孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

パレスチナ  難航する統一政府樹立 「アラブの春」後のイスラム主義台頭で存在感を強めるハマス

2012-08-27 22:58:58 | パレスチナ

(ファタハを率いるパレスチナ自治政府のアッバス議長(左)とハマスの政治部門最高指導者メシャール氏(右)
中央はカタールのハマド・ビン・ハリファ・サーニ首長 
今年2月6日、カタールのドーハで、暫定的な統一政府の首相をアッバス議長が務めること、暫定政府は閣僚に「独立したテクノクラート」を起用し、「ハマスが支配するガザ地区の再建と、議長選と評議会選の実施を促す」ことなどで合意しました。 “flickr”より By AJstream http://www.flickr.com/photos/61221198@N05/6886902335/)

【「パレスチナの代表は一つだ」】
イランの首都テヘランで26日、「非同盟諸国会議」が始まりました。
今回の会議には、これまで親米路線をとりイランとは距離を置いていたエジプトからモルシ大統領が参加、イラン・イスラム革命(1979年)直後の国交断絶以来、エジプト大統領としては初めてイランを訪問となります。
また、国連の潘基文事務総長もアメリカ・イスラエルの反対を押し切って参加します。

****テヘランで非同盟会議開幕 イラン、孤立脱却狙う****
イランの首都テヘランで26日、「非同盟諸国会議」が始まった。31日までの期間中に108カ国の代表が参加する。核開発をめぐって欧米から経済制裁を受けるイランは、非同盟諸国を味方につけることで国際的な孤立からの脱却を狙う。

非同盟諸国会議は、米ソ冷戦下で東西どちらの陣営にも属さない国々が結集して組織された。イラン政府によると120カ国が加盟、27カ国・組織がオブザーバー参加している。

イランのサレヒ外相は開幕演説で、「イランの核開発は平和目的だ。非同盟諸国は制裁を押しつける国々に立ち向かうべきだ」と述べ、支持を呼びかけた。27日までの高官会議、28、29日の外相会議を経て、30、31日に首脳会議がある。【8月27日 朝日】
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事前の情報では、パレスチナ・ガザ地区を実効支配するハマスのハニヤ首相も参加するとのことで注目されていましたが、パレスチナ自治政府のアッバス議長の強い反対があって、結局不参加となったようです。

****ハマス首相、国際会議不参加に イラン「招待してない****
今月末にイランの首都テヘランで開かれる非同盟諸国会議の首脳会議に、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスのハニヤ首相が出席するかどうかについて、イラン外務省報道官は26日、「ハニヤ氏は招待されていない」と述べた。

ハマスは25日、ハニヤ氏がイランのアフマディネジャド大統領からの公式な招待を受け、会議に参加すると発表。一方、すでに出席を表明していたパレスチナ自治政府のアッバス議長側は、「パレスチナの代表は一つだ」と反発し、ハニヤ氏が出席する場合は参加しないと警告した。結局、ハマスは26日、ハニヤ氏の会議への不参加を発表した。

ハマスはガザを武力制圧後、独自の政府を設置。国際社会はアッバス氏をパレスチナの代表者とみなしているが、イランはイスラエルと敵対する立場から、ハマスの対イスラエル闘争を支援している。【8月27日 朝日】
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“イランはイスラエルと敵対する立場から、ハマスの対イスラエル闘争を支援している”とありますが、ハマスとイランの関係は「アラブの春」以降、変わってきているとも言われています。

“2011年に始まったアラブの春では、当初ハマースはリビアの反カダフィ蜂起を支持する一方、シリアでの反体制デモには沈黙を保っていた。しかし騒乱が長期化、拡大するにつれてハマース内部でもシーア派であるシリア、イランを忌避する傾向を強め、2012年1月にはダマスカスに滞在しバッシャール・アサド体制に近いマシャァルが退任を表明、ヨルダンに退去。
翌2月にはガザ地区行政府を握るハニヤがシリア反体制派の支持を明言しダマスカスとの決別が明らかとなった。シリアの同盟国であり、ハマースの一方の支援者であるイランはこのハマスの背信に批判的な態度を示したが、ハマースは却ってイスラエルの対イラン攻撃に反対しない旨を発表し、両者の関係もまた断絶した事を明らかにしている”【ウィキペディア】

