白夜の炎

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今でも占領下にある日本

2012-01-11 15:44:40 |  北米
「08年1月~11年9月

 法務省刑事局は10日、米兵が「公務中」に引き起こした犯罪のうち、日本人被害者が死亡または4週間以上の傷害を負った事件が、2008年1月から11年9月までの間に28件あったことを明らかにしました。(表)

 日本共産党の赤嶺政賢議員が昨年11月30日の衆院外務委員会で資料要求していたもの。重大な結果を招いた犯罪に限定されており、きわめて不十分ですが、米兵の「公務中」犯罪について政府が詳細な資料を提出したのは初めてです。

 米兵への処分内容を見ると、死亡・傷害という重大犯罪であるにもかかわらず、一般の裁判にあたる「軍法会議」にかけられた件数はゼロとなっています。いずれも行政処分にあたる「懲戒処分」となっています。

 さらに法務省は、08年8月に沖縄県うるま市で米兵が運転する自動車が対向車線に進入し、オートバイに乗っていた男性を死亡させた事件についても、「懲戒処分」となったことを明らかにしました。

 米軍の特権を定めた日米地位協定では、米兵や軍属が犯罪を引き起こしても、「公務中」と認定された場合、米側が第1次裁判権を有することになります。このため、日本の検察当局は不起訴処分にせざるを得ず、被害者が泣き寝入りとなるケースがほとんどです。

 しかし、法務省資料によると、懲役刑に相当する重大犯罪であっても、米側は甘い処分で済ませていることが浮き彫りになりました。過去には、1985年から2004年までの20年間で米兵の「公務中」犯罪は318件、うち軍法会議にかけられたのは1件という国会答弁もあります。」
http://news.livedoor.com/article/detail/6180950/

TPPとは何か?

2012-01-11 14:48:52 | 経済
 ここのところ議論が少し見えにくくなっているが、今年TPPが大きな問題になることは間違いない。このブログでも取り上げてきたことなので、ウィキペディアなどを参考にして、自分なりに整理をしてみた。


[TPPの定義・概念]

(TPP、Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、経済連携協定 (EPA) の一つ。

 通常FTAが貿易自由化―関税率の引き下げを通じてのモノの自由化―にポイントを置くのに対して、EPAはそれ以上の密接な協力関係の構築を目指す。

 具体的には、加盟国間で工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃し、さらに政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおけるすべての非関税障壁を撤廃することを目指す。

 TPPはこのような仕組みを目指す根のだということであるが、もともとは、2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国が、域外への経済的影響力を向上させることを戦略的な目的として発足させたものだった。(環太平洋経済協定、環太平洋連携協定、環太平洋経済連携協定、環太平洋パートナーシップ協定ともいう)。
ちなみにこの四カ国の協定内容は次のサイトで確認できます→http://nihon-jyoho-bunseki.seesaa.net/article/187356552.html


[概要]

 TPPの発足時の目的は、「小国同士の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」であった。

 2006年5月に4か国加盟で発効した経済連携協定であったが、2010年10月よりアメリカ主導の下に急速に推し進められることとなり、TPPの転換点と見られ加盟国・交渉国間で協議を行い2011年のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)までの妥結を目標にしている。

 また、加盟国・交渉国に日本を加えた10か国のGDP(国内総生産)を比較すると、その91%を日本とアメリカの2か国が占める[7]ため、実質は日米FTAだとの見方もある。

 2015年までに加盟国間の貿易において、工業品、農業品、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどをはじめ、全品目の関税を10年以内に原則全面撤廃することにより、貿易自由化の実現を目指すFTA(自由貿易協定)を包括するEPA(経済連携協定)を目標としている。実質的に相互の関税自主権の放棄である。

 金融分野において、現時点の郵政改革関連法案は金融の非関税障壁となっており改正の必要があると米国が見なしているという報道がある。このほか、これまでのような外国企業の日本への進出・投資の規制や外国人労働者の受け入れ制限が条件交渉次第で難しくなるといった指摘もある。


