孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イギリス  離脱に関する曖昧な妥協が有権者から拒否された欧州議会選挙 今後のブレグジットは?

2019-05-27 22:41:38 | 欧州情勢

(画像は【527日 BBC】再び表舞台に返り咲いたブレグジット党のファラージ党首(右) 「我々はチームの一員となるべきだ」と、離脱を巡る交渉への参加を認めるよう求めています。そうした要求が入れられることはないと思いますが、保守党を離脱強行に突き動かすことで、今後の流れに大きく影響することにも。

それはともかく、どうしてこの人の写真はいつも大口を開けているのもばかりなのでしょうか?)

 

【予想されたほどは伸びなかったEU懐疑派】

今後の欧州情勢に影響する選挙として注目され、23日から26日にかけて欧州各国で実施された欧州議会選挙の結果が明らかになりました。

 

EU懐疑派の極右・ポピュリズム勢力の勢力拡大が予想されていましたが、実際に拡大はしたものの、予想されたほどの伸びはなく、親EU派が数は小幅に減らしながらも全体の3分の2を維持する結果となったようです。

 

****親EUで多数派維持=投票率、25年ぶり5割超―欧州議会選****

23〜26日に実施された欧州議会選挙では、投票率(暫定)が50.95%となり、過去最低だった5年前の前回(42.61%)を上回った。1979年の直接選挙導入以来、初めての上昇で25年ぶりに5割を超えた。

 

親EU勢力とEU懐疑派の対決構図となり、市民の関心が高まったとみられる。選挙結果は親EU全体では多数派を維持する見込みとなり、懐疑派は伸長したものの、限定的となった。

 

27日未明時点の開票集計では、定数751のうち親EUの主流である第1会派の中道右派「欧州人民党(EPP)」が179(現有216)、第2会派の中道左派「欧州社会・進歩連盟(S&D)」は150(同185)と大幅減となった。

 

ただ、EUの統合深化を掲げるフランスのマクロン大統領の与党「共和国前進」やリベラル会派「欧州自由民主連盟(ALDE)」の連合は107(同69)、環境系の「緑の党・欧州自由連盟」は70(同52)と躍進。これら親EU会派合計では506と全議席の約67%を占め、現有522からの減少は小幅となった。

 

EU懐疑派では、イタリアの極右「同盟」が国内で33.6%、フランスの「国民連合」が23.5%の票を獲得しそれぞれ第1党となったほか、ドイツの「ドイツのための選択肢(AfD)」も得票率を伸ばした。

 

しかし、汚職スキャンダルが発覚したオーストリアの極右・自由党は議席を一つ減らしたほか、オランダのウィルダース党首率いる自由党は現有4議席を全て失うなど、懐疑派内でも明暗が分かれた。【527日 時事】

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親EU勢力とEU懐疑派の対決構図、EU懐疑派拡大の予測のなかで、EU支持傾向は強いものの従来は国内選挙とは異なる欧州議会選挙には関心が低かった若者らの投票率も高まるなど、危機感を強めた親EU派の“バネ”が、一定に働いたようです。

 

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それでもなお、EPP(議会第1会派の中道右派・欧州人民党)とS&D(中道左派の欧州社会・進歩連盟)の大連立が過半数割れとなったことで、議会の一部プロセスが複雑化する可能性がある。

 

100議席超の勢力となったリベラル会派と70議席前後を掌握した緑の党は発言権拡大を求めるとみられる。

そうなれば、次期EU指導部は環境規制や多国籍企業への課税、貿易相手国への環境面での協力要請などを強化する可能性がある。【527日 ロイター】
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一方、EU懐疑派のイタリアの「同盟」、フランスの「国民連合」が、予想どおりの勝利を実現しましたが、全体としてはもくろみがやや外れた格好にも。

 

EUとしては、ひとまず安堵の結果というところでしょう。

 