統一政府樹立への道筋は不透明
占領地での入植活動を継続するイスラエルとパレスチナの和平交渉はこのところ進展が見られません。パレスチナ自治政府は国連への正式加盟を求めて国際社会に訴えましたが、反対するアメリカの壁は厚いのが実情です。
6月には、アッバス議長から「対話の用意がある」との意思表示がなされていますが、具体の動きはないようです。

****パレスチナ議長「対話用意ある」 イスラエルに条件示す****
パレスチナ自治政府のアッバス議長は8日、「パレスチナ囚人の釈放と自治政府警察の武器更新に応じるなら、対話する用意がある」と述べ、イスラエルのネタニヤフ首相との会談に応じるための条件を示した。訪問先のパリで記者団に語った。

議長周辺によると、ネタニヤフ氏は先月、アッバス氏に送った書簡の中で直接対話を打診。アッバス氏は「そのための意思表示がほしい」と述べ、1994年以前にイスラエルの刑務所に収監されたパレスチナ人約120人の釈放と、警察の銃の更新を認めるよう求めたという。

パレスチナは、イスラエルが占領地ヨルダン川西岸での入植活動凍結と、1967年の第3次中東戦争前の境界に基づく国境画定を受け入れなければ、交渉は再開できないとの立場。だが、交渉中断から1年半が過ぎてもイスラエルが入植活動を停止する兆しはなく、事態の打開に向けて譲歩を迫られた形だ。

アッバス氏は「対話は、交渉をするという意味ではない」と強調したが、「ボールはネタニヤフ氏にある」とも述べ、イスラエルの対応を待つ考えを示した。【6月10日 朝日】
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アッバス議長にとって足かせとなっているのが、ガザ地区を実効支配するハマスとの統一が図れておらず、パレスチナ側が分裂状態にあることです。
2011年5月に、ファタハとハマスの間で統一政府樹立の合意はなされていますが、未だ実現していません。

****ファタハとハマス、敵対関係の終了を宣言****
2011年05月05日 10:04 発信地:カイロ/エジプト
パレスチナ解放機構(PLO)の主流派でヨルダン川西岸を統治するファタハと、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは4日、暫定的な統一政府の樹立などを内容とする合意文書に調印し、交渉を仲介したエジプトの首都カイロで式典に臨んだ。

式典でファタハを支持基盤とするマフムード・アッバス議長とハマス政治部門の最高指導者ハレド・メシャール氏は、2007年から続く双方の敵対関係を終わらせると宣言。アッバス議長は「(パレスチナ)分断の暗黒時代は永遠に閉じられた」と述べた。

メシャール氏は「ハマスは和解のためのいかなる犠牲もいとわない。ハマスが戦う相手はイスラエルだけだ」と発言。1967年の境界線の内側にエルサレムを首都とするパレスチナ国家を築くことがハマスの目標であるとあらためて主張し、「1インチたりとも譲歩しない。パレスチナ難民の帰還権も諦めない」と強調した。

一方で、訪英中のイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、双方の歩み寄りに警戒感をあらわにしている。デービッド・キャメロン英首相との会談を前にネタニヤフ首相は、「ファタハがハマスと和解した今日という日は、テロリズムが大きな勝利を収めた日と言えよう」と語った。ネタニヤフ首相は5日にはパリで、ニコラ・サルコジ仏大統領と会談する。

ガザ市では4日、1000人以上が道路を埋め尽くし、旗を振ったり車のクラクションを鳴らしたりして和解を祝った。ヨルダン川西岸でもこれより小規模ながら各地で和解を喜ぶデモ行進が行われた。

統一政府は無党派で構成され、樹立後1年以内に議長・評議会(議会)選挙を実施する。各勢力の治安部隊を統合するための「高等治安評議会」も設立される。【2011年5月5日  AFP】
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11年5月の合意後、暫定内閣の人事などを巡って何度も頓挫しており、統一政府づくりは難航していますが、今年5月には、評議会(国会)選に向けたガザ地区での有権者登録手続き開始が承認された・・・との報道がありました。

****ハマス、ガザで有権者登録手続き承認****
フランス通信(AFP)によると、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは28日、パレスチナ自治政府の次期議長選と評議会(国会)選に向け、選管当局によるガザ地区内での有権者登録手続き開始を承認した。

