孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

パレスチナ・ガザ地区  食糧支援中断は「死刑宣告を意味する」 停戦を求める国際圧力 米にも変化

2024-02-21 21:59:50 | パレスチナ

(食料を求めて殺到する住民(撮影・ガザ住民)【2月18日 土井敏邦氏 YAHOO!ニュース】)

【無秩序状態で滞る国際支援 食糧支援の中断は「死刑宣告を意味する」】
200万人が暮らすパレスチナ・ガザ地区での食糧難・飢餓が深刻化しています。秩序が失われ、食料を求める暴徒による襲撃・略奪によって国際支援も遂行できない状況にもなっています。

****WFP、ガザ北部への物資輸送停止 略奪と銃撃受け****
国連の世界食糧計画は20日、パレスチナ自治区ガザ地区では飢餓が広がっているにもかかわらず、ガザ北部への支援物資の輸送を停止すると発表した。車列が略奪と銃撃を受けたことから、安全確保のためとしている。

WFPは18日、3週間ぶりにガザへの物資搬送を再開した。予定では、7日間にわたって毎日トラックで食料を輸送することになっていた。

だが、18日には「トラックによじ登ろうとする人々」を阻止する事態にたびたび追い込まれ、車列がガザ市に入ると銃撃も受けたという。

翌19日には、「社会秩序の崩壊に伴う完全な混乱と暴力」に直面。「トラック数台が略奪され、運転手1人が殴られた。車内に残っていた小麦粉は、怒号が飛び交い緊張感が張り詰めたガザ市内で、勝手に分配された」という。

WFPは「安全に物資を配布できる状況が整うまで」は搬送を停止せざるを得ないとし、「ガザの状況はさらに悪化し、より多くの人が餓死する恐れがある」ため、苦渋の選択だったと強調した。

イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が始まってから4か月以上が経過する中、WFPによると、ガザでは食料と安全な水が「絶望的」に不足している。 【2月21日 AFP】AFPBB News
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ガザの地元当局は、食糧支援の中断は「死刑宣告を意味する」と指摘し、早期に再開させるよう訴えています。

更に、医療の崩壊による医療危機も深刻化し、仮にすぐに停戦が実現した場合でも、医療危機により半年間で8000人が死亡する恐れがあるとの予測もあります。

****WFP、ガザ北部の食糧支援を一時中断 略奪相次ぎ配布困難に*****
(中略)
WFPなどが北部の避難所などで行った調査では、2歳未満の子供の6人に1人が栄養失調に陥っており、食糧不足は危機的な状況だ。

中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、ガザの地元当局は20日、食糧支援の中断は「死刑宣告を意味する」と指摘し、早期に再開させるよう訴えた。

 ガザ地区では医療危機も続いている。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)がガザ地区で運営する保健センターは、全23カ所のうち中部と南部の計7カ所しか稼働していない。

ガザ地区で2番目に大きい南部ハンユニスのナセル病院はイスラエル軍の軍事作戦により機能を停止したが、世界保健機関(WHO)によると、患者130人が取り残されている。

ロイター通信は20日、すぐに停戦が実現した場合でも、医療危機により半年間で8000人が死亡する恐れがあるとの米英の専門家の試算を報じた。

ガザの保健当局によると、これまでの戦闘による死者は20日、2万9195人となった。【2月21日 毎日】
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戦闘が続けば、飢餓による栄養失調と医療崩壊による民間人犠牲者は更に増大します。

****ガザの死者、停戦でも8000人増加か 公衆衛生危機で=報告書****
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院と米ジョンズ・ホプキンス大学人道保健センターが19日公表した報告書によると、パレスチナ自治区ガザではイスラエルとの停戦が実現した場合も、公衆衛生の危機により今後6カ月で約8000人が死亡する可能性がある。

ガザでは戦闘により病院が壊滅的な被害を受け、人口230万人の85%以上が家を失った。過密な避難所では下痢や栄養失調に苦しむ人が増えている。

報告書によると、戦闘が続いたり激化した場合、外傷による死者が超過死亡の大半を占める見通しだが、栄養失調やコレラなどの感染症のほか、糖尿病などの治療を受けられないことにより多数の死者が出るとみられる。