*****欧州議会選、親EU勢力内で明暗分かれる 懐疑派は伸び悩む*****

(中略)ブリュッセルに本部を置くシンクタンク、ブリューゲルの責任者、グントラム・ウルフ氏は「重要なのは、極端な政策を掲げる勢力はそれほど議席を伸ばさなかったということだ」と指摘した。

ルクセンブルクのベッテル首相はツイッターに「欧州の勝利だ。投票率は非常に高く、親EU政党が最も強い」と投稿した。(後略)【527日 ロイター】
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【イギリス 離脱か残留か「有権者は明快さを求めた」】

EU離脱の迷走からメイ首相が辞任に追い込まれたイギリスでは、国民投票時の離脱の旗振り役だったファラージ氏のブレグジット党が予想どおりに勝利、二大政党は埋没という結果でしたが、残留支持派の自由民主党なども勢力を拡大し、「有権者は明快さを求めた」という結果に。

 

**** 英でブレグジット党が圧勝 2大政党は大敗****

欧州連合(EU)の加盟26カ国で投票された欧州議会選挙の開票が26日始まり、イギリスではEUからの離脱(ブレグジット)を掲げるブレグジット党が最多議席を獲得し、EUへの残留を主張する自由民主党がそれに次ぐ見通しとなっている。

 

国内2大政党の与党・保守党と最大野党・労働党は、共に大きく議席を減らす見込み。特に落ち込みが深刻なのが保守党で、得票率は10%に満たないと予測されている。

 

ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首は、今回の結果から2大政党は「多くのことを学べるだろう」と述べた。

 

ブレグジット党が28議席以上を確保

欧州議会でイギリスに割り振られている73議席のうち、これまでに64議席が確定している。内訳は、ブレグジット党28議席、自由民主党15席、労働党10議席、緑の党7議席、保守党3議席、ウェールズ地方の地域政党プライド・カムリ党1議席。(中略)

 

選挙分析を専門とするサー・ジョン・カーティスは、EUからの合意なし離脱を支持するイギリス独立党とブレグジット党の合計得票率が約35%、ブレグジットの是非を問う国民投票のやり直しを求める複数政党の合計得票率が約40%となる見通しだと指摘。これはイギリスがいかに分断しているかを示す結果だと説明した。(中略)


 

<分析>有権者は明快さを求めた――ローラ・クンズバーグ政治編集長

ブレグジットをめぐる議会の溶解を受けて、2大政党がともに厳しい罰を受ける結果となった。

反対に少数政党にとってはどうだったか? 自由民主党が浮揚し、もちろん、復讐心に燃えるナイジェル・ファラージ氏が復活した。

 

欧州議会選挙はイギリス総選挙の直接的な代理選挙ではないかもしれないが、それでも今夜以降、全国の何百万もの有権者は2大政党以外の政党の政治家を自分たちの代表として掲げることになる。

 

今回の結果、政治では妥協が勝利するという考え方にも疑問符がついた。そして、ことブレグジットについては、国民は明快な姿勢(残留か離脱かを問わず)を求めているようだ。

 

離脱派は離脱を求め、残留派は残留を求める。中間で折り合おうと説得する努力は失敗に終わった。

 

選挙結果から国民は、何はともあれEUを出たがっているのが分かるのだろうか? それとも逆にこれは、国民がブレグジット中止のための国民投票を求めているという結果なのだろうか?

