孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

日本のホテル事情 多様化する外国人観光客のニーズに対応が必要

2017-08-01 23:02:49 | 身辺雑記・その他

(成田でしょうか・・・【6月27日 Searchina】)

日本の“外国人向けゲストハウス”】
イラン観光から戻りました。
7月22日夕方に自宅を出て、帰国して自宅に着いたのが8月1日昼過ぎ。

帰国フライトは7月30日夕方で、バンコク経由(8時間弱の待ち時間)で、羽田には昨日31日の夜には着いたのですが鹿児島への乗継便がなく、東京で1泊して今日鹿児島へ・・・という次第です。
地方に住んでいると国内移動に時間を取られます。

帰国で緊張が緩んだせいか(今回はイランではスルーガイドを連れて観光していましたので、イラン国内でも緊張感はゼロでしたが・・・)旅の疲れのせいか、あるいは歳のせいか、東京で宿泊した羽田近くのホテルに充電中のノートPCを忘れてきてしまいました。大失敗。

今“ホテル”と言いましたが、“ゲストハウス”という方が実態を表していますし、名称も“ゲストハウス扇子”とのこと。

旅のスタイルは各人各様でしょうが、私はホテルに関しては、WiFiなど必要最低限の条件さえクリアできれば、安いほどいい(ホテルにお金を使う余裕などない・・・)という考えで、旅行先でも“ゲストハウス”をよく使います。

今回のイラン旅行では、日本からのネット予約がままならないこともあって、宿泊先もすべて現地旅行会社に丸投げしました。

ホテルにはお金を使う必要はないとは事前に言ってあったのですが、私の基準からすれば十分すぎるぐらいに立派なホテルでした。

ガイドの部屋代まで負担しますので、“もう少しリーズナブルなホテルでよかったのに・・・”という感も。
もっとも、何事につけ“ほどほど”というのは結構難しい基準ではありますが。

旅行先でもそんな調子ですから、国内移動のための宿泊となるとカプセルホテルなどもよく使います。
今回は更に安く、空港にも近くて便利なドミトリー形式のゲストハウスを使ってみました。

“扇子”という名称は日本らしさを意識したものでしょうか、宿泊客のほとんどは外国人で、昨夜も日本人は私一人のようでした。

部屋は二段ベッドが並んだドミトリー形式。


共用スペースには、今や日本文化を代表する存在ともなった漫画がずっらと並んでいます。

伝統的日本文化に関しても、頼めば1000円ほどで、ゲストハウス内の和室でオナー氏(その方面では相当な方だとか)による茶道体験もできるとのこと。

普段きちんとした“お茶”を経験する機会は日本人でもあまりありませんので、時間が許せば私も参加したかったぐらいです。

漫画や茶道など、外国人観光客が日本文化に触れる接点ともなっているようです。

不足している富裕層向け“五つ星ホテル”】
ところで、日本を訪れる外国人観光客が急増しているのは周知のところで、停滞傾向が顕著な日本にあっては、例外的に明るい分野ともなっています。

日本式の親切・丁寧な“おもてなし”は耳タコの話ですが、裕福な外国人観光客を対象とした“五つ星ホテル”が不足しているとか。

上記のように、ホテルは“ゲストハウス”で十分、どうしてホテルなんかにお金をかけるのだろうか?という私個人としては“五つ星ホテル”なんて無用の長物ですが、観光立国日本としては問題なのかも。

****外国人が心底失望する「日本のホテル事情****
・・・・2007年の訪日外国人観光客はわずか800万人強でした。残念ながらあまり景気のいいニュースを耳にしない日本で、「観光」は気がつけば10年で3倍もの成長を遂げている「希望の産業」なのです。(中略)ただ、その一方で「まだまだこの程度で満足してもらっては困る」というのも率直な感想ではあります。

確かに、日本の観光は順調に成長しています。たとえば、観光でいくら稼いだかを表す「国際観光収入」のランキングでは、日本は2013年に世界第19位でしたが、2015年には第12位までランクを上げて、トップ10入りが目前となっています。

しかし「上」を見上げれば、アメリカ、中国、スペイン、フランス、イギリス、タイ、イタリア、ドイツ、香港など、まだ多くの「観光大国」があるという厳しい現実もあるのです。(中略)