戦闘が激化し、病気がまん延する最悪のシナリオでは、8月上旬までに約8万5570人が死亡し、うち6万8650人が外傷に関連した死者となる可能性がある。

停戦が実現しても、病気のまん延で衛生・保健状況の改善が進まない場合、8月上旬までに約1万1580人が死亡する恐れがある。うち約3250人は外傷に起因する長期合併症、約8330人は他の原因で亡くなるとみられる。(後略)【2月21日 ロイター】
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事態を更に悪化させているのが、国連機関UNRWA(国際連合パレスチナ難民救済事業機関)への米日などの資金拠出停止の問題。

2023年10月のハマスによるイスラエル襲撃に、UNRWAの一部職員が関与した疑いが浮上。アメリカや日本など10か国以上がUNRWAへの資金の拠出を停止しています。

UNRWAの清田明宏保健局長は
「もしUNRWAがなくなって支援が止まれば、こういう言い方はよくないが、死刑宣告の近い状態になってしまう」
「こういった国(米・英・仏・独・日本など、いわゆるメジャーな、拠出金を出している大きな国)というのは政治的なゲームにもなってしまっている、政治的なツールになってしまっていて、みんなアメリカに右へならえで拠出金を一時停止していますが、中には継続している国(ノルウェーなど)もあるわけです。 人道的な観点から資金提供を続けていかないと、人道危機というのはどんどん悪化していく。」
「ガザに住んでいる200万人以上の住人に対して、集団的懲罰といってもいい状態になっているということだと思います。」
と危機感を訴えています。【2月21日 TBS NEWS DIG】

【戦争継続・ラファ攻撃方針を変えないネタニヤフ首相】
こうした惨状に国際的な批判・懸念が強まるなかにあっても、イスラエル・ネタニヤフ首相は停戦合意を拒否し、行き場を失った140万~150万人が身をひそめる最後の拠点ラファに対する攻撃を強行する構えを続けています。背景には、戦争継続しかネタニヤフ首相の政治生命を維持する方策がないという政治事情があるとの指摘が以前からなされています。

また、国際社会が進める「2国家共存」を前提にした停戦後の構想にもネタニヤフ首相は強い拒否感を示しています。

****【包囲網は着々と】ネタニヤフ首相が停戦合意を拒否する2つの理由 もうこれ以上「戦争を人質」にして生き残ろうとするな****
イスラエル軍とパレスチナのイスラム組織ハマスとのガザ戦争は最終決戦地、南部ラファをめぐる攻防に移る一方、イスラエルのネタニヤフ首相は米国をはじめとする国際的な停戦圧力を拒絶、「完全勝利」まで戦闘を続行する姿勢を一段と鮮明にしている。なぜ首相はこうまで頑ななのか。政治生命を賭けた首相の粘り腰の背景を探った。

国際社会のイスラエル包囲網
(中略)(多大な民間人犠牲者が出ている)こうした状況にバイデン米大統領は「イスラエルの軍事行動はやりすぎ」「住民の安全を確保しないで攻撃すべきではない」「停戦するよう圧力をかけている」などとラファ攻撃に反対を表明。耳を貸そうとしないネタニヤフ氏を側近との会話で「ろくでなし」と罵倒した情報までリークさせ、イスラエルの攻撃を思いとどまらせようとしている。

批判を強めているのは米国だけではない。アラブの大国サウジアラビアのムハンマド皇太子はこのほど、開戦以来5回目の中東訪問となった米国のブリンケン国務長官と会談、その直後アラブの有力国指導者らと会合を開催、イスラエルに対し自制を求めた。英仏独や豪州、カナダなどもイスラエル批判のトーンを高め、国際社会からの「イスラエル包囲網」が強まった格好だ。