[何を取り上げるのか]
 加盟国と交渉国がまとまり交渉の作業部会を設けている。連携協定が目指す貿易に関する作業部会の主な議題は次の通り。

 *工業製品、農産物、繊維・衣料品の関税撤廃  *金融、電子取引、電気通信などのサービス  *公共事業や物品などの政府調達方法 

 *技術の特許、商標などの知的財産権 *投資のルール  *衛生・検疫  *労働規制や環境規制の調和 

 *貿易の技術的障害の解決 *貿易紛争の解決


[アメリカの対応]
 アメリカは2000年以降、「Asia only」(アジアのみ)の経済ブロックを懸念していたが、TPPの拡大を進めることは「アメリカ締め出し防止」を推進するための機会にもなる。

 2011年3月30日、アメリカ合衆国通商代表部ロナルド・カーク代表はワシントンD.C.での講演会で、2011年東北地方太平洋沖地震の被害からの復興や福島第一原子力発電所事故の対処に日本政府は専念すべきなので、2011年6月までにTPPに参加するかどうかの基本方針決定の先送りを容認すると述べた。

*TPP推進のための米国企業連合

米国ではTPPを推進するための民間企業連合が作られている。この米国民間企業連合は24の作業部会推進をし様々な要求をアメリカ政府に行なっている。主な企業は次の通りである。

(金融分野 )シティグループ、(通信分野)AT&T、(建設会社)ベクテル、キャタピラー、(航空機製造)ボーイング、(飲料分野)コカ・コーラ、(物流サービス)フェデックス、 (IT) ヒューレット・パッカード、IBM、インテル、マイクロソフト、オラクル、(医薬品メーカー)ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、先進医療技術協会、(保険)生命保険会社協議会、(小売業)ウォルマート、(メディア)タイム・ワーナー、(農業系団体)カーギル、モンサント、アメリカ大豆協会、トウモロコシ精製協会、全米豚肉生産者協議会、その他


[ISD条項]
 また「米国の対外投資にとって安定した非差別的な法的環境の典型をつくり出すために、強力な投資保護、市場開放規定、紛争解決を組み込むべき」と主張している。

 これはTPPにおいても北米自由貿易協定 (NAFTA) 同様の投資家対国家の紛争解決(ISDS)条項を盛り込むことを目的とした要求である。協定中にISDS条項が規定されていれば、投資家は、投資受入国を相手方として、当該国の措置により損害が生じたことを理由として国際投資紛争解決センター (ICSID) といった仲裁機関に直接申立てを行い、その補償を求めることができる。これがTPPにおいて実現すると、米系投資企業が日本政府を相手方として仲裁を申し立て、巨額の補償を得ることも可能になることを意味する。

 この条項は投資家を各国国内法という縛りから「自由」にするが、その弊害も少なくない。メキシコでは環境規制が無効になり、カナダでは公的医療制度がやり玉に挙がった。

 具体的には以下のような事例がある。

 [ISD条項による提訴事例]

 投資協定により投資家に与えられる実体的保護として、内国民待遇、最恵国待遇、公正かつ衡平な待遇、収用の制限といったものがある。投資家の国家に対する請求は、これらの保護が受けられなかったことを根拠とするものである。


 医療問題/カナダ←アメリカ企業

 合衆国国民であるメルヴィン・ハワードは、センチュリオン健康事業団及びハワード家の家族信託を代理して、カナダに対し、1億6000万米ドルを請求する旨の通知を行った。同氏は、リージェントヒルズ医療センターに係るプロジェクトがカナダの負うNAFTA第11章の義務に違反するやり方で進められていると主張している。

 主張の内容として、まず、カナダ政府は、合衆国の投資家に対してカナダ政府を通じた明確な案内を実施しておらず、外科医療サービスといった独占的な医療サービス市場における合衆国の競業者に対して与えられるべき最善の待遇を提供していないことから、カナダの市町村や州を通じて直接的にNAFTA第1102条の義務に違反しているとする。

