紫陽花記

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別館「銘茶処」

新型コロナウイルス

2020-03-15 15:46:38 | 「とある日のこと」2020年度


新型コロナウイルス


 新型コロナウイルスという感染症に惑わされてどれ位経っただろう。クルーズ船の乗客から始まって、あらゆるところに感染者が出た。世界中に広がりつつある。阿部総理大臣の小中高校の一斉休校要請から始まり、日本中が大混乱。そのような中でも、息子は勤めに出ている。一番の稼ぎ頭にコロナウイルス感染などあってはならない。と、心配である。

 孫の一人は、3月を待たずにして2月29日に高校の卒業式。教師等と生徒だけの式だったらしい。末っ子の孫は、予防的休校と春休み。2月末の土曜日に、沢山の教材をむき出しのまま持ち帰った。そうしている間に、一番上の孫が戻ってきた。コロナウイルス感染の多い地域の某大学へ通っている。住んでいる地域より、実家の地域がまだ安全との思いがあったのかもしれない。それに、南方方向へ3泊4日の予定で旅するとか。

 我ら夫婦にも影響がある。ダンスは他者と密着して踊るものだし、麻雀は狭い卓を囲んで長時間行うゲームだ。私の行きつけのホールからは、3月5日までの休業とその後も状況次第では休業も延長するようになるとの電話連絡があった。

 報道では、空気感染は少ないが、狭い空間で多人数が長時間過ごすことが、一番のリスクのようだ。ということでしばらくは籠るしかない。人気のない場所にでも行って、散歩などしてストレス発散と体力維持に心がけたい。3月3日。朝、大学生の孫が南方へ向けて出発した。

ウイルスを避けて旅の子春の空


夫源病と闘う

2020-02-26 09:02:05 | 「とある日のこと」2020年度
 
夫源病と闘う

      

 石蔵文信という医師が言い出したという「夫源病」。それは、夫との関わりの中から知らず知らずにストレスを抱え発症する病気らしい。それに自分も罹っているのではないかと気づいたのは、夫が完全に仕事から引退して3か月ほど経った頃。そうでなくても丈夫でない胃の具合が、完全に調子を狂わせていた。胃酸過多症なので胃酸の分泌を抑制する錠剤を1日1個服用していたが、それでも胸焼けが酷くなり、食事の内容によっては、食する苦しみさえ伴う始末。

はたと、気づいたのである。そうか、これはきっと「夫源病」に違いない。

以前と変わらない毎日と思っていたが、夫と一緒に摂る食事の内容と量が問題かもしれない。それに、以前より共有する時間が多くなって、些細なことでも言い合うことも多くなったような気がする。決定的な夫婦の揉め事ではないが、ああ言えばこう言う的なものだが、その様な些細なことでもストレスとなっているのかもしれない。

 気づいてから、食事の内容は勿論だが量も以前の自分のペースに戻す工夫をした。徐々に体重増加していたところから、徐々に減少してきて、今現在は丁度良い体重になってきた。ようやく「夫源病」から脱出できるかもしれない。イヤ待てよ。本当に脱出できて、何を食べても体調を狂わさないで居られるか? 疑問である。

思い返せば、仕事をしていた頃から胃の具合が悪かった。胃酸過多症、胃潰瘍、などとの病歴は絶えることは無かった。ストレスの多い中で暮らしているしかなかったからか?・・・・・
 
こういう体調の時だというのに、新型コロナウイルスが上陸して・・・・・
少しずつ活動範囲を狭めるしかない。
一番不利な条件に位置している状態だから・・・・・
句は寒い時期のモノ。

大寒や錆付く躰縮こまる

お坊様と踊る

2020-02-07 08:31:49 | 「とある日のこと」2020年度


お坊様と踊る

レッスン日がキャンセルとなって突然空いた日。考えた末に踊りに行くことにした。

 月1回程度お邪魔しているダンスホール。早い時間なので客はまばらであった。今日の予定表には、スタッフだけのはずだったが、受付で、「チャーターですか?」と聞かれた。

チャーターの男性は、中国地方からいらしたお坊様とのこと。ホールを見渡すと、窓際の席の端に、二十代半ばの五分刈り頭で細身の男性がいた。上下黒の服装である。

私は一旦、壁一面鏡張りの前の椅子に陣取った。チャーターに入れてもらうかどうか迷う。遠路はるばる来た人物らしいし、二度と踊る縁がないかもしれない。などと考え、チャーターの仲間に入れてもらうことにした。仲間は10人。右端から順に踊ってもらうのだが、自分のことはさて置いて、こちらは、やはりダンサーの技量を見定める目となってしまう。身長173cm位の立ち姿。背筋が伸び、ツンと突き出したヒップが如何にも技量の高さを予感させた。

