安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

石田衣良著「モーツァルトのいる休日」(マイナビ新書)

2019-06-11 20:11:06 | 読書

「池袋ウェストゲートパークシリーズ」や直木賞を受賞した「4TEEN」で知られている小説家の石田衣良さんが書いた「モーツァルトのいる休日 大人の楽しむクラシック」という本を書店で見かけたので購入し読んでみました。 

   

(大まかな目次など)

第1部 I LOVE モーツァルト
      「音楽を聴く」耳
      モーツァルトの絶対テンポ感
      本当のエンターテイナー

第2部 石田衣良セレクション モーツァルトはこれを聴こう
      ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K466
      デイヴェルティメント ヘ長調 K138
      クラリネット協奏曲 イ長調 K622
      交響曲第40番 ト短調 K550
      交響曲第25番 ト短調 K183
      弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K515 
      ピアノ・ソナタ集
      弦楽四重奏曲第19番 ハ長調「不協和音」 K465
      ヴァイオリン・ソナタ集
      歌劇「魔笛」 K620 

第3部 小説家と音楽家が語り合う 大人のためのクラシック論
     
      石田衣良さんと作曲家の加羽沢美濃さんは、NHK Eテレの番組「らららクラシック」で、
      5年間コンビを組み司会を担当しました。その二人が、モーツァルトを中心にクラシックの
      魅力や楽しさを語りあった章です。
      

(感 想)

手軽に読めるモーッァルトに関する本ですが、本書は2006年刊行の「I Love モーツァルト」(幻冬舎)をもとに加筆・修正し、第3部の対談が追加されて2016年に発行されたものです。第3部は付け足し的な感じが否めず、なくてもよいかもしれません。

著者は『ぼくにとってモーツァルトの魅力は、何といっても快活で明解なテンポ感である。』とし、『5分間聴くと、そのなかでメロディなり、人間の感情なりがきっちりと5分間分だけ動いている。音楽のテンポが一定なだけでなく、そこで起こるイベントが充実し続けるのだ。これを本当のテンポ感というのだと思う。』と記していて、これにはなるほどと共感しました。

第2部では、著者の推薦する曲と、その曲の愛聴CDについて記されています。CDは著者の趣味を反映していて興味を覚えます。例えば、ピアノ協奏曲第20番はミケランジェリのピアノ独奏、交響曲第40番はホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団、魔笛はウィリアム・クリスティとレザール・フロリサンによるものを挙げています。

第2部を読んで、交響曲について著者が好む古楽系の演奏を聴いてみようという気になりました。

   

左:石田衣良さん 右:加羽沢美濃さん