 

この結果について色々な人が色々なことを言うだろうが、実は結果はそこまで白黒はっきりしていない。

 

ブレグジット党は大勝した。ファラージ氏の新党は、単独の政党としては最大の勝ちをおさめた。

しかし、ブレグジットに反対する自由民主党も緑の党もプライド・カムリもスコットランド国民党も、いずれも勝ったのだ。

 

はっきりしているのは、ブレグジットで迷走し下院でひどいどたばたを演じた二大政党が有権者に場せられ、明快な選択肢を提供した政党に敗れたということだ。二大政党は、玉虫色ながらバランスの取れた解決策を見出そうとしたが、それが有権者にそっぽを向かれた。

 

そうなると、保守党も労働党も今後は、中道派のために戦うのを諦めてしまうかもしれない。【527日 BBC】

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【今後のブレグジットの行方は?】

メイ首相辞任、欧州議会選挙での大敗を受けて、次期政権を担う保守党は、「合意なき離脱」をもいとわない離脱強硬派ボリス・ジョンソン前外相などを軸にした首相争いになると見られていますが、それで事態打開が図られるとは思えません。

 

****欧州議会選で敗北の英二大政党、EU離脱問題の打開目指す****

英国の欧州議会選でブレグジット党に敗れた二大政党の与党・保守党と最大野党・労働党は、欧州連合(EU)離脱問題の打開を目指す方針を示した。

保守党は、今回の選挙結果で有権者がEU離脱を望んでいることが明らかになったと指摘。

労働党は、総選挙や2度目の国民投票など、国民の投票が必要だと訴えた。

欧州議会選では、EU離脱を目指すブレグジット党が圧勝。EU残留を掲げる勢力も躍進しており、二大政党はEU離脱を巡る方針を明確にする必要に迫られていた。

保守党の党首候補の1人であるジャビド内相は、今回の保守党の選挙結果に「大きく失望した」と表明。「有権者は(EU離脱の)推進を我々に求めている」とツイッターに投稿した。

労働党の「影の財務相」を務めるジョン・マクドネル氏もツイッターで、一致団結すべき時だと表明。国民の投票が必要だとし、労働党の最優先課題は総選挙の実施だと主張した。【527日 ロイター】

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“労働党の最優先課題は総選挙の実施”とのことですが、問題は、その総選挙で何を掲げて戦うのか?というところです。

 

残留を明示するのか、あるいは、EUとの緊密な関係を維持する「ソフトブレグジット」に向けた妥協策を掲げるのか?

 

今回の欧州議会選挙を見ると、シロクロをはっきりさせないと有権者の支持は得られないようにも。

 

****最大野党の戦略も裏目に****
方針がはっきりしないのは最大野党の労働党だ。支持者の大半は残留派だが、党指導部はこの問題で態度を鮮明にすることを避けている。

コービン党首は「おいしいところ取り」をしようとしていると、ブレア元首相の側近だった人物は指摘する。どっちつかずの態度を取ることで離脱派と残留派の両方から支持を得たいともくろんでいるらしい。

コービンと側近たちの作戦は裏目に出たようだ。労働党は、離脱派からも残留派からもそっぽを向かれ始めている。支持者の中でも離脱派はブレグジット党に、残留派は自由民主党に流出している。

 

5月初めの統一地方選で自由民主党と緑の党が躍進したことからも明らかなように、ブレグジット問題は保守党だけでなく、労働党の未来にも暗い影を落としているのだ。

「労働党が次の総選挙で勝ちたければ、反ブレグジットの姿勢を強く打ち出すしかない」と、この人物は言う。「コービンは、党員と有権者の多数派の声に従うべきだ」【527日 Newsweek
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上記は欧州議会選挙大敗前に書かれた記事ですが、大敗を受けて、ますます「労働党が次の総選挙で勝ちたければ、反ブレグジットの姿勢を強く打ち出すしかない」という状況にもなっています。

 

そうした保守党新政権の離脱強硬路線、労働党の残留明示という構図になれば、議論は壁にぶつかり、やはり再度の国民投票か総選挙は避けられないのでは・・・とも思えます。

 

“少なくとも最近の1年間の世論調査を見る限り、イギリスの世論全体はEU残留に傾いているようだ。残留支持が離脱支持を一貫して上回っている。”【同上】という状況で再度の国民投票か総選挙となると、ブレグジットの中止という結論に至る可能性が高いようにも思えますが・・・どうでしょうか。

 


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