ビター☆チョコ

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リバティーン

2006-04-12 | ジョニー・デップ
                

17世紀、イギリス。国王に追放されていたジョン・ウィルモット・ロチェスター伯爵(ジョニー・デップ)が恩赦でロンドンに戻ってきた。
芝居を観に出かけた伯爵は女優のエリザベス・バーリー(サマンサ・モートン)の才能を見抜き、彼女を一流の女優に育てようとする。


映画を観る楽しみはいろいろあると思う。
自分の好きな俳優を観るのはもちろん最大の楽しみなのだが、自分が見たことも行ったこともない時代のあるいは国の、美しい風景や衣装や調度品やそんなものを観るのも大きな楽しみのひとつだ。

リバティーン。。。この映画は今まで観たどの映画よりも暗い映像だった。
17世紀、確かに電気もない時代。
道は雨が降るとたちどころにぬかるみ、街は不衛生で伝染病が蔓延するのも無理はない様子だ。
ちょっと暗すぎて、目が慣れるまでは苦労する。
だってほとんど色彩が感じられないほど暗い。
そういう意味ではかなり時代をあらわしてる映像なのだろう。
私の映画を観る楽しみはひとつ奪われたわけだけど。。。

でも、そんな不満を吹き飛ばすほどデップが素晴らしかった。
特に病んでから死に至るまでのデップはすさまじかった。。。
演じてるというよりは、まさにその時代に生きているロチェスター伯爵そのものだった。
自分の子供にはあと40年は見せられないと言った言葉の意味が分かった気がする。
ウォンカさんもスパロウ船長もいいけど、こんなふうに評価が真っ二つに分かれるような映画を選ぶデップの変わらぬ心意気が嬉しい。

彼が酒に溺れ、愛人を作り梅毒になっても最後まで愛する妻(ロザムンド・パイク)。
師弟の関係から愛し合うようになっても、不実な愛よりも自分の女優としてのキャリアを選ぶ女(サマンサ・モートン)。
娼婦と客の関係ながら、伯爵の逃亡を助ける女(ケリー・ライリー)。
自分の立場をきっちり貫く強い女たちの中で、伯爵はあまりにも曖昧だ。
自分の才能を持て余して戸惑ってる子供のようだ。

病が進行して、自分が捨てた家に戻っていく伯爵。
変わり果てた姿の伯爵と向き合い、抑えてた自分の気持ちを思い切り吐き出す妻。
その慟哭のシーンがたまらなく哀しい。

テレビでもおなじみの「どうか私を好きにならないでくれ・・・」の警告。
映画はこれで始まり、「今でも私を好きだろうか・・・」の問いかけでだんだんフェードアウトしていく。

好きかどうか。。。分からないけど気になる。惹かれる。
もう1度会いに行きたい。