yokomizoの覚え書き

切手とSFと本が好きなおっさんのひとりごと。

「拇太印と小判切手」

2006-03-20 | 郵趣(旧)
 タカハシスタンプ商会から先日発行された、『拇太印と小判切手』という豪華本を拝見しました。タイトル通り、日本の明治期に使用された抹消印「拇太印」の全貌が分かり、ひいては小判切手の全貌も分かる内容になっています。小判切手収集家はもちろん、日本切手や郵便史の研究には欠かすことのできない本だと思います。
 とはいうものの、私自身は小判切手に詳しいわけではないので、『拇太印と小判切手』の内容的な書評ははっきり言ってできません。しかし、切手収集の本や雑誌に関わっている者として、本書の本の作り、印刷の仕上がり等々、もはや「図鑑」ともいうべき体裁に、切手収集にまつわる豪華本とはこうあるべきだ、と具体例を示されたような気がして、ショックを受けました。
 「切手は小さな美術品」とよく言われます。ですから、切手にまつわる豪華本というのは、写真集であり、美術書でもあるわけです。ですから、掲載する切手の撮影や色校正など、しっかりと時間をかけてやるべきなんです。『拇太印と小判切手』の冒頭文によれば、企画が立ち上がったのが2005年の1月、掲載マテリアルや原稿は3月にはほぼ揃っていたといいますから、実に印刷や校正に約1年の歳月を費やしていることになります。やはり、素晴らしい、美しい本を作るにはこれだけの歳月が必要なんでしょうね。いや、出版人として非常に勉強になりました。
 ちなみに『拇太印と小判切手』は税・送料込みで25,200円にて、タカハシスタンプ商会で絶賛発売中です。豪華本ですからあまり作られていないと思いますが、まだいくらか販売できる分があるそうです。欲しいと思われた方はお早めに。

 ところで、この拇太印については、かねてより『郵趣』のカラー特集で取り上げようとしておりましたが、結局実現できないまま、本書に先を越されてしまいました。本書を見たら、もう拇太印の記事はできませんね。やりたかったんだけどなあ。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (K.I.)
2006-03-24 23:38:45
>この拇太印については、かねてより『郵趣』のカラー特集で取り上げようとしておりましたが、結局実現できないまま、本書に先を越されてしまいました。本書を見たら、もう拇太印の記事はできませんね。



豪華本には手が出ない層もいるのだから(私だけではないと信じる)、郵趣で特集する意義は充分にあると思うのですが、如何。



『携帯に便にして価格の低きを最主とするがゆえに、外観を顧みざるも内容に至っては厳選最も力を尽くし~』(岩波文庫発刊の辞より)