しかし、ネタニヤフ首相はハマス壊滅という「完全勝利」まで戦争を続行すると繰り返し、国際的な圧力を拒否。「ラファ攻撃をやめるのは戦争に負けるということだ」と述べ、ラファの住民を他の地域に退避させる計画を策定するよう軍に命令、ラファの制圧をイスラム世界のラマダン(断食月)が始まる3月10日までに終わらせるよう指示した。(中略)

だが、住民の移動手段もなければ、受け入れ先での水、食料、安全に眠る場所もほとんどない中で、どうやって140万人もの人々を動かそうというのか。病人や子ども、老人も数多くおり、退避は事実上不可能だろう。イスラエル軍はラファにはハマスの4個大隊が残っているとしており、しびれを切らした軍の一部が散発的な攻撃を始めている。

ネタニヤフの事情とバイデンの和平構想への目論見
ネタニヤフ首相がこうまで停戦を拒むのには大きな理由が2つある。1つは国内の政治的問題だ。首相は昨年10月7日のハマスの奇襲攻撃を察知できず、ユダヤ人市民ら1200人もの犠牲者を出した責任を厳しく問われ、戦争が終われば、直ちに辞任を余儀なくされるのは必至とみられている。

首相在任6期16年の海千山千のネタニヤフ氏も今度ばかりはその政治生命は風前の灯火というのが一般的な見方だ。支持率は15%にまで落ち、総選挙が行われれば政権を失うのは確実な情勢。政権を維持し、権力の座に留まるためには、国家の最優先課題として戦争を続ける以外にない。加えて、政権の一端を担う極右政党が停戦に同意すれば、離脱すると脅している事情もある。

もう1つの理由は米国や国際社会が求めるパレスチナ独立国家とイスラエルによる「2国家共存」という和平方式をなんとしても拒否する考えによるものだ。戦争の調停役のバイデン政権やカタール、エジプトなどはこのところ、パリ、カイロ、ミューヘンなどで停戦交渉を続けてきた。

米国やイスラエル・メディアなどの報道によると、合意案のたたき台としてまとまったのは▽6週間の停戦と人質の解放、▽パレスチナ暫定政府によるガザの再建と統治、▽国際平和監視団の展開、▽「2国家共存」方式による和平とその工程表――というのが骨子だ。この案の特徴は「単にガザ戦争の終結だけではなく、将来の中東和平の方式も含めて一括提案している」点だ。

案を主導したバイデン政権はこの機会に乗じて、中東和平問題を一挙に解決しようと図っている。当然、11月の米大統領選挙に向け、外交実績としてアピールする思惑があるのは確か。バイデン大統領の対イスラエル政策に批判的な若者の支持取り込みを狙ったものと言えるだろう。

外堀を埋められているのに反発
ブリンケン国務長官はネタニヤフ首相との会談で、イスラエルへの誘い水として、案に同意すれば、アラブの大国サウジアラビアがイスラエルとの国交樹立に応じる意向であることを伝えたという。バイデン政権はアラブ諸国や欧州主要国にこの案を根回しし、イスラエルが拒めないよう外堀を埋めにかかった。

だが、こうした米国の行動が「パレスチナ国家創設には断固反対」との立場をとる首相を怒らせることになった。首相はこれまで、中東和平の道筋を示した「オスロ合意」を「イスラエルが調印したのは決定的な過ち」と批判、「パレスチナ国家を阻止してきたことを誇りに思う」などと「2国家共存」を絶対に拒絶する考えを強調してきたからだ。

首相としては、パレスチナ国家樹立を盛り込んだ停戦案など受け入れるつもりはハナからなかった。ハマスがこの提案に対して、「4カ月半の停戦」と「イスラエル軍のガザからの完全撤退」などを要求したことはむしろ〝渡りに船〟だっただろう。首相はハマスの要求を「妄想」と一蹴、その過大な要求のせいにして交渉を担当していたイスラエル特務機関モサドの長官を引き揚げさせた。

極めつけはネタニヤフ政権が2月18日、「2国家共存」という国際社会の求めを拒絶、「パレスチナ国家の一方的な承認に反対する宣言」を公式に発表したことだ。英政府などが実際のパレスチナ国家樹立に先立って「国家」を象徴的に承認しようとの動きを見せたことをけん制したものだ。

