TBSもひどいなあ

2006-08-02 | news

というのが率直な感想。ボクシングタイトルマッチ,亀田新チャンピョン!?亀田のボデーはよかったと思うが,終始ボクシングをしていたのは相手の方。最後の2ラウンドはほとんどサンドバック状態で打たれていた。TV解説者も「世界の壁」を強調していた。「亀田が勝ち,19歳の新チャンピョン誕生,それをモンゴル出身の人気横綱が祝福」というシナリオがあり,それを強引に映像化。いまどき演出の効いたスポーツ番組など勘弁してほしい。勝利を不正な判定で奪われたベネズエラの選手に申し訳ない。日本の印象が悪くなったのではないか。フェアーではなかった。申し訳ない。間違いなくWBCのボブ・デービッドソン審判以上だ。怒りついでにいうとTBSは不必要。楽天と一緒に退場すべきだ。(「勝利」の後の「どんなもんじゃーい!」という亀田の雄たけびにも驚いた。奇妙な場面で本人も戸惑ったと思うが,あれはあれで期待された役回りを果たそうとしたのだろう。)


法然の衝撃

2006-08-02 | 親鸞
ー日本仏教のラデイカル,を読む。阿満利麿著,ちくま学芸文庫。

凡夫のための宗教を世界ではじめて持ち込んだ宗教家として法然を解釈,その革命的意義を強調している。この主張にはいまひとつ納得できなかったが,法然と彼の時代を非常にわかりやすく論じた好著だと思った。読みやすさも十分。著者の他の著作も読んでみたいと思った。

法然の「神祇不拝」の主張の意義はよくわかった。日本の神はインドの仏の生まれ変わりであるとする本地垂迹論が普及していた当時,「神を拝む必要はない」という主張は「神仏を拝む必要はない」ことを意味する。阿弥陀仏に帰依しさえすれば成仏には十分という教えが当時の日本社会にあって革命的であったことはよくわかる。世界的に見ても革命的だったと著者は主張しているようだが、このほうはピンとこなかった。(なお,「神祇不拝」と言っても,法然や親鸞は,既存の神仏すべてを文字通り否定する猪武者ではなかった。)

法然は中国の善導を読んで独自の浄土思想に目覚めたとされる。善導について関心が高まったのも個人的には収穫。とくに、善導が「無量寿経」(大経)の中の第18願について、重要な書き換え(明確化、解釈)を行ったことは知らなかったので、それが私には参考になった。

無量寿経では法蔵菩薩(後に成仏し阿弥陀仏となる)の48の願のうちの第18願はもともとつぎのようであった。
「設我得佛 十方衆生 至心信樂 欲生我国 乃至十念 若不生者 不取正覚 唯除五逆 誹謗正法」
(たとひわれ仏を得たらんに、十方の衆生、至心信楽して、わが国に生ぜんと欲ひて、乃至十念せん。もし生ぜずは、正覚 を取らじ。ただ五逆と誹謗正法とをば除く。  
 私が仏になるとき、あらゆる人たちが、私の至心をよりどころに、往生まちがいないという思いから、ただ念仏を申す身となるように育てます。それでも私の国に生まれることが出来ないようなら、私はさとりを開きません。ただし、五逆の罪を犯したり、仏の正しいみ教えを謗ったりする人だけは除きます。
http://www.asahi-net.or.jp/~YI9H-URYU/seiten/daiue1-2-hongan12-21.htm

善導は、このうち「至心信楽 欲生我国」と「唯除」以下を削除、「称我名号」を加えて、
「若我成仏 十方衆生 称我名号 下至十声 若不生者 不取正覚」
<私が仏になるとき、私の名前を唱えるにもかかわらず私の国に生まれることが出来ない人がひとりでもいたならば、私はさとりを開きません>(私訳)
とした。これが今日見る第18願。
法然はここに注目し、専修念仏の教えを開いた、とのこと。

「善導独り仏の正意を明かせり」とまで親鸞に絶賛された善導についてもっと知りたくなり、調べたところ、寺内大吉「立ち止まるな善導―法然・親鸞思想の源流に挑む」(1988年)という本があることを知った。今のところ在庫切れのようなので残念。

年金債務800兆円

2006-08-01 | news

1000兆円を超える借金のほかに,約800兆円の年金債務が国にはあるそうだ。約150兆円の積立金を受け取り,その結果現在の年金制度下トータル約800兆円の年金を支払ってゆく義務が国に発生している。次は,それに関する記事。