外国人富裕層ががっかりする「日本のホテル事情」
今回はそのなかひとつとして、「ホテル」の問題を指摘させていただきます。
日本経済は長年、成長をせずに来ました。これから人口減少が加速しますので、経済基盤が緩みます。観光戦略はその対策のひとつです。そう考えるとやはり、重視すべきは「観光客数」より「観光収入」だというのは明らかです。

そこで、観光収入を決定する要因を探したところ、驚くべき事実を発見しました。さまざまな分析をする中で、世界の高級ホテルに関するデータを見つけて、大きな衝撃を受けたのです。

Five Star Allianceという有名な「5つ星ホテル」の情報サイトがあります。そのデータによると、世界139カ国に3236軒の「5つ星ホテル」があります。では日本はどうかというと、日本国内でこのサイトに登録されている「5つ星ホテル」はわずか28軒しかありません。これは、ベトナムの26軒を少し上回る程度です。

「ひとつの国にある超高級ホテルの数なんてそんなものじゃないの」と思うかもしれませんが、実は外国人観光客が年間2900万人訪れているタイには110軒の「5つ星ホテル」があります。バリ島だけでも42軒です。年間3200万人訪れているメキシコにも93軒の5つ星ホテルがあるのです。

タイはすばらしい実績を上げています。2900万人の観光客しか来ておらず、物価水準も先進国の半分以下であるにもかかわらず、タイの観光収入をドル換算すると、世界第6位の観光収入を稼いでいる計算になります。

タイが観光でこれほど稼げる理由のひとつに、110軒の5つ星ホテルの存在があります。タイの実績は「特殊な娯楽」を求める人に支えられているという批判をたまに聞きますが、それは事実無根のただの偏見にすぎません。

年間2400万人の観光客が訪れ、G7の一角をなす「経済大国」であるはずの日本に、タイの4分の1、メキシコの3割しか「5つ星ホテル」が存在しない。これは明らかに、日本が国際観光ビジネスを重視してこなかった結果だと思います。(中略)

そんなものがなくても、日本にはすばらしい文化や「おもてなし」の心があるので、観光客の満足度には影響がないと主張される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、残念ながらそれは精神論をふりかざしているだけにすぎず、「観光大国」を目指すうえでの合理的な解決策とはいえません。

たとえば、日本には「一流」と言われる旅館が多くありますが、スタイルが非常に独特で、短期滞在に合わせた限定的なサービスなので、やり方を変えないかぎりグローバルスタンダードには合いません。

いくら日本人に評価されても、グローバルスタンダードから見ると良くて「3つ星」くらいです。外国人に泊まって欲しいならば、必要最低限の調整が必要です。「郷に入るなら郷に従え」という意見もありますが、外国人は「なら、郷には入らない」と考えます。これでは、観光戦略は成功しません。(中略)

「庶民向け」だけでは伸び代が小さい
「観光大国」と呼ばれる国の特徴に、さまざまな収入、さまざまな志向の観光客を迎え入れる環境が整っているということが挙げられます。

バックパックを背負って「貧乏旅行」をする若者やショッピングと食事目当てでやってくる近隣諸国のツアー客だけでなく、自家用ジェットでやってくる世界の富豪まで、さまざまなタイプの客が楽しめる「多様性」がカギなのです。

しかし、残念ながら今の日本の観光には「多様性」がありません。これは「観光」というものが、「産業」ではなく「庶民のレジャー」だった時代が長かったことの「代償」です。

いわゆる「1億総中流」のなかで誰もが楽しめ、誰もが泊まれることが最も重要視されたので、あらゆるサービスが低価格帯に固定化されてしまったのです。

人口が右肩上がりで増えていく時代に自国民が楽しむレジャーという位置づけならば、それも良かったかもしれません。しかし、人口が減少していくなかで、外国人観光客も対象とした「産業」として発展させていく場合、このような画一的な価値観は大きな足かせになることは言うまでもありません。

日本が「観光大国」になるには、このような「昭和の観光業」の考え方を捨て、観光には「多様性」が必要だという事実を受け入れることがどうしても必要です。

そのような意味では、「5つ星ホテル」を増やすことは、日本が早急に手をつけなくてはいけない改革のひとつなのです。【7月7日 東洋経済online】
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観光立国を進め、観光収入を増やしていくためには重要な指摘です。

