孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ノルウェーの仲介外交と武器輸出、日本の軍事支出は世界5位

2008-06-11 15:23:29 | 世相

(5月10,11日 スーダンの首都ハルツームのオムドゥルマンにダルフール反政府勢力が攻勢をかけました。そのとき押収された武器類がオムドゥルマンのモスクに展示されています。スーダン政府は反政府勢力を隣国チャドが援助していると非難して断交を発表しました。
そもそも、この武器弾薬はどこから来るのか?湧いて出てくる訳ではないでしょう。 “flickr”より By aheavens

最近「ああ、そうなんだ・・・」と印象に残った記事が
「ノルウェー:平和協議の一方で武器を輸出」【6月10日 IPS】
http://www.news.janjan.jp/world/0806/0806099072/1.php

【仲介外交】
ノルウェーというと、北欧の小国ながら、大国が手をこまねく紛争・問題を仲介して合意を取り付ける“仲介外交”で国際的に高く評価されている国です。
つい先月30日には、クラスター爆弾禁止に関し、それまで反対していた英・独・仏、そして日などをたくみにリードして、ほぼ全面禁止に近い内容の“ダブリン合意”をまとめあげたのもノルウェーです。

さかのぼれば、1993年にイスラエル政府とパレスチナ解放機構の間で協定された一連の協定“オスロ合意”もノルウェーの仲介によるものです。
また、2002年には同じくノルウェー政府の仲介で、スリランカ政府と反政府組織タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)との停戦協定が締結されました。

残念なことには、パレスチナの“オスロ合意”は事実上破綻しており、スリランカでも今年1月、政府は停戦協定破棄を決定しています。
小国の限界とも言えますが、合意に実効性を持たせるの仲介者ノルウェーの責務というより、大国を含めた国際社会の責任でしょう。

先日、クラスター爆弾禁止に向けたノルウェーの取り組みを扱った番組をTVで観ました。
“国際的紛争は、たとえ遠くの直接の関連の薄いものであっても、結局は自国の安全を脅かすものである”という信念で行動しているそうで、過去2回の世界大戦に心ならずも巻き込まれた経験によるものだそうです。
また、手法的には、NGOとの広いつながりを駆使して各国間の一致点を見つけていく方法が印象的でした。

【武器輸出】
そんな平和調停国ノルウェーは世界第7位の武器/弾薬輸出国だそうです・・・意外でした。
ノルウェー中央統計局によれば、2007年の武器輸出収入は前年比18パーセント増の4億2,500万ドルで、世界全体の3.5%です。

90年代にクルド反政府勢力と武装闘争を行っていたトルコなどへの武器輸出が行われていたことが問題になり、外務省への武器輸出年次報告を義務化し議会の監視、透明性の強化が図られたそうです。
そうした経緯で、露骨に紛争国に武器輸出するようなことはやっていませんが、輸出国からの再販の問題があります。
たとえば、ノルウェーから大量の武器を輸入しているチェコは、スーダン、アンゴラ、エジプト、サウジアラビアなどへの武器輸出を行っているとか。

【日本の軍事費】
“ものごとにはいろんな面があるんだね・・・”と思った次第ですが、日本も同じようなところがあります。
言うまでもなく、“平和憲法”を持つ日本について、少なくとも多くの日本国民は、“軍備にはあまり力を入れていない国”というイメージを持っています。(その良し悪しは今回問題にしていません。)
また、“日本は軍備にお金をかけないことで、これまでの経済成長を実現してきた。”ということもよく言われます。
批判する人からは“安保ただ乗り”という非難もあります。
しかし、軍事・防衛関係に興味のある方には“常識”ですが、軍事費に関して言えば、世界的には日本は相当な“大国”です。

*****07年の世界軍事支出、冷戦後の最高額…中国が初の3位*****
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が9日発表した「2008年版年鑑」によると、07年の世界の軍事支出は前年比6%増の1兆3390億ドル(1ドル=約105円)に達し、冷戦終結後の過去最高額を更新した。
 米国の支出が伸びたことに加え、世界的な原油価格の高騰が影響したと見られる。今年は中国が初めて3位に躍進、日本は前年と同じ5位だった。
 同研究所によると、全体の約4割にあたる米国は、イラクやアフガニスタンでの軍事費に加え、基地の維持費が伸び、前年比7%増の約5470億ドル。第二次世界大戦後では最高規模となった。中国は、新たな装備の購入や兵士給与の伸びなどから約583億ドルに達して、前年の4位から上昇、2位の英国に迫った。
 調査対象151か国のうち、軍事支出が前年を上回ったのは117か国に達した。支出総額は、世界の国内総生産(GDP)の2・5%に上る規模だ。【6月9日 読売】
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軍事費の不透明性が云々され、実際の軍事費は公表されているものの数倍ではないかとも言われる中国が順位を上げているのは、当然のことにも思えますが、日本が世界5位というのはどうでしょうか?
多くの日本人には意外な事実ではないでしょうか?

防衛費をGNPの1%におさえるという“1%枠”が予算編成のたびに取りざたされますが、GNP自体が大きいので、防衛予算も絶対額では相当のレベルになります。
もちろん、1%が低すぎるという立場の側からは、予算の半分近くが人件費等に食われているとか、研究開発費が非常に少ない・・・という問題点が指摘されています。
また、武器輸出を行っていないため、武器生産が限定され割高になっているという批判もあります。

2位がイギリス(597億ドル、以下単位省略)、3位が中国(583)、4位がフランス(536)で5位が日本(436)。
6位はドイツ(369)で7位はあのロシア(354)です。
1位は・・・というと、当然アメリカで5470億ドル。
2位以下が“どんぐりの背比べ”なのに対し、ひとり桁違いです。
“もっと生産的な分野に使えばいいのに・・・”とつい思ってしまいますが、そのアメリカに言わせれば、“アメリカのそんな軍事力で世界の秩序、日本の平和も保たれているんじゃないか”ということなのでしょう。

2006年の世界の武器売り上げで見ると、1位はアメリカ(2002億ドル)。
ついでEU諸国が合計で921億ドル、3位がロシアの61億ドル、その次4位が日本52億ドルだそうです。【6月10日 AFP】

こういった数字も“ものごとにはいろんな面があるんだね・・・”ということのひとつに思えます。
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