孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ルワンダの虐殺から十余年、隣国コンゴで続くフツ・ツチの抗争

2009-01-23 20:51:16 | 国際情勢

(隣国ルワンダから流入したFDLR、これに敵対するるヌクンダ将軍の勢力、そして自国コンゴ政府軍の残虐行為に苦しむコンゴの人々 政府要人の説明にも、家を終われ暴行に苦しむ人々の怒りは消えません。
“flickr”より By Julien Harneis
http://www.flickr.com/photos/julien_harneis/434822504/)

ルワンダにおいて、約100日間で国民の10人に1人、少なくとも80万 - 100万人が殺害されたというジェノサイドが起きたのが1994年。
その殺し合いが、それまで隣人として暮らしていた人々の間で行われたということが、心を重くします。

もちろん今のルワンダはカガメ大統領のもとで、復興・国民融和を進めていますが、当時虐殺を行ったとされるフツ族勢力の一部は隣国コンゴに逃れ、今も紛争・対立が続いています。
ルワンダの混乱は完全に終わった訳ではありません。

【ルワンダ・フツ族勢力 FDLR】
****コンゴ北部でルワンダ虐殺の主導勢力掃討、国連・メディアの立ち入り不可*****
コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部の北キブ州で、同州を拠点とするルワンダ解放民主軍(FDLR)に対するコンゴ軍とルワンダ軍の共同掃討作戦が本格化する中、コンゴ軍は21日、国連コンゴ監視団(MONUC)や援助団体、報道機関の現地立ち入りを禁じた。

MONUCによると、ルワンダの多数派フツ人で構成されるFDLRが拠点を置く同州には20日以後、4000人程度のルワンダ兵たちが流入しているという。
コンゴ・ルワンダ両政府が20日に発表した共同作戦をめぐっては、ルワンダ軍が1990年代にコンゴで虐殺を行ったと主張するコンゴの市民や議員などから、怒りや不安が噴出している。一方、国連や援助機関は、作戦で市民の犠牲が出ることに懸念を表明している。

FDLRは、ツチ人およびフツ人穏健派80万人が犠牲になったとされる1994年のルワンダ大虐殺で中心的な役割を果たした。FDLRの兵士たちはその後、隣国コンゴに脱出し、北キブ州に拠点を築いた。これが10年以上にわたり、同州の政情不安を招いている。【1月22日 AFP】
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【FDLRと敵対するツチ族・ヌクンダ将軍の勢力CNDP】
コンゴ東部の北キブ州と言うと、昨年末、元コンゴ軍の将軍、ローラン・ヌクンダ氏が率いる「人民防衛国民会議(CNDP)」と政府軍との抗争が世界的懸念を集めていた地域です。
CNDPと政府軍の戦闘は昨年8月下旬から東部の中心都市ゴマの北で起き、10月下旬に激化しました。
政府軍は10月下旬に退却を始め、かわりに国連のPKOである国連コンゴ監視団(MONUC)が反政府勢力の矢面に立つ形となりました。
そして、この間の戦闘・混乱で住民被害(殺害・暴行・レイプなど)が拡大したと言われています。

国連安保理は昨年12月22日、国連コンゴ監視団(MONUC)の任期を来年末まで1年間延長し、人道支援要員ら文民の防護を最優先任務にするとの決議案を全会一致で採択しました。
“決議はMONUCに情勢悪化の著しい同国東部での活動強化を要請したほか、武装勢力との交戦に関しより広い裁量権を与える表現を盛り込んだ。安保理は先月、MONUCの約3100人増員を承認している。”【12月23日 時事】
今現在、どういう状況になっているのか、私はよく把握していません。

【FDLR、CNDP、コンゴ政府、ルワンダの抗争】
CNDPは、94年のルワンダ虐殺で犠牲になったツチ族を、コンゴ政府軍の支援を受けるフツ族民兵の襲撃から守ることを名目としており、ルワンダ政府の支援があると指摘されています。
この“フツ族民兵”というのが、上記AFP記事にあるルワンダ解放民主軍(FDLR)です。
ですから、94年のルワンダの虐殺、冒頭記事にあるフツ族・ルワンダ解放民主軍(FDLR)へのコンゴ・ルワンダの共同作戦、そして昨年末のヌクンダ将軍のツチ族・人民防衛国民会議(CNDP)と政府軍の闘い・・・これらはすべて繋がっています。

ルワンダのカガメ大統領は,コンゴのカビラ大統領に対してコンゴ国内のFDLRを解散させ追い払うべきであると圧力をかけ続けてきました。
一方ヌクンダ将軍は,カビラ政権こそがFDLRが起こす反乱を直接支援しているのだと批判してきました。

ルワンダ・カガメ大統領はヌクンダ将軍が行ったとされる虐殺行為については、これを批判していますが、ツチ族を守る形で、かつてジェノサイドを起こしたFDLRと争う活動については同情的で、CNDPを支援しているとも言われます。

ただ、コンゴ政府軍と対立するCNDPの反政府活動をルワンダが支援しているという話の一方で、冒頭記事にあるように、CNDPが敵対するFDLRにたいしては、コンゴ政府とルワンダ政府が共同作戦を行う・・・このあたりの関係は、よくわかりません。

カガメ大統領はルワンダ国内においては、フツ・ツチの区分を禁止して融和策を勧めていますが、隣国コンゴにおいては、ジェノサイドを思い起こさせるフツ・ツチの抗争が未だ続いています。


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