ただ、何度も言うように、個人的には“住む世界が違う”話という感じで、あまり関心はありませんが。

観光収入を増やす・・・という観点からすれば、客単価を上げる富裕層をターゲットにした戦略が重要になります。

経済の観点からすれば“重視すべきは「観光客数」より「観光収入」だというのは明らかです。”ということになるのでしょうが、より広い視点に立てば、外国人観光客の増加は“等身大の日本を知ってもらう”という点で重要なことで、特に、中国・韓国といった相互理解がうまくいっていない国家間では、そうした視点が特に重要です。

その意味で、「観光客数」も非常時重要ですし、バックパックを背負った外国人観光客にも日本に対する“良い印象”をもってもらう必要があります。

日本のホテルは高すぎる・・・との声も 空港が簡易宿泊所化
“バックパックを背負って「貧乏旅行」をする若者やショッピングと食事目当てでやってくる近隣諸国のツアー客だけでなく、自家用ジェットでやってくる世界の富豪まで、さまざまなタイプの客が楽しめる「多様性」がカギなのです。”という点では全く同意見です。

富裕層向け“五つ星ホテル”はそういうものに関心がある方々にまかせるとして、「貧乏旅行」をする若者などをターゲットとした冒頭のような格安の“ゲストハウス”みたいな存在の拡充も必要に思われます。

富裕層向け高級ホテルだけでなく、格安・良心的ホテルも不足して問題化しているようです。

****外国人観光客が急増した結果、成田空港が簡易宿泊所状態に・・・毎晩泊まりに来る人も****
国を挙げた観光振興によって、外国人観光客の数が増えている。観光収入の増加は喜ばしいことだが、一方で少なからぬ問題や課題も突き付けられている。

中国メディア・今日頭条は25日、ホテルに宿泊しない外国人観光客により、成田空港が簡易宿泊所のような状態になっているとする記事を掲載した。
 
記事は、日本を訪れる外国人観光客が年間2000万人を超えたのに伴い、東京を含む多くの都市でホテルの宿泊料金が高騰、多くの外国人観光客が空港のロビーで「宿泊」することを選んでいると紹介。

成田空港のロビーは毎晩、横になって寝る外国人観光客でいっぱいになっており、早朝便を待つ乗客のほか、毎日空港にやってきて睡眠する外国人観光客も多く存在するとしている。
 
「毎日空港にやってきて睡眠する外国人観光客」は、適当な値段のホテルが見つからず、空港に寝泊りするしかないのだという。

一夜を過ごした翌朝は、トイレで洗顔したり着替えたりして旅行を続け、夜になると再び空港という「宿泊所」に戻ってくるとのことだ。

外国人観光客からは「行く場所がないから、空港で寝るしかない」、「日本のホテルは部屋が小さいうえ、値段が高すぎる」と不満の声が出ていると記事は伝えた。
 
さらに、同空港の関係者が「今は毎日200人以上の外国人観光客が空港に泊まりに来ている。今後さらに椅子や畳の数を増やすなどして、泊まる場所のない外国人観光客が寝られるスペースを拡張するつもりだ」と語ったと紹介。

また、観光庁のデータでは外国人観光客数の増加幅よりもホテルに宿泊する外国人数の増え幅がかなり低くなっており、この点からも外国人が空港で寝泊まりしている状況が浮き彫りになっているとした。
 
たとえ横になるスペースがあったとしても、プライバシーが確保されない空間での寝泊りは、観光客の疲れを取るには不十分と言わざるを得ない。また、窃盗などのリスクが高まり、治安面の不安もある。何らかの対策を講じる必要がありそうだ。【6月27日 Searchina】
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個人的には「五つ星ホテルがないから日本には行かない」という富裕層よりも、空港での寝泊まりを強いられる外国人に共感します。

イランでも“民泊”が最近急増しているとのこと。ホテル代の高いパリなど世界各地でも急増しているとも聞きます。

“民泊”というと、中国人観光客を相手にしたネガティブな印象を与える存在が話題にもなりますが、日本も環境整備を含めて、多様な外国人観光客のニーズに応えられるようにしていく必要があります。

観光客減少に悩む韓国 日本人一人旅対策も強化
中国の“報復措置”で中国人観光客が激減したお隣韓国は、日本人観光客も減少しており、観光業の再建が急務となっています。

