尖閣諸島において、中国のフリゲート艦が日本の自衛艦に対して火器管制レーダーを使用したか否かが大きな問題になっている。
日本側は中国の艦艇が日本の自衛艦に対して火器管制レーダーを使用したとして、「武力による威嚇」に当たると抗議。
これに対して中国側は国防部が事実関係を否定するとともに-火器管制レーダーではなく監視用レーダーを一定時間使用しただけと主張-、外交部報道官は、⑴日本側が事実をねつ造していること、⑵中国側は自国領域-尖閣周辺-で通常の行動を行っているのに対して、日本側が不当に艦船を派遣して行動している、と非難している。
まず前者については日本側が証拠を示すと言っているが、これもおそらく決定打になることはないであろう。
むしろ注目されるべきは第二点である。
中国は尖閣は自国領土であり、日本側が「国有化」という措置によって、日中間の「棚上げ」という暫定措置を一方的に破棄した以上、中国側の艦船航空機がどう行動しようと自由だし、そのための措置を取るのは当然だ、という立場である。
いまや日本側が長年主張してきた「実効支配」自体が揺らいでいるといえよう。
このままの事態が進めば、やがては実効支配が覆されることになろう。、例えば海兵を上陸させ、標識を設置する…などとなった場合、なんらかの対抗措置がとれるのか。
中国側が反撃したときどうするのか。
とまあこのような心配すれば際限がない。どこかで妥協点を見出さなければならないのだが、その努力が欠けている。あるいは全く不十分だと思う。
例えばこの件をめぐる日中両国内における世論の動向は全く逆方向である。
私も含めて大半の人々は生のデータを確認したことはないわけであれ、またそれについて判断できるほどの専門的能力もないわけだが、どちらの国においても驚くほど-メディアも含めて-各々の政府の主張を信じてそれに従って判断している。
日本側については日々のニュースなどを見れば一目瞭然なので、中国についてみるとたとえば以下のようなものがある。
環球時報はいわば中国の産経新聞だが、その中には http://mil.huanqiu.com/game/diaoyudao.html というページがある。これはゲームで日本の艦船を沈めて得点が上がるというものである。
どの程度のアクセスがあるのか分からないが、中国に行くと、日本兵を殺すウォー・ゲームがごく普通に人気を博している。その一環だろう。おそらく中国人にはさしたる違和感はないはずである。
このほか様々な記事への読者の反応を見ても、例えば、日本はつい先日特使を派遣して友好と平和を呼びかけながら、すぐに中国を攻撃する、何と卑怯で信用できないやつらか、といった感じである。
これが中国の世論のすべてというわけではないだろうが、同じ情報について、日中で全く見解が分かれ・対立しているというと。
そしてその情報のもとはいずれも各国政府の主張に基づいているということ。
これはかなり問題があるように思う。少なくとも日本のメディアはもう少しよく調べて報道すべきではないか。
たとえばNHKや新聞社は防衛省の発表にどのような根拠があるのか、どこまで確認を取っているのだろうか。専門的な能力のある記者がどれほどいるのか。
現状では日中両国の政府は尖閣の危機をあおり、それを決着させるつもりがないように思える。落とし所も見えない。
今回のレーダー照射の件も-事実か否かは別として-山口公明党代表の訪中で日中和解の兆しが見えてきたことに対する、それをつぶす動きだったのかもしれない。そういった動きは、例えば小泉訪朝の後の、日朝国交回復つぶしの動きを思い出せば、決してないことではないように思われる。
そういった観点から取材している記者はいないのだろうか。政治家の動きには大手メディアの政治部は詳しいはずだが、政治家たちの、そして官僚たちの動向がわからない。
中国側の動向分析はもちろん重要だが、自国の政治と官僚機構がどのように機能しているのか、正確に伝えることこそめでぃの第一の仕事だろう。
頭を冷やして、覚悟を決めて記事を書いてもらいたい。
日本側は中国の艦艇が日本の自衛艦に対して火器管制レーダーを使用したとして、「武力による威嚇」に当たると抗議。
これに対して中国側は国防部が事実関係を否定するとともに-火器管制レーダーではなく監視用レーダーを一定時間使用しただけと主張-、外交部報道官は、⑴日本側が事実をねつ造していること、⑵中国側は自国領域-尖閣周辺-で通常の行動を行っているのに対して、日本側が不当に艦船を派遣して行動している、と非難している。
まず前者については日本側が証拠を示すと言っているが、これもおそらく決定打になることはないであろう。
むしろ注目されるべきは第二点である。
中国は尖閣は自国領土であり、日本側が「国有化」という措置によって、日中間の「棚上げ」という暫定措置を一方的に破棄した以上、中国側の艦船航空機がどう行動しようと自由だし、そのための措置を取るのは当然だ、という立場である。
いまや日本側が長年主張してきた「実効支配」自体が揺らいでいるといえよう。
このままの事態が進めば、やがては実効支配が覆されることになろう。、例えば海兵を上陸させ、標識を設置する…などとなった場合、なんらかの対抗措置がとれるのか。
中国側が反撃したときどうするのか。
とまあこのような心配すれば際限がない。どこかで妥協点を見出さなければならないのだが、その努力が欠けている。あるいは全く不十分だと思う。
例えばこの件をめぐる日中両国内における世論の動向は全く逆方向である。
私も含めて大半の人々は生のデータを確認したことはないわけであれ、またそれについて判断できるほどの専門的能力もないわけだが、どちらの国においても驚くほど-メディアも含めて-各々の政府の主張を信じてそれに従って判断している。
日本側については日々のニュースなどを見れば一目瞭然なので、中国についてみるとたとえば以下のようなものがある。
環球時報はいわば中国の産経新聞だが、その中には http://mil.huanqiu.com/game/diaoyudao.html というページがある。これはゲームで日本の艦船を沈めて得点が上がるというものである。
どの程度のアクセスがあるのか分からないが、中国に行くと、日本兵を殺すウォー・ゲームがごく普通に人気を博している。その一環だろう。おそらく中国人にはさしたる違和感はないはずである。
このほか様々な記事への読者の反応を見ても、例えば、日本はつい先日特使を派遣して友好と平和を呼びかけながら、すぐに中国を攻撃する、何と卑怯で信用できないやつらか、といった感じである。
これが中国の世論のすべてというわけではないだろうが、同じ情報について、日中で全く見解が分かれ・対立しているというと。
そしてその情報のもとはいずれも各国政府の主張に基づいているということ。
これはかなり問題があるように思う。少なくとも日本のメディアはもう少しよく調べて報道すべきではないか。
たとえばNHKや新聞社は防衛省の発表にどのような根拠があるのか、どこまで確認を取っているのだろうか。専門的な能力のある記者がどれほどいるのか。
現状では日中両国の政府は尖閣の危機をあおり、それを決着させるつもりがないように思える。落とし所も見えない。
今回のレーダー照射の件も-事実か否かは別として-山口公明党代表の訪中で日中和解の兆しが見えてきたことに対する、それをつぶす動きだったのかもしれない。そういった動きは、例えば小泉訪朝の後の、日朝国交回復つぶしの動きを思い出せば、決してないことではないように思われる。
そういった観点から取材している記者はいないのだろうか。政治家の動きには大手メディアの政治部は詳しいはずだが、政治家たちの、そして官僚たちの動向がわからない。
中国側の動向分析はもちろん重要だが、自国の政治と官僚機構がどのように機能しているのか、正確に伝えることこそめでぃの第一の仕事だろう。
頭を冷やして、覚悟を決めて記事を書いてもらいたい。