孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ボリビア・モラレス大統領、辞任・亡命に 割れる評価  揺れるチリ、注目されるブラジル・ルラ氏釈放

2019-11-12 22:40:40 | ラテンアメリカ

(亡命のため乗り込んだメキシコ空軍機内でメキシコ国旗を持つボリビアのモラレス氏=11日【11月12日 毎日】)

 

【ボリビア  クーデターか民意の反映か】

南米ボリビア大統領選挙では、事実上、憲法の再選規定を破って4選を目指して出馬を強行した左派モラレス大統領と野党候補の争いとなり、開票率約83%段階の選管当局の集計速報によると、得票率はモラレス氏が約45%、メサ氏が約38%と、その差が10ポイント未満で決選投票が行われると見られていました。

 

しかし、その後その後集計速報が止まり、21日夜に再開するとモラレス氏がリードを10ポイント超に広げており、決戦投票なしでモラレス氏が当選した・・・との結果発表が。

 

さすがにこれでは野党候補側が納得するはずもなく、国際社会も集計発表が中断した24時間に何が起きたのか説明を求めていました。

 

その後は、国内外の批判に加え、軍・警察からも辞任を迫られる形で、結局、モラレス氏は辞任を発表、更に「生命の危機にさらされている」としてメキシコに亡命することに。

 

****メキシコ亡命申請 ボリビア大統領、出国か****

南米・ボリビアで退陣を求める声に押されて辞任を発表したモラレス大統領が11日、メキシコに亡命を申請し、すでに出国したとみられる。

モラレス大統領は先住民出身の左派で、先月の大統領選で4選を果たしたが、ロイター通信などによると、得票に不正操作があったとの疑惑が浮上し、激しい抗議デモが続いていた。

 

さらに、軍や警察からも辞任を迫られたことなどから、10日、辞任を発表した。

11日には同じ左派の大統領が政権を握るメキシコに亡命を申請。メキシコは「生命の危機にさらされている」などとして、亡命を受け入れる方針を示していた。

メキシコの外相は、「モラレス氏を乗せた軍用機は出発した」とツイッターに投稿していて、すでにボリビアを出国したとみられる。【11月12日 日テレNEWS24】

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今回の一連の動きに関しては、野党勢力・軍によるクーデターとするモラレス氏側・左派政権諸国・ロシアと、民意の反映とする野党勢力・右派政権諸国・アメリカで評価が分かれています。

 

****クーデターか、民意の表れか ボリビア大統領のメキシコ亡命が生む新たな混乱****

大統領選の開票作業で不正があったと指摘されたことなどを受け辞任表明した南米ボリビアの左派、モラレス大統領は11日、亡命先のメキシコに向け空路出発したとツイッターで明かした。

 

国内では与野党双方の支持者間で衝突が相次ぎ、暫定大統領の選任手続きは進んでいない。モラレス氏の辞任は民意によるものか、あるいはクーデターと見るべきか、国内外の見方は割れ、混乱が拡大する懸念が出ている。

 

モラレス氏はツイッターで「政治的な理由で国を離れるのはつらい。より多くのエネルギーを備えすぐに戻ってくる」と復帰を誓った。

 

これに先立ち、同じ左派政権のメキシコはモラレス氏が亡命申請をし、これを受け入れたと発表していた。モラレス氏は、野党が操る軍に迫られ辞任に追い込まれた「クーデター」だと主張。メキシコやベネズエラ、ニカラグアなど中南米の左派諸国やロシアも同調した。

 

一方、野党側は「国民の抗議活動は、不正に対する民主的行動」だったとし、ブラジルやアルゼンチンなど周辺の右派諸国もこれを支持する。米国のトランプ大統領も「自由を求めるボリビア国民と憲法を守るボリビア軍を称賛する」とモラレス氏の辞任を歓迎。

 

さらに「民主主義は常に勝つという強力なメッセージだ」と述べ、独裁色を強めたことを理由に米国が制裁を科すベネズエラとニカラグアに警告した。

 

11日にモラレス氏の辞表を受け取った国会は12日、辞任の承認や暫定大統領の選任手続きを進める予定だ。だが、大統領不在の場合に代理を務める副大統領や上院議長らも一斉に辞任。