ホールいっぱいにダンス曲が流れ始めた。3人のスタッフとチャーターしたお坊様のY氏が、それぞれの位置から踊り始めた。Y氏の背中のカーブと、崩れないホールドが、技量の高さを十分に示している。丁寧な踊り方と性格の良さそうなところが魅力。チャーター仲間はみな満足気だ。

 私の番になった。まずはワルツ。リラックスして踊ってもらうことができた。スタンダードは勿論だがラテンもしなやかな踊り方だ。仲間は皆楽しそう。アッっという間の時間。再度縁があると良いのだが。

私は想像した。きっと、黒の法衣姿も美しいに違いない。

電車事故のあった日

2020-01-25 08:30:48 | 「とある日のこと」2020年度

電車事故のあった日

 電車運休が朝の通勤通学時間に起きた。人身事故。
 一時間後、ようやく動き出した電車に乗った。2回乗換して予約しているホールへと向う。どの車両も混雑している。

 開店30分前。入場料を払いホールを見渡せば、なんと、もう粗方の席が埋まっている。チャーターなので席は確保されていたので、仲間の間に滑り込んだ。

 13時開店なのだがスタッフが1人しかいない。あとの2人の到着が遅いのは電車事故のせいらしい。マスターが客に説明している。スタッフ1人ではどうにもならない。マスターもスタッフ不足を埋めようと、端から順番にお相手している。いつもは何曲も踊ることがないのと、高齢者ということもあって、息を切らせながら頑張っている。常連客が、「マスター、倒れたら大変だから、休み休み踊って」と声をかけていた。このような状態にも関わらず、客が次々と入店する。30人から40人と増え、ようやくスタッフ3人が揃った頃には、客数が50人を超していた。予備の椅子テーブルを設置したりして大騒ぎ。

 私の知る限りでは初めての事態。スタッフが一回りするには50人以上を熟さなければならない。今日は何回も踊れないなと覚悟した。幸い10人でのチャーターだったので、10回に1回踊ることになる。ペアが数組いたので、ホールは常に混んでいる。時には男足の出来る女性が女性相手に踊りだしたりするので猶更だ。いつものような大満足とはいかなかった。
 聞けば、昨日の客数は4人だったとか。商売とは難しいものだ。

踊り納

2020-01-01 10:27:23 | 「とある日のこと」2020年度


踊り納

昨年末の30日に一番近間のダンスホールへ踊り納に出かけた。

店のドアを開けた途端、「来てくれたんだねぇ、アリガト。ありがとうね」そう歓迎してくれたマスター。年末なので客入りが心配だったようだ。先客がいた。いつもの眼鏡の常連さん。私は先客に気遣いしたわけではなく、常連さんから離れたホールの中ほどの席に陣取る。マスターは「あれ、一人ぽっちになるよ」と気遣ってくれた。

 ダンスウエアーに着替えてくると、ポツポツと客が入っていた。三人のスタッフが揃ったダンスタイム開始時には、カップル1組と女性客4人。店内はがらんとしている。
「ありぁ、これじゃあ・・・みんな今日は忙しいよ。ダイエットになるぞ」とマスターが苦笑しながら言った。私は中8日開けての踊り日なので、体の硬さが気になっていた。

 音楽が流れスタッフは45分間のダンスタイムを、次々と踊ってくれる。どこの店も同じように、ワルツ、タンゴ、スローホックストロット、ラテン曲の順番で流れる。こんなに客数が少ないと、スタッフは連続で踊ることには慣れているが、吾等客の方はきっと疲れるに違いない。そう客の方で気を利かせ、「ラテンの時は休憩にしましょう」と誰かが提案した。

中盤になると、マスターがスタッフと客の人数分コーヒーを差し入れてくれた。それでもだんだんと息が弾んでくる。私は、一番人気の179cmのリードにも十分ついていけるフロアーの広さが気持ち良い。一年の締めくくりのダンスを堪能出来て良かった。
マスターが言った。「15年間の営業で、今日が一番の大赤字だったよ」