ビター☆チョコ

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トランスアメリカ

2006-07-23 | 洋画【た】行


ブリー(フェリシティ・ハフマン)はひっそりとつましく暮らしている。
もうすぐ長年の夢が叶う。
夢とは完全な「女」になること。

ブリーはトランスジェンダー(性同一性障害)で、完全な女になるための最後の手術を1週間後に控えているのだ。
そんなブリーに突然17歳の息子の存在を知らせる電話がくる。
どうやらブリーが「男」でスタンレーという名前だった頃に、ただ1度だけの間違いから出来た子供らしい。

麻薬と売春でニューヨークの留置所に入れられてるという息子トビー(ケヴィン・セガーズ)を引き取りに行ったブリーは、行きがかり上、自分が父親だと明かさないままニューヨークからブリーの暮らすロスまでトビーと二人でアメリカ横断の旅に出ることになる。


公開初日の初回。
シネスイッチ銀座の前は列が出来ていました。
立ち見も出た様子でした。

お父さんだけど外見はお母さんのような、そして他人のふりをしてるブリーと、
親の愛を知らずに実の父を探そうとするトビーの珍道中。
二人の関係は恐ろしく複雑で、二人の置かれた状況はかなり悲惨だ。
ブリーはトランスジェンダーの仲間はいるけど、実の両親とは絶縁状態だし、
トビーが家出をして麻薬や売春に手を出した背景には、どうやら実母の自殺と継父からの性的虐待があるらしい。
どこまでも暗く深刻にできそうな題材をポジティブに描いている。

自分の性に違和感を持ちながら生きるということがどういうものなのか、想像すら出来ないのだけど。
自分の性を変えるという決断が、どれほど親や兄弟に波紋を投げるかというのは分かるような気がする。
衝突を避けるために離れて暮らしても、心の底ではいつだって気にかかってるのが親子。
恥じたり隠したりせずに、ありのままの自分を受け入れてもらうことが大切で、
そこから本当の愛情や信頼が生まれるのだろう。

エンディングに流れるドリー・バートンの歌。

行き先を知らなくても進むだけ
私というパズルを完成させるために
神は理由あって私を造られた
何度も転びながら
ただ今は旅を続けるだけ

。。。泣くつもりは全然ないのに。。。不覚にも涙がでた。。。。
悲しいわけじゃない。なぜか清々しい気持ちだった。

さて主演のフェリシティ・ハフマン。
ドラマ「デスパレートな妻たち」で主演している女優さんだそうなのだが
観てるうちにホントに「元おとこ」に見えてしまって、混乱してしまった。
演じた彼女自身も自分が男なのか女なのか分からなくなったほどらしいので、
かなり入れ込んで役作りをしたのだろう。

そしてトビー役のケヴィン・セガーズ。
私は今回初めて彼を知ったのだけど
「リバー・フェニックスの再来」と言われてるそうだ。



リバーというよりも、ちょっと私はガエルを思い出してしまった。
潔すぎる脱ぎっぷりとか(爆)目の力強さとかに。
これから彼がどんな役を選んで演じていくのか楽しみだ。