ウヰスキーのある風景

読む前に呑む

古式床しく

2011-04-25 | 雑記
というわけで、日曜の早朝に、番組表を確認してチャンネルを合わせて見ていた。というわけで、じゃあ何がなんだか分からんだろうが、その辺りはたぶん前回書いた。

曹洞宗の永平寺の朝食はお粥で、これが美味そうだったから、玄米までは用意していないが、真似してみよう、というわけだ。

テレビの話に戻す。その番組は、前回と今回に分けてそれぞれ別々のテーマで、精進料理についての話をやっていた。前回は修行僧の食事について、今回は食事に対する禅僧の心構えについて、という感じだった。

さて冒頭、典座(てんぞ、という)が言うには、「野菜料理=精進料理ではない」という、理解しづらい話が出てきた。キノコも食べるから、という話でもない。

典座の人が言うのは仏教思想の話で、要するに心がまえの話だったように記憶している。肉も魚も精進料理では使わないのは広く知れ渡るところではある。


というわけで、精進料理っぽく晩飯をこしらえてみた。




左上から大根の素揚げ、ではなく炒め揚げにしたものに大根おろし。隣が黒くてなんだか分からないが、煮物のようなもの。まったく見えないが人参、絹さや、椎茸、牛蒡、出汁をとりながら一緒に煮た昆布という構成。
その右は大根の皮を塩もみして、油を少し混ぜたもの。永平寺の典座の人はごま油をかけていたが、なんとオリーブ油。まったく問題ない。もちろん、最初の大根のもオリーブ油なのはいうまでもない。
右端は香の物。沢庵に梅干。左は味噌汁。中身は大根、隠元豆、舞茸、出汁にも使った昆布、小ねぎを刻んだもの。そして麦飯。

味噌汁も煮物のようなものも、出汁は昆布だけで、後は一緒に入れた野菜で味を出す。煮物はなんだか昔食べたことのあるような味だが、物足りない。でも悪くない。時間が無くて出来なかったのだが、本来は干し椎茸からとった出汁を加える。
大根の素揚げは、大根が甘くなる。炒め揚げでも似たような状態には出来るので、料理をする人は気が向いたら試してみるといい。

さて問題。この中で精進料理として不適切なものはどれだろうか?あたっても何も出ません。

わかった!お前の部屋にあるウヰスキーだな!?正解だがそこまでひねた問題ではない。




答えは味噌汁。

えっ、と思うかもしれないが、味噌汁自体は問題ない。ここでテレビ番組で典座がいった「野菜料理=精進料理ではない」が響いてくる。ちなみに典座とは端的にいうと料理長のこと。

禅の開祖に当たる人物がいったのかどうだったか、その辺りはちょっと忘れたが、修行の妨げになるので食べてはいけないという、五種類の野菜がある。
即ち、にんにく、にら、たまねぎ、らっきょう、ねぎ、の五種。理由は、性欲が高まるから、だとかなんとか。いらぬ欲望を捨てるために修行するのに、食事も修行と考える禅の道場で欲望を亢進させるものを出すことは自家撞着に陥ると言うわけだ。

ちなみに、生姜は大丈夫らしい。永平寺で修行をしたことがある僧侶がいっていた。最近では、飲むのはもちろんだめだが、料理に利用する形で酒は使うともいう。

もっと厳密にいうと、食べるときに音を立ててはならない(食べる以外でも色々とあるのだが)ので、沢庵自体も問題はないのだが、かなり薄く切ったものを食べるそうだ。梅干もカリカリ梅だから、これもアウト。
別に修行しているわけではないので気にしないのだが、沢庵自体も魚の出汁やらを使ったものはこれもアウト。ということは、甘めの味付けがされた「かつお梅」もだめというわけだ。かつお節で味付けしているから。

色々と興味深かったので、調べてみたりすると、上記で「生姜は大丈夫」と言っていた僧侶達が運営しているサイトがあった。生姜云々はそこで読んだ。ちなみに、件の僧侶は精進料理についてのコラムを担当している。


寺では甘いものは果物なんかは出てくるそうだが、一般的なお菓子やら、テレビでスイーツといわれているようなものはなかったという。で、経験を生かした簡単なお菓子の作り方を載せていた。

その経験というのも、大きな鍋にたっぷりの水溶き葛を入れて火にかけ、混ぜ続けるとかそんな話だった。精進料理にごま豆腐があるのだが、実は豆腐ではなく、葛で出来ている。そのための作業だったとかなんとか。
ごま豆腐は、永平寺に客として訪れた場合に饗される食事には出てくるのだが、修行僧にはほとんど出ないものだったそうな。手間もかかるので、大人数の修行僧に出せるようなものではない。

話が逸れたが、以下の写真は真似して作ったそのお菓子。



葛と豆乳で作ったプリン。作り方自体には黒蜜も手作りで書かれていたが、市販でもかまわないだろう、とのことでズボラして市販のをかけてある。

冷やす時間が三十分だったのに、別のことをしていたら一時間になった。葛が少なかったかと思ったが、滑らかな感じは出ていた。黒蜜はたっぷりかけるとよい。明日以降も作るなら、もう少し葛を多く入れて試す予定である。
それと、食後にすぐ作って食べるのはやめにしようと思った。腹が膨れていると、甘さがさっぱりわからなくなる。特にこのようなあっさりしたものならばなお更だった。では、また。