****訪韓観光客がまた減少で2カ月連続100万人割れ、日本人も減=「日本が隣にあるのに、韓国に来る外国人がいる?」―韓国ネット****

2017年7月24日、韓国・ニューシスによると、韓国を訪れた外国人観光客が5月に続き6月も100万人に達しなかったことが分かった。

韓国観光公社が24日公表した「6月の韓国観光統計」によると、6月に訪韓した外国人観光客は99万1802人で、前年同月(155万4413人)に比べ36.2%減少、5月に続き2カ月連続で100万人を下回った。これで今年上半期(1〜6月)累計の訪韓観光客は675万2005人となり、前年同期(810万9847人)比で16.7%減少した。

5月の訪韓外国人客は、在韓米軍による高高度防衛ミサイル(THAAD)配備への報復として中国政府が下したとされる「禁韓令」の影響に加え、北朝鮮の核・ミサイル実験などによる安全保障への不安が重なり、前年同月比34.5%減の97万7889人、中東呼吸器症候群(MERS)の騒動以降1年10カ月ぶりに最低水準を記録していた。

6月の訪韓客の国・地域別統計では、中国人の減少幅が前月までよりさらに広がり前年同月比66.4%減の25万4930人、日本も16万7785人と、前年同月(18万192人)比で6.9%減少した。(中略)

こうした中、反対に韓国国民の海外旅行者の増加傾向は続いており、6月に出国した海外旅行者は前年同月比18.0%増の209万8126人を記録、上半期の累計海外旅行客は1262万人を超え、前年同期比18.7%増となった。

この報道を受け、韓国のネットユーザーからは「あなたが外国人だったら、韓国に来たいか?」「どう考えても韓国は観光に来る国じゃない」「見るべき場所もないのに誰が来る?」「韓国はぼったくりが多いから、観光客も敬遠するだろう」「景福宮(キョンボックン。ソウルにある李朝時代の正宮)くらいしか見る所がないしね」「魅力のない韓国だから…」など、外国人観光客が減少していることに納得する意見が多く寄せられた。

また、「日本は東京、大阪、九州、至る所に観光地がある。それに引き換え韓国はソウルぐらいしか行く所がない」「日本に1回だけ行ったことがあるけど、街はきれいだし、人は親切だし、昔の情緒もちゃんと残っている。こんな国が隣にあるのに、韓国に来るか?」など、日本と韓国を比較したコメントもみられた。【7月26日 Record china】
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そうしたなか、日本人観光客向けの対策も報じられています。

***韓国観光公社 一人旅の日本人用ガイドブック発行****
韓国を訪問する日本人観光客のうち、一人旅の個人旅行が増えていることから韓国観光公社が一人旅用のガイドブックを製作するなどしてマーケティングを強化することが1日、分かった。

観光公社は一人旅用の旅行ガイドブック・ソウル編を発行し、日本で配布している。同ガイドブックでは韓国で最近注目されている「ひとり飯」や「ひとり飲み」が紹介され、レストランなどの格付け本「ミシュランガイド」で星を獲得した店の情報、韓国で暮らす日本人が推薦する店などの情報が掲載されている。また手荷物配達サービスなど一人旅に便利な情報も提供されている。  

また観光公社は9月までに訪韓した日本人の一人旅の旅行者を対象に景品を贈るイベントを実施するほか、日本の情報サイトでの広報も進める。今後は一人旅に特化した情報をインターネットで提供し、専門ツアーを開発する予定だ。

JTBの調査によると、一人旅は2015年に家族や友達との旅行を超え、日本人の旅行客の23.6%を記録。毎年増加している。

観光公社関係者は「最近、北のミサイル脅威などにより訪韓日本人旅行客の市場が低迷しているが、外部状況が好転すれば、需要の回復は早いだろう」とした上で、一人旅を対象としたマーケティングを皮切りに、共働きで子どものいない夫婦や、定年を迎えた夫婦、ペットとの旅行など旅行客のライフスタイルに合わせたマーケティングを拡大していく予定と説明した。【8月1日 ソウル聯合ニュース】
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韓国に限らず、どこの国のツアーも“二人以上”が前提とされており、一人旅は非常に冷遇されています。(あるいは二人分を負担する形で高額となります。)

一人旅の重視・・・非常に結構な話で大賛成です。

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