白夜の炎

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中国の列車より日本の原発

2011-07-27 16:14:54 | 報道
 中国の高速列車の事故以来、日本のメディアは盛んにその安全性や政府・鉄道省の対応を取り上げている。

 確かに中国を訪問する日本人は多いし、高速鉄道の利用も一般化していくであろうことを考えれば、その安全性や鉄道当局の対応に注目せざるを得ない。

 ことに今回のように止まっている列車に追突するとか、事故現場の車両を土に埋めたとか、さらに数日も間をおかずに運転を再開したなど、理解しかねる事態が起きている。

 しかしそのような事態に対しては、中国のメディアや、中国人自身が十分怒っているように見える。

 また日本以外の海外メディアも様々に批判的な論評を載せている。中には今回の事件以前から、高速鉄道のあり方に?を投げかけるものもあった。(→http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/13502)

 今回の事故で内外から厳しい視線を浴びせかけられた中国政府が、何もせずに事態をやり過ごせるとは個人的には思っていない。人民日報の日本語版にもかなり厳しい論説が―普段とはだいぶ異なるトーンのものが―のっていた(http://blog.goo.ne.jp/baileng)。これはすぐ下の記事なので参照していただければ幸いだ。

 ただこの事故はあくまで中国での出来事だ。日本のメディアはそろそろ日本国内の大問題、収束しない福島原発の状況、民・自・公の野合で提出されている"東電救済法案"(一応賠償法案であるが実態は救済だと思う)の問題点や、一向に始まらない復興、それを阻害している要因等について、具体的に報道すべきではなかろうか。

 また消費税増税を画策する財務省の目論見が何を結果する危険性があるかについて、きちんとした調査をすべきである。

 さらに国民生活基礎調査で相対的貧困率が16%となり、調査開始以来最悪になったことも報じられた(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/index.html)。ワーキングプアの問題も、非正規雇用の問題も、フリーターもニートも母子家庭も、全て積み残しにされているのだ。

 国内に報道すべき、きちんと検証すべき多くの課題があるのは明らかだ。

 中国の高速鉄道については特許の問題などで、あれこれ感情的なレベルでも反感があおられている気がするが、そんなことをメディアがして、何かこの国の将来についてよいことを期待できるのだろうか。

 特許の問題については日中間の契約がどうなっているかを具体的に調べて報道するのが第一だろう。

 大手メディアは他国の欠点をあれこれあげつらうような報道をするより、自国の深刻な問題点をきちんと調べて報道してほしい。

 


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