ウヰスキーのある風景

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行列に並ぶ

2011-04-13 | 雑記
天気もいいし、平日だから人も少ないだろう、と思って、夜勤上がりに上野動物園に行ってきた。

先月、かの国からパンダが送られてきたのだが、公開は三月の中旬から下旬にかけて、になるはずだった。

まだ予断を許さない震災の影響で公開がずれ込み、四月になった。公開されてすぐの休みは途轍もない行列ができていたのをTVなどで見た人もいるだろう。

開園は普段なら九時半。今は短縮営業で、十時から四時までになっている。春は花見シーズンもあって人も多いのだが、昔、丁度この時期に来たときよりは少ないと思ったのはちと桜の盛りが過ぎてしまったからかもしれない。

十時過ぎについてすぐ、チケットを買って入場する。券売機から出てきたチケットには、パンダの顔がアップで写っている。


やはり平日というのもあって、意外に人はいない。列を整理する人の声に耳を傾けると、だいたい五分くらいの待ち時間で見ることができる、とのことだった。

パンダの展示位置は昔とほぼ変わらないが、改修はしたようで、入り口や舗装のし直しをしてあるようだった。中は以前と同じで、三段階の通路が通ってあり、一番前は今は通さないようだが、二段目は子連れ、後の一番高いほうは大人を建物の入り口で振り分けて通している。あからさまに子供でないようなのが二段目を歩いているような気がしたが、気にする意味もない。

どうせ人の頭を撮ることになるのだからと、写真は撮るのを諦めた。前を歩くおっさんは熱心に撮っていた。係員が立ち止まるなと言っているのに立ち止まりながらである。


パンダの展示はそれぞれ別のスペースに区切られていて、向かって右が雌の「シンシン」、左が雄の「リーリー」だったように記憶している。

雌の方はよくTVなどで見るようなイメージの座り方で笹を貪っていた。時折、笹が大きく振り回されるように動いている。

さて雄の方はと言うと、王様だかマフィアのドンだかがくつろいでいるような寝方でだらしなく仰向けに寝ながら笹をかじっていた。

どちらも体ごと顔がガラス、つまりは客のほうを向いていたので、サービス精神はちゃんとあるようだった。これが国策か・・・。

余談だが、今朝、掃除のおばちゃんに「今日はパンダ見に行ってくるんだ」というと「わたしが上野の最初のパンダ見に行ったときは、ずっと尻しか見せてくれなかったよ」と笑っていた。

出てすぐは少し順路になっていたのだが、出口に募金箱と人が待っていた。パンダ募金、ではなく、今回の震災の。不謹慎な言い方かもしれないが、少し狙いすぎではないか?と思いたくなる。


パンダはなんとなく見れば、熊のように見える。中国語で実際、「熊猫」と書く。カタカナで発音を無理やり書けば「ションマオ」という。ジャイアント・パンダとよく呼ばれるので、展示場の入り口は「大熊猫」とも記してあった。
「パンダ」自体は「珍獣」を指す言葉で、最初に見つかったのがレッサーパンダと呼ばれるほうだったらしい。こっちのほうが珍しいとなり、「劣る」という意味のレッサーが付けられて今に至る。もしかしたら中国語で狸猫とか呼ばれているのだろうか。

動物の分類については学者の仕事なので、子供のころはあまり気にしたことがなかったが、近頃は「あれは熊の仲間よなぁ」と思っていた。

展示場傍の新しくできた説明の立て札を見ると、「遺伝子を調べたところ、最近は熊の仲間だということがわかりました」という風に書いてあった。
あれで「猫の仲間です」、と書かれていたら大笑いするところだったが、そんなことはなかった。


近くの土産物屋を遠巻きに眺めてみると、パンダのぬいぐるみが並んでいた。流石に・・・なんだか天気はいいのに気分がなんとなく晴れないのもあって、足は遠のいた。母親に送ろうかとも思ったが、和歌山にもう大きくなってしまったが、子供パンダを見に行けばいいので、それまではいいかと思うことにした。

久しぶりに来たのだから(人に去年来たかも、と言ったが、おそらく去年行ったのは近くの美術館)全部見て回ろうというのもあった。一部工事が行われており、完成は今年中のようだ。その時はその時に見に行くことにする。


何がいるのかすっかり忘れていたので、こんな建物あったっけ?と思って入ったら、やはり単に忘れているだけだった。

不忍池を渡る形で、ワオキツネザルを飼育する島なんかが出来ていた。彼らは泳げないので、柵が無くても逃げないと書かれている。決して無為無策ではない、というわけだが、洒落としては詰まらないので却下。


爬虫類などの展示施設に入ってすぐ、サンショウウオが水面を向いて固まっていた。

親指と人差し指をすり合わせながら水槽ごしに近づけると、口を動かし始め、前足を片方動かし始める。通りかかったカップルが(サンショウウオに)反応して、ちと恥ずかしくなったが、水面近くで挑発を続けると、伸びきったようにしばらく固まったと思ったら、直後、我に返ったのか水底にある、木の陰に隠れてしまった。外国人の女の子が隠れてしまったそいつを気にしていたようだが、出てこなかった。

気まぐれに写真を一枚。


カメとワニが見詰め合って動かない。食べる気はなかろうが、カメの首もワニのほうをずっと向いている。

撮ってすぐ後に気づいたが、もう一匹のワニが左の水底で待機していた。


今年は日本にカバが来て百年の節目に当たるそうだ。西園に展示スペースがあって、写真や関連グッズを並べていた。写真の撮り方がうまいのもあって、カバは結構かわいらしいのだなぁと感心してしまった。

ちなみに、展示を見る前にカバ自体を見ていたのだが、若いやつは皆、図ったように尻を見せて寝ている。大きいほうはちょっと陰に隠れていた。あの写真は合成に違いない。

夜勤明けのせいなのか、天気はいいのだがなんだか気持ちがよくない。春は変な人間が沸く、などというが、そういう人達は、こういうよくわからない状態が昂じて変になってしまうのだろうか、などと考えてみたが、考えながら帰りの電車の中でちょっと寝ていたら少し落ち着いた。人が多いのがだめなのかもしれない。では、また。