孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

「ウィキリークス」代表のアサンジ容疑者 ロンドンのエクアドル大使館バルコニーからスピーチ

2012-08-21 23:34:20 | 欧州情勢

(19日 ロンドンのエクアドル大使館バルコニーからスピーチするアサンジ容疑者 “flickr”より By Pan-African News Wire File Photos http://www.flickr.com/photos/53911892@N00/7815738740/)

【「アサンジュ代表の訴追は政治的で、公正な裁判を受けるとの保証もない」】
匿名により政府、企業、宗教などに関する機密情報を公開するウェブサイトである「ウィキリークス」は、2010年4月に米軍によるイラクでの民間人殺傷動画を、10月にはアメリカのアフガニスタン関連機密資料を、11月には同じくアメリカのイラク戦争関連機密資料を、更にアメリカの外交公電を公開したことで、世界の注目を集めました。
リークされたアメリカは違法な情報流失で国益が損なわれたとして怒っています。

創始者のアサンジ氏は、2010年8月、講演で訪れたスウェーデンで女性2人の家に滞在し、性的暴行などを行った疑いでスウェーデンから国際指名手配され、2010年12月にイギリスで逮捕されました。
しかし、保釈中の12年6月、エクアドルへの亡命を求めてイギリスのエクアドル大使館に逃げ込み、そまま現在もエクアドル大使館に保護されています。

エクアドルは16日、アサンジ容疑者の亡命を認めていますが、イギリス側は同氏の逮捕を求めて、大使館周囲に警官を配備しています。

****ウィキリークス代表の亡命認める エクアドル政府****
内部告発サイト「ウィキリークス」代表で、南米エクアドルへの亡命を求めて英国のエクアドル大使館に滞在中のジュリアン・アサンジュ容疑者(41)についてエクアドルのパティニョ外相は16日、亡命を認めることを発表した。
だが英国側は大使館を出れば逮捕する方針を表明しており、亡命が実現するかどうかは不明だ。

同外相は記者会見で、「アサンジュ代表の訴追は政治的で、公正な裁判を受けるとの保証もない」と亡命を認めた理由を説明した。【8月16日 朝日】
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アサンジ容疑者のエクアドル大使館での生活は“コンピューターで仕事をこなし、ルームランナーで運動し、電子レンジで調理をしながら忙しくしている”とのことで、まずまずの快適さのようです。

****ルームランナーや電子レンジ、アサンジ容疑者の大使館内での生活ぶり****
内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者、ジュリアン・アサンジ容疑者(41)は、ロンドンのエクアドル大使館の中で、コンピューターで仕事をこなし、ルームランナーで運動し、電子レンジで調理をしながら忙しくしているようだ。友人たちが語った。

1年以上にわたって自宅軟禁下のアサンジ容疑者を自宅に住ませた元陸軍士官のボーガン・スミス氏は、大使館内の設備は必要最低限だが十分に快適な環境だと語る。
「監房よりはもちろんいいさ」とスミス氏はAFPに語った。「というのも、1番の理由はコンピューターとインターネットを使えるからだ。仕事ができる、ということが彼の最大の関心事だからね」(後略)【8月21日 AFP】
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人権侵害の問題国エクアドルが亡命を認める皮肉
アサンジ容疑者は19日、エクアドル大使館のバルコニーから数百人の支持者を前にスピーチを行い、ウィキリークスに対する「魔女狩り」をやめるよう呼びかけています。
同氏は、スェーデンからアメリカへ送られることを強く警戒してると言われています。

エクアドルは人権団体アムネスティから“先住民族のリーダーなどの人権擁護活動家たちが、でっちあげの嫌疑で起訴された。治安部隊による人権侵害は解決されないままであった。貧困層の女性たちが文化的に適切で良質な保健サービスを受けられない状態が続いていた”【アムネスティ日本のホームページより】と評されている国で、「表現の自由、報道の自由」を求めるアサンジ容疑者の亡命先がどうしてエクアドルなのか?・・・という疑問もあります。

