鮮半島)信頼プロセスという、創造経済ほど概念があいまいで作動の可能性が疑わしい政策を出した。このため機会の時期である政権の序盤に対北朝鮮政策を積極的に展開できず、戸惑った。その後、ドレスデン宣言を通じて内容を一部具体化し、統一テバク論(テバク=bonanza、大もうけ/大当たり)で統一に対する国民の共感を広める成果もあった。しかしこの提案がむしろ北朝鮮に現政権の統一論を吸収統一と信じさせる結果をもたらした。信頼というものはお互いやり取りする過程を通じて形成されるが、大統領は「我々は急進吸収統一を追求しない」という発言さえも惜しんだ。友邦である米国の専門家さえも韓国政府が推進する統一案と戦略が分からないと首をかしげる。これも戦略的あいまい性なのか。それとも学習せず疎通しない政策決定者の失敗なのか。

失った歳月のために韓半島が迎えるかもしれない残忍な歳月を考えれば気が重い。北朝鮮が追加の核実験をしないと信じていたとすれば、それは無知であり、外交という貧弱な腕にだけ頼って非核化が可能だと信じていたとすれば蒙昧だ。4回も北朝鮮が核実験をし、光明星ミサイルを発射するまで、我々の政治と政府は同じ失敗を繰り返した。政治は対北朝鮮政策を票と理念で汚染させ、学習しない政府は瞬発力でのみ政治に奉仕してきた。こうしたレベルの対北朝鮮政策で我々と我々の子どもたちをセウォル号より大きくなるかもしれない災難から救えるだろうか。私の心にはもう一つのセウォル号が沈んでいる。

キム・ビョンヨン・ソウル大経済学部教授 」

http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=211915&servcode=100§code=120


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