自治政府主流派のファタハとハマスが今月20日、半年以内の両選挙実施や選挙管理内閣の樹立で合意したことを受けての措置。ただ、両選挙はもともと、今月実施される予定だったもので、手続きが合意通りに進むかは不透明だ。【5月29日 産経】
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地元の報道では、ファタハとハマスが6月上旬にも選挙管理に当たる暫定内閣も発足させ、年内の選挙の実施を目指す・・・とのことでしたが、暫定内閣が出来たとの報道は目にしていません。

親米アラブ政権に拒否されていたハマスは、いまや各政権党から「盟友」として扱われる時代になった
一方、「アラブの春」を受けて、各地でムスリム同胞団などのイスラム主義政党が実権を握る動きのなかで、ムスリム同胞団を母体とする急進派ハマスの存在感が大きくなってきています。

****同胞団、中東の主役 アラブ世界でハマス支持広がる****
■米・イスラエルとの緊張も
「パレスチナとエジプトの関係は新時代に入った」
パレスチナのイスラム組織ハマスのメシャール政治局長は、7月中旬、エジプトのムルシ大統領と会談した後、そう語った。大統領はエジプト最大のイスラム組織「ムスリム同胞団」出身で、ハマスは「同胞団パレスチナ支部」を名乗る。

ハマスへのアラブ世界の対応の変化は、直前にチュニスで開かれた「ナハダ」党大会で如実に現れた。
ナハダも同胞団の流れをくみ、革命後の選挙で議会第1党になった。新体制で初の党大会の初日。会場から突然、「パレスチナの解放を」と声が上がった。前方のスクリーンにメシャール氏の姿が映し出されると、1万人を超える参加者が一斉に立ち上がった。

メシャール氏のチュニジア訪問は初めて。親米のベンアリ前政権は、米国が「テロ組織」に指定するハマスとの関係はなかった。
党大会に招かれた外国代表には、エジプト・自由公正党▽モロッコ・公正発展党▽アルジェリア・平和社会運動▽クウェート・イスラム憲法運動▽イエメン・イスラム改革党――。アラブ世界のムスリム同胞団系組織が顔をそろえた。

メシャール氏は演説で訴えた。「アラブ世界は『アラブの春』で団結を回復する好機を得た。パレスチナ解放への道につながる」
メシャール氏はチュニスの後、モロッコに向かい、昨年11月の総選挙で第1党になり、連立政権を主導する同胞団系の公正発展党の総会にも出席した。その後にエジプトに向かった。

親米アラブ政権に拒否されていたハマスは、いまや各政権党から「盟友」として扱われる時代になった。
米国が主導する中東和平の前提は、イスラエルとパレスチナの2国共存である。パレスチナ自治政府のアッバス議長も支持し、ヨルダン川西岸とガザ、東エルサレムからの撤退を求める。これに対し、ハマスの主張はイスラエルを含む全パレスチナの解放だ。

ただし、ムルシ大統領はパレスチナ問題で慎重な姿勢をとっている。大統領はメシャール氏に先だってまずアッバス議長と会談した。7月下旬にはクリントン米国務長官を迎え、中東和平での協力を約束した。

ただし、自由公正党のハッダード外交問題顧問は「イスラエルが占領地から撤退し、パレスチナが長期の停戦に入ることを支持する」と語った。
イスラエルの撤退と引き換えに「和平」ではなく「長期停戦」というのは元々はハマスの主張だ。「2国共存」の和平案について質問すると、「それはパレスチナ民衆が選択することだ」とハッダード顧問は回答を避けた。この主張はより穏健とされるのナハダのラーシド・ガンヌーシ氏も同様だった。

エジプトの同胞団もナハダもイスラエルの封鎖の下にあるガザに使節を送って支援している。中東和平では今後、アラブ世界の同胞団系の組織がハマス支持で歩調を合わせる可能性が強い。イスラエルや米国との間で緊張が生まれることは避けられない状況だ。【8月22日 朝日】
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アッバス議長主導のパレスチナ統一政府樹立は、更にハードルが高くなってきています。
ただ、パレスチナにおいてハマスの存在感が大きくなると、アメリカ・イスラエルの反発も強まり、和平交渉は更に難しくなる・・・という現実があります。



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