「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

お年寄りの交通事故と運転免許の返上

2015-01-07 05:53:28 | Weblog
62年前の昭和28年、学校を出て直ぐの初任地、新聞社の長野支局で一緒に仕事をしたOさん(85)から、新年、年賀を兼ねて電話を頂いた。当時の仲間は、もうほとんど亡くなり、Oさんだけになってしまった。そのOさんが、いろいろ近況の話をした中で、子供さんに連れられ昨年暮、自動車の運転免許を返上してきた、と寂しそうに語った。Oさんは大の車好きだっただけに,彼の心情はよく解る。

昭和28年といえば、まだ戦後すぐの時代、新聞社の地方支局の取材の足はもっぱら自転車で、遠方で大事件が起きると単車(オートバイ)やサイドカーで駆け付けた。サイドカーは今ではほとんど姿を消したが、単車の横に側車をつけた乗り物で、四輪車がまだ高価だったころ人気があった。若かった僕らは、サイドカーにあこがれ、郊外の農道で運転の練習をした。Oさんは、その頃免許を取ったのだから運転歴は長い。

警察庁の発表によると、平成26年度の交通事故による死者は前年度より260人(5.9パーセント)減っているが、65歳以上の高齢者だけに限っていえば全体の53.3パーセントと増加している。それも事故の第一当事者に多いという。理由はやはり加齢による視力の低下や反射神経の衰えによるものらしい。僕は車は運転しないが、自転車を運転していてもそれを感じる。

公共交通機関の発達している東京などと違って地方都市では、車がないと日常生活にも支障がある。一日にバスが数本しかないと、老人は病院にも行けない。それだけに高齢者の運転率は大都会に比べて高い。また、僕には理解できないが、車好きの人は、車に愛着があって、なかなか免許を返上するのには勇気がいるようである。Oさんが子供さんに連れられて運転免許を返上したと聞き、改めて彼の勇気に拍手を送りたい。

(東京の首都高で83歳の認知症の老人が逆送してお亡くなりになりました。合掌)