 加えて、原告に対して与えられている待遇よりも良い待遇をカナダの投資家に与えていることに照らして、投資家や企業に対するカナダの最恵国待遇違反があるといえ、NAFTA第1103条に定められた義務に反するとしている。

 この請求は、カナダ保健法により、誰もが自由に利用できる保険適用の対象となる医療サービスを備えていることといった要件が各地方自治体において満たされるようカナダ連邦政府が保障するとされていることに対し、特に異議を呈している。これを受けて、カナダ連邦政府は、同法を通じて、NAFTA第1502条及び第1503条に沿った「国営企業」及び「政府による独占事業」の二つを置くこととなった。


 農薬の使用/カナダ 

 合衆国の農薬製品メーカーであるケムチュラ社は、カナダ政府が、カナダ保健省(PMRA)を通じて、不当にリンデン含有製品(ノミハムシの発生を抑えるため、なたね、からし種子、あぶらなといった作物に使用したり、ハリガネムシ予防のため穀物に使用する)に係る農薬ビジネスを終了させたと訴えている。ケムチュラ社は、NAFTA第1105条(待遇の最低基準)及び第1110条(収用)違反を主張している。


 除草薬の使用禁止/カナダ←アメリカ企業

 2008年8月25日、米企業ダウ・アグロサイエンス社は、2,4-D成分を含む除草剤の販売と一定目的の使用を禁じたケベック州の措置により生じたとされる損害について、NAFTA第11章に基づき、仲裁を求める旨の通知を行った。


 煙草パッケージ問題/オーストラリア←多国籍たばこ企業 NAFTA以外

多国籍たばこ企業は、オーストラリアと香港間の二国間投資協定中の条項に基づいて、オーストラリアが行った、禁煙を目的とするたばこパッケージ規制法案に対する補償を求めた。当該法案は、差別的なものではなく、重要な公衆衛生問題への対処を目的としたものであるにもかかわらずである。
 → http://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/505757.html

 そもそも主権国家の法的枠組みに超越して企業の活動を保証するということになれば、民主主義国家の本質が損なわれるという指摘もある。
 →http://h21.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/30754.html
 


*以上のように、TPPは経済連携協定の一種であり、同時にアメリカの巨大企業連合の利害を強く反映している。しかしそれはアメリカの企業だけではなく、日本でも自動車工業会や経団連会長が強く支持しているように、競争力のある巨大企業にとっては、ともに大きな利益を享受できるシステムであるる。

 例えばISD条項を利用すれば各国国内法の縛りを受けずに「自由」な企業活動を展開できる。

 なによりWTOドーハラウンドが実質的に動かなくなっている現状では、世界的レベルで貿易自由化や経済連携の強化を実現する手立てはなくなっているといってよい。

 TPP等経済連携協定や各種の投資協定・FTAの拡大は、このような現状に対する巨大企業連合・勝ち組の不満の表れとみることもできるかもしれない。

 ただ野口悠紀夫氏も指摘しているとおり、TPPのような仕組みは経済自由化の衣をまといながら、実質的には世界経済のブロック化を推進するという側面がある。

 経済的な地域連携の強化は、地域に地域共同体を形成することによって地域の経済的発展を促すとともに、EUに見られるような紛争の防止効果も期待される。

 我が国がTPPに参加するというのであれば、単なる企業利益の観点だけでなく、地域の連携や相互理解に寄与しうるのか、またその場合わが国の立場をどれだけ反映できる仕組みにできるのかといったことをよくよく考える必要があると思われるし、何よりも民主国家としての国のあり方、ひとりひとりの市民的権利の保障といった本質的問題についても、きちんとした議論が必要だろうと思われる。

原発検査「丸投げ」の実態―原子力安全基盤機構設立以来

2012-01-11 12:02:25 | 原発
 設立以来原子力安全基盤機構は検査を外部に丸投げ。検査院75人中はえぬきは4人のみで、他は原子力関連企業や電力会社などからの出向。