 

野党のアネス上院第2副議長は、自身が暫定大統領を務め、やり直し大統領選を管理すると主張するが、混乱は避けられそうにない。

 

国会がある事実上の首都ラパス周辺では、辞任を認めないモラレス氏支持者が幹線道路を封鎖し、議員の登庁を妨害する構えだ。対抗する野党支持者は国会周辺に陣取っており、双方の衝突は各地で相次いでいる。略奪や放火も続発し、ほとんどの学校や店舗は閉まり、公共交通機関はストップした。

 

2006年にボリビア初の先住民出身の大統領となったモラレス氏は、貧困層を中心に人気が根強い一方、今回の大統領選には事実上、憲法の多選に関する規定を破って出馬し「独裁的」と批判を受けた。選挙結果についても米州機構(北米・中南米の全35カ国加盟、OAS)が不正と指摘していた。【11月12日 毎日】

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おかしな小細工をせずに決選投票を行っていれば、第1回投票で45%あまりを獲得していたモラレス氏ですから、十分に勝機はあったようにも思うのですが・・・・

 

これまでの3回の大統領選挙では1回目決めており、決選投票はしたくないという長期政権の「驕り」でしょうか。

あるいは、決選投票にもつれ込んだ際の結果に対する「不安」でしょうか。

 

周辺国の評価が割れているため、10日段階では亡命機が出国できていない・・・といった報道もありました。

 

“別の報道によると、モラレス氏を乗せた大統領機は10日午後3時40分ごろ、アルゼンチンに向け離陸したが、国境を接するアルゼンチン、チリ、ペルー、ブラジルに領空の飛行を拒否された。専用機はその後、モラレス氏の政治的な地盤であるボリビア中部コチャバンバ県の空港に着陸した。”【11月12日 朝日】

 

亡命を受け入れたメキシコは左派のロペスオブラドール氏が昨年12月、大統領に就任した左派政権で、「メキシコ政府がモラレス氏を迎えに行く」とも報じられていました。

 

モラレス氏の亡命、後任大統領が決まらないという権力の空白が生じており、一部では暴動も起きているようです。


****ボリビア、モラレス氏辞任で権力の空白 暴動も****

南米ボリビアでは、先月の大統領選での不正疑惑をめぐり数週間にわたり続いた抗議デモの末にエボ・モラレス大統領が電撃辞任したことで、権力の空白状態が生まれている。モラレス氏は11日、自身の地位を奪った反対派勢力に対し「国の平和を回復する」よう求めた。

 

同国の政府所在地ラパスの一部と近郊のエルアルトでは10日夜、略奪行為が起き、店舗やオフィスが破壊された。ラパスのルイス・レビジャ市長は「ラパスは恐怖の夜を過ごした」と述べ、暴動によりバス64台が破壊されたと明らかにした。

 

アンントニオ・グテレス国連事務総長は、指導者不在の様相が強まる同国での治安状況に懸念を表明。米州機構も「平和と法の秩序の尊重」を呼び掛けた。

 

同国ではモラレス氏の辞任表明後、大統領権限の継承者である副大統領や上下両院の議長らが次々と辞任したため、誰が最高指導者の地位にいるのかについての疑問が生じている。

 

大統領権限を継承する次の人物として憲法で定められているヘアニネ・アニェス上院副議長は、新たな選挙の迅速な実施を宣言した。議会は12日、暫定大統領の選出手続きを開始する予定。

 

10日の辞任表明後、コカノキ栽培で知られる同国中部チャパレ地方に逃れたモラレス氏は、ツイッターで、反対派勢力に対し同日起きた暴動の「責任を取る」よう要求。

 

同国初の先住民出身大統領だったモラレス氏は、大統領選を争った野党のカルロス・メサ元大統領と反モラレス派指導者ルイス・フェルナンド・カマチョ氏について、「人種差別主義者でクーデターを企てた人物として歴史に残るだろう」とも述べた。 【11月12日 AFP】

