「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

地面師に騙された東京の一等地 この百年

2018-10-17 05:33:38 | 2012・1・1
東京の五反田駅近くの一等地(約2000㎡)、時価50億円の土地を大手住宅メーカー、積水ハウスからだまし取った容疑で地面師グループ8人が警視庁に逮捕された。わが家は戦争中の昭和20年3月、強制疎開で引っ越すまで長い間、五反田に住んでいたので、どこの土地か、調べると、僕の遊び場でもあった目黒川にかかる本村橋のたもとにあった旅館、海喜館の跡地であった。海喜館はあたりが全焼した5月の空襲でも焼けずつい最近まで営業を続けていた。

僕が知っている昭和10年代の海喜館の前を流れる目黒川はすでに汚染が始まっていて、名前にふさわしくなかったが、母が育った明治時代は水遊びもできるぐらいきれいであったという。その名残りか、本村橋から一つ上流の大崎橋のたもとからは、季節の乗り合い釣り船が出ていたし、東京湾で獲れた魚を漁師が小舟で売りに来ていた。

五反田が開発されたのは明治44年(1911年)、山手線の五反田駅が開業してからだ。父母は大正10年に母の実家のある五反田に引っ越ししてきているが、その頃の五反田を書いた父の遺稿によると、やっと駅前の三業地の整備が開始されたとある。当時、五反田駅界隈にはまだ茅葺屋根の農家もあり、父はこんな場所で三業地は成り立つかと感想を述べている。

”滄海変じて桑田になる”(滄田の変)は世のならいだが、昭和の初め、東京湾へ糞尿を捨てる”汚わい舟”が庭前の目黒川を往き来していた土地である。百年の歳月の流れを改めて感じる。

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2 コメント

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価値 (chobimame)
2018-10-17 09:17:06
大手メーカーが簡単に騙されるなど驚きです。
土地の登記などは、絶対にバレると思うのですが、犯行グループは金をせしめたら海外に高飛びするつもりだったのでしょうね。
それにしても山手線の駅周辺は、すごい値段ですね。驚きです。
法外な値段 (kakek)
2018-10-17 13:58:23
chobimame 様
父の遺稿によると、百年前、海喜館あたりに土地を持っていた昔からの地主は、今は母方の本家を含め3人だけです。先祖からの土地だからと売らずに頑張っていたのに、E家もとんだ結末です。結局、この土地はどうなるのでしょうか。五反田という名の通り湿地の昔は洪水の多かったあまり良い地ではなかったのに”法外”な値段ですね・

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