 要するに経産省などの天下り先を原子力産業の金を使って維持してきました、ということだ。

 この手のことは枚挙にいとまがない。役人と政治家が国民の税金を食い物にするのが当たり前になっている。

 *原子力安全基盤機構のHP→http://www.jnes.go.jp/
  タイトルは「JNESは原子力の安全確保に取り組む専門家集団です」

「<独法・原発検査>「丸写し」03年設立以来

毎日新聞 1月11日(水)2時30分配信

 原発関連施設の唯一の法定検査機関で独立行政法人の「原子力安全基盤機構」が、検査対象の事業者の作成した原案を丸写しした検査手順書(要領書)を基に検査している問題で、機構の第三者委員会(委員長・柏木俊彦大宮法科大学院大学長)が、同様の手法が機構発足当初(03年10月)から常態化しているとする調査結果をまとめたことが分かった。第三者委は「信頼に疑念を抱かせる。事業者への依存体質が原因で主体的検査に改善すべきだ」とする報告書を12日、機構に提出する。

 ◇報告書「理解と意識希薄」

 問題は昨年11月、毎日新聞の報道で発覚した。機構側はこれまで「問題ない」との立場だったが大幅な見直しを迫られる。

 学者ら5人で構成する第三者委が検査員への聞き取り調査などを実施。その結果、原発の核燃料を製造・加工する「グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン」(神奈川県横須賀市)に要領書の原案を作成させ、表紙などを差し替えただけの「丸写し要領書」を使った核燃料棒検査が発足当初から続いていることが判明した。

 第三者委の報告書は「検査は安全を担うシステムの一部。事業者に委ねることは許されない」と指摘。要領書さえ見ずに検査・合格させたケースもあることから「何を基準に検査をしているのか。検査への理解と意識の希薄さを示す」と厳しく批判する。

 報告書は関西電力大飯原発の定期検査(09~10年)で、関電の資料の不備を見落とし一部の検査を実施しなかった問題(昨年8月発覚)にも言及し「事業者の検査を形式的に追認していたと思われてもやむを得ない」と指摘。▽緊張関係を保つため事業者との打ち合わせを議事録化して残す▽教育・研修の強化--などを提言する。

 機構は東京電力トラブル隠し(02年8月発覚)で経済産業省原子力安全・保安院が東電による検査結果の改ざんを見抜けなかった教訓から03年10月に設立された。4月、保安院を解体して新設される原子力安全庁(仮称)の所管法人に移行するため「検査体制の抜本的な改善も4月以降になる」(機構幹部)という。【川辺康広】

 ◇解説 検査体制改善は多難

 原発関連施設の検査を巡る問題で、第三者委員会の指摘を受ける独立行政法人「原子力安全基盤機構」は早急に改善を迫られるが、その前途は多難だ。

 機構には昨年11月現在、75人の検査員(非常勤を除く)が在籍する。いわゆる生え抜きは4人に過ぎず、原発メーカーや電力会社など事業者のOBが39人を占め、元々検査で緊張関係が生まれにくい人事構造になっている。65%に当たる49人は50代で、今後次々と退職していく。しかし「待遇が悪いためか新卒者がきてくれない」(機構関係者)といい、人材確保の妙案はない。

 毎日新聞は昨年6月、東京電力福島第1原発の圧力容器の主蒸気逃がし安全弁に対する検査でミスがあり、東電に指摘されるまで気づかなかった問題も報じた。報告書はこれについても「重大な問題」と指摘する予定だ。所管官庁の経済産業省原子力安全・保安院は丸写し問題、検査ミスのいずれについても経緯を把握しながら機構に改善を指導してこなかった。原子力安全庁に移管しても、機構任せでは検査の抜本的な改革は難しい。安全の担保を抜きにした原発の再稼働などあり得ず政府の姿勢が問われている。【川辺康広】」