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【チリ 反政府デモの要求に屈する形で新憲法策定に着手】

以前から取り上げているように、南米ではボリビア以外でも、左派政権のバラマキ政策で財政が悪化、右派政権に代わったものの、「痛みを伴う改革」に国民が反発・・・といった形で政治混乱が起きていますが、そのひとつがチリ。

 

チリでは先月20日のデモ開始時からこれまでに20人が死亡したとのこと。

デモの影響で、ピニェラ大統領は年内に予定していたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と国連の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の開催中止に追い込まれていました。

 

****反政府デモ続くチリ、改憲へ デモ隊の主要要求****

反政府デモが3週間にわたって続いているチリのゴンサロ・ブルメル内相は10日、新憲法の草案作成が始められると発表した。

 

新憲法の草案は憲法制定会議で作成され、その後国民投票によって承認されるという。アウグスト・ピノチェト独裁政権(1973〜90年)下で制定された現憲法の改正はデモ隊の主要な要求の一つだった。

 

発表に先立ちブルメル内相は、これまで改憲に最も消極的だった中道右派と右派による政党連合と協議した。

 

チリではここ3週間、低い賃金、高い教育費や医療費、一握りのエリート層による政治と経済の独占、格差の拡大などに不満を爆発させた市民らが、時に暴徒化しながらデモを繰り返している。

 

発端は、地下鉄料金の値上げに反対して10月18日に始まった抗議行動だったが、デモの規模は拡大し、物を燃やしたり略奪したりする行為や、デモ隊と警察の衝突が頻繁に起きた。

 

デモ隊が掲げる要求の一つが改憲だが、世論調査会社カデムが3日に発表した調査結果によると、国民の87%が憲法改正に賛成しているという。 【11月11日 AFP】

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新憲法策定に着手するということで、ここ数週間にわたる反政府デモの要求に屈した格好ともなっています。

 

【ブラジル 人気が高いルラ元大統領釈放で左派が息を吹き返すか?】

一方、「ブラジルのトランプ」ことボルソナロ大統領のブラジルでは、国民的人気の高いルラ元大統領が釈放されたことで、今後の動きが注目されています。

 

****ブラジル、ルラ元大統領釈放 経済改革への影響に懸念も****

収賄罪などで有罪判決を受け、昨年から服役していたブラジル元大統領のルラ被告が8日、裁判所の判決によって南部クリチバの収監先から釈放された。金融市場には動揺が走り、政界では右派、左派ともにデモを呼び掛けるなど反響が広がった。

ルラ被告は、昨年の大統領選で勝利した極右のボルソナロ大統領について、自身が所属する左派・労働党が2002─16年に担った政権を「略奪」したと批判。

ただ、市場では、ルラ被告が政界に復帰し、野党を一致結束させて市場寄りの政策を推進するボルソナロ政権に対抗するとの懸念が広がり、通貨レアル<BRBY>と主要株価指数のボベスパ<.BVSP>は同日、ともに1.8%下落した。

最高裁は7日、二審で有罪になれば刑の確定を待たずに収監されるとする判例は違憲との判断を下した。これを受けて連邦裁判所は8日、ルラ被告の釈放を認めた。ルラ被告は昨年、収賄罪で禁錮8年10月の有罪判決が言い渡されていた。被告は無罪を主張している。

コンサルティング会社アルコのルーカス・デアラゴン氏は、ルラ被告の釈放は「労働党を強めるだけでなく、アンチ・ルラ、ひいてはボルソナロ派の強化につながるとみられる」と指摘。

議会における労働党の勢力は弱いため、ルラ被告の釈放がボルソナロ政権の掲げる経済改革にすぐに影響を与えるとは言い切れないものの、来年の地方選挙を前に左派が息を吹き返す可能性はある。

デアラゴン氏は「市場にとって大きな問題は2020年の選挙にルラ氏が立候補できるかどうかで、その可能性は低い」とした。

人を引き付ける演説力でカリスマ的な人気を誇ってきたルラ被告だが、2025年まで選挙に立候補すことが禁じられている。今回の釈放は三審で刑が確定するまでの措置で、裁判が長期化する可能性もある。【11月11日 ロイター】

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