しかし、停戦交渉を拒否した首相に展望があるかと言えば、見通しは暗い。140万人の住民らの避難が進まないまま、ラファへの本格攻撃に踏み切れば、バイデン政権はじめ国際社会の反応は苛烈なものになるだろう。

米紙などによると、軍や情報機関は多くの住民や人質を犠牲にするような高い代償を払っても、ハマスを完全に壊滅させることはできない、と分析している。「歴史は決してイスラエルに甘くないだろう」(識者)。

「戦争を人質にして政治的な生き残りを図る」ネタニヤフ首相の手法は限界を迎えている。【2月20日 WEDGE】
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【イスラエル支持のアメリカも「イスラエルに対する不満を明確に示し始めた」】
ネタニヤフ首相への国際圧力が強まっているとは言うものの、アメリカは表向きのイスラエル支持姿勢はまだ変えておらず、安保理での「即時停戦」決議案に対し拒否権を行使しています。

ただ、アメリカが「一時停戦」を求める代替案を用意するなど、「米国がイスラエルに対する不満を明確に示し始めた」との指摘も。

****ガザの「即時停戦」決議案、米がまた拒否権行使…日本や中国など13か国賛成****
国連安全保障理事会は20日、イスラエルとイスラム主義組織ハマスの交戦が続くパレスチナ自治区ガザでの「即時停戦」を求める決議案を採決し、常任理事国の米国の拒否権行使で、否決された。

米国は即時停戦は人質解放交渉に不利になると判断しており、今後、ハマスが拘束を続ける人質の解放を前提に「一時停戦」を求める代替案の採択を目指す構えだ。

昨年10月に始まったガザでの戦闘を巡る安保理決議案で米国が拒否権を行使したのは4回目。否決された決議案は、アラブ諸国を代表してアルジェリアが提出した。人道目的の即時停戦や、ガザでの民間人の強制退去の停止など求めた。採決での賛成は全15理事国のうち、日仏中など13か国だった。英国は棄権した。

米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は採決前、「人質解放の合意がなければ、即時停戦をしても和平は実現しない」と述べた。米国が19日、「人質全員の解放を前提に早急な一時停戦の実現を求める」とした代替案を理事国に配布しているが、この日は採決にかけなかった。

米国はこれまで戦闘継続を重視するイスラエルに配慮して「停戦(ceasefire)」との表現に反対してきた。米国が代替案で初めて停戦という言葉を使ったことについて、安保理筋は「米国がイスラエルに対する不満を明確に示し始めた」と分析した。米国は、イスラエルによるガザ最南部ラファへの軍事侵攻前に代替案の採択を実現したい考えだ。

一方、決議案に賛成したロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、「米国の拒否権によってガザ住民の運命が破滅に追いやられる」と非難した。【2月21日 読売】
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ロシアだけでなく、中国の張軍・国連大使も「米国の拒否権は誤ったメッセージを送り、ガザの状況をより危険にする」「大虐殺に許可を与えるのと変わらない」とアメリカの対応を批判しており、このままではバイデン政権は国際的にもイスラエルと一緒に泥を被ることになりかねません。

また、アメリカ国内事情としても、従来のバイデン支持層である若者らにイスラエル批判が強まっており、大統領選挙の足かせにもなってきています。

バイデン政権がネタニヤフ首相の首に鈴をつけることができるのか・・・200万人ガザ住民の生命がかかっています。

ハマスをめぐる国際的なパワーゲーム、誰がハマスを支えてきたのか・・・は判然としません。ネタニヤフ首相自身がパレスチナ自治政府への対抗勢力としてハマスに資金的便宜を図り、アメリカも黙認していたと言われています。トルコやカタールもハマスを支援してきました。

そのあたりの水面下の事情はよくわかりませんが、ラファへの攻撃が行われたら、膨大な民間人犠牲者が出るのは確かなことです。
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