****アサンジ亡命を認めたエクアドルの魂胆****
・・・・・エクアドル政府はこのほど発表した3788語にわたる公式声明にて、アサンジがアメリカ政府による「政治的迫害」に直面しており、死刑になる可能性もあるとしている。

さらに、キューバのグアンタナモ米軍基地で国際テロ組織アルカイダのメンバーとされる容疑者たちが法的に「グレー」な状態に置かれていることを引き合いに出し、アサンジがアメリカに引き渡されれば人権侵害を受けかねないと主張する。
「もしアメリカへの送還が現実になれば、アサンジ氏は公正な裁判を受けられず、終身刑か死刑を言い渡されるだろう」と、この公式声明には記されている。

しかし、エクアドルのラファエル・コレア大統領の批判派は、この主張に偽善のにおいをかぎとるだろう。
人権擁護団体はこれまで、コレア政権が国内メディアによる政権批判を抑圧していると非難してきた。彼らに言わせれば、報道の自由においてエクアドルは南北アメリカ諸国でキューバに次いで劣悪な状態にあるという。
そのエクアドル政府がアサンジの「表現の自由、報道の自由と人権のための戦い」を称えるとは、彼らにとってはとんだお笑い草だろう。

報道の自由の擁護者に変身
「政権批判を行った日刊紙『エル・ウニベルソ』の論説者エミリオ・パラシオを亡命に追い込み、報道の自由のために活動するジャーナリストグループ『ファンダメディオス』代表のシーザー・リコルテのことを国営メディアを使って中傷する――そんな政権がアサンジの亡命を認めるとは、何とも皮肉なことだ」と、ニューヨークに本部を置くジャーナリスト保護委員会のカルロス・ローリア代表はブログで訴えた。

皮肉な点は他にもある。エクアドル政府は公式声明の中で、複数の法的前例や、世界人権宣言など16の条約・協定を並べたて、自国はそれらに基づいて「国際的な責務」を果たす必要があると主張している。
その中には、1948年の米州人権宣言と1969年の米州人権条約も含まれている。この2つは南北アメリカにおける人権擁護活動の柱とも言えるものだが、実のところコレアはこれらをアメリカの「帝国主義」の象徴として、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領らとともに猛攻撃してきた。

声明に込められたコレアの真の狙いは何なのか。時代遅れの法律を用いて政権批判を封じていると外国メディアに叩かれてきたコレアが、名誉挽回を目論んでいるとの見方もある。ファンダメディオスの代表リコルテによれば、「コレアはこの一件で、われこそが報道の自由の擁護者だと名乗りをあげるつもりだ」。【8月20日 Newsweek】
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アサンジ容疑者を支持しているのはエクアドルだけではありません。
2010年12月10日ブログ「ウィキリークス批判・創設者逮捕に対し、知る権利・表現の自由・報道の自由からの批判・反論も」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20101210)でも取り上げたように、公開された外交公電で「マフィア国家」と評されたロシアの「群れのボス犬」プーチン首相(当時)も、「アサンジ氏は、なぜ投獄されなければならなかったのか。これが民主主義か。まさに『自分のことを棚に上げて他人を批判する』行為だ」【12月10日 AFP】と、アサンジ容疑者の逮捕を「非民主的」だと強く非難しています。

もちろんロシアの「表現の自由、報道の自由」も、プーチン・教会批判を行った女性パンクバンド「プッシー・ライオット」に対する実刑判決を持ち出すまでもなく、非常にお寒い状況です。
普段、その自由の制約・人権侵害をアメリカから批判されていたエクアドルやロシアとしては、アメリカの二重基準的身勝手さをアピールしたい・・・といったところでしょう。

ウィキリークスによる機密文書公開については、判断に悩むところです。
外交公電のようなものが公開されては、水面下の本音での交渉を必要とする外交交渉が破綻する危険があります。
その一方で、「手が届かないと思われた民主主義を白日の下にさらした」(ブラジル・ルラ前大統領)という評価もあります。
「知る権利と安全保障確保や公的秩序との複雑なバランスの問題を提起した」(ピレイ国連人権高等弁務官)と言えます。

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