日本は就業人口から年間60万人ずつ定年退職していく本格的な高齢化社会に突入している。政府がその場しのぎのカンフル剤経済を続けているために公共部門の財政状況は非常に悪い。年金も実態は総額800兆円の債務超過である。政府は企業に対して年金の(将来)債務を(時価で)簿価計上しろ、と指導している。それは正しいのだが、では自分のほうもまた国民にいくらのカラ約束(年金債務)があるのか、法律に従って払うとすればどのくらいの債務があるのか、時価で計上してみろ、と国民は言わない。そうした計算を実際にやった人の結果だけいただくと、何と800兆円ということになる。これはすでに発行している国債や地方債の合計700兆円の外側の数字である。道理で掛け率を上げ、支給年齢をヒげ、支払い額を減らすという年金法案を通すことに熱心なわけだ。国民もマスコミも、この問題では政府のやらんとしているまやかしを完全にはひっぱがせていない。なぜなら、制度そのものがほとんどの国会議員でも理解不能なほど複雑だからである。未納問題よりも深刻なのは、現在の年金制度はすでに破綻してしまっている、ということなのだ。http://www.doblog.com/weblog/myblog/8007/383523

こちらの方は制度を変えていくという手がある。すなわち,「掛け率を上げ,支給年齢を引き上げ(67歳?),支払額を減らす」という方法。ただし,国民の方にも反撃の手段がある。

150兆円の年金積立金の運用はうまくいっているのだろうか。次の記事が参考になる。

年金積立金運用による赤字6兆円

厚生労働省は7月23日、同省所管の特殊法人「年金資金運用基金」が平成14年度に行った公的年金積立金の運用結果を発表した。

 それによると、国内外の株価低迷などの影響により総額で3兆608億円の赤字、累積赤字も6兆717億円に達した。

 このうち国内株式の収益率は-25.41%、外国株式の収益率は-32.23%だった。

 厚生労働省社会保障審議会年金資金運用分科会は、株式を含む分散投資が望ましいとしているが、今後運用方法が再度検討されることとなりそうだ。http://www.shakaihokenroumushi.jp/topic/topic14.html

 そもそも年金積立金って何?次が参考になる。

現行の公的年金制度は、予め設定される算定式に基づいて年金額が決まる(⇒「給付建て」)しくみを採用しています。また、あわせてその財政方式は、賦課方式(⇒「世代間扶養」)です。

What's ”賦課方式”?

老後生活の支えとして実質的に価値のある年金額を、終身にわたって、確実に保障するという公的年金の役割を的確に果たしていくため
に、必要なのが賦課方式です。

しかし賦課方式は人口構造の変動の影響を受けやすいため、少子・高齢化が進行する中では、世代間の公平の観点から、負担の平準化を図るために保険料率を段階的に引上げつつ、現役世代の保険料負担が急速に上昇して過度なものとならないように積立金を持ち、その運用収入を確保してピーク時の保険料水準を抑制していくことが必要なのです。

現に積立金を保有して運用収入を含めて年金給付を賄っているから長期的な収支の均衡が図られていると、厚生労働省は「年金改革の骨格に関する方向性と論点」の中で述べています。

そうなんです。
現役世代が負担した保険料の全部が今の高齢者への年金給付に当てられているのではなく、一部は積み立てられていたのです。http://allabout.co.jp/finance/nenkin/closeup/CU20031007/
 
これが150兆円に及ぶ年金積立金。「運用収入を確保して」とあるが、運用収入はトータル6兆円の赤字というのがその前の記事。
 
結局、年金資金運用基金は廃止され、年金積立金の運用について、独立した第三者機関(年金積立金管理運用独立行政法人)で効率的・専門的に行い、受託者責任を厳正に適用する体制を整備することとされた、とのこと。

「効率的・専門的」ということだが、あまり期待できそうにない。まさか同じメンバーということではないでしょうね?JR西日本のこともあるので心配。村上ファンドに運用をまかせたら?というのは悪い冗談か。

年金業務をとり行っているのが,不祥事の巣と化している観のある社会保険庁。ここについては

「社会保険庁:腐敗体質にメスが入るか?独立法人化で特別立法措置も/抜本改革で国民の信頼回復を」http://www.worldtimes.co.jp/wtop/tititokoqa/tititoko050206.htm

がわかりやすい。社会保険庁主管の旧年金福祉事業団がつくった「グリーンピア」のすべてが赤字倒産、という話は名高い。