孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

コロンビア  左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」との和平に向けた予備交渉開始

2012-08-29 23:24:10 | ラテンアメリカ

(コカイン生産・輸送の重要地域で警備に立つFARC兵士 2012年7月 “flickr”より By thevsky http://www.flickr.com/photos/82141350@N06/7553146984/

大きな転換点
南米コロンビアの左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」については、2008年3月にウリベ前大統領がエクアドル領内への越境攻撃を行いFARC幹部を殺害した事件で、エクアドルやチャベス大統領のベネズエラと関係が悪化したことや、2008年7月に約6年間拘束されていたイングリッド・ベタンクール元大統領候補などが救出された事件などで、このブログでもしばしば取り上げたことがあります。

FARCは、一時はコロンビア南部を中心に国土の3分の1を実効支配する強大な勢力を誇っていましたが、親米右派で、父親をFARCに殺害されているウリベ前大統領がアメリカの支援を得て断行した掃討作戦によって組織は弱体化し、ベネズエラ国境地帯やコロンビア南西部のジャングル地帯に追い込まれています。

ウリベ前大統領を継いだサントス大統領も、ベネズエラ・エクアドルとの関係を修復しながら、FARC掃討は継続し、10年9月にはFARC軍事部門司令官のホルヘ・ブリセーニョ・スアレスを、11年11月にはアルフォンソ・カノ最高司令官を殺害しています。

追い詰められたFARCは、政府との和平交渉を求める方針に転じ、身代金目的や収監された仲間の釈放の取引材料にするために繰り返し行っていた誘拐を止めることも発表しています。

なお、コロンビアは世界最悪の誘拐多発国で、誘拐した組織側との交渉にあたる誘拐ビジネスも盛んな国でしたが、FARCの衰退もあって相当に改善してきてはいるようです。
“コロンビア警察によれば、00年に3572件を記録した誘拐事件は11年に305件まで激少した。このうち208件は身代金目的の誘拐だった”【4月3日 毎日】
1年に3572件ということは、1日10件ということですから想像を絶する数字です。

****ゲリラ「もう誘拐しません」 コロンビア政府と和平交渉****
コロンビアの左翼ゲリラ組織「コロンビア革命軍(FARC)」は26日、今後、民間人を誘拐しないと発表した。10年以上拘束している警官や軍人ら10人も、近く解放するという。コロンビア政府は和平交渉の条件として誘拐などをやめるよう求めており、歩み寄りをみせた形だ。

AP通信や地元メディアによると、FARCの公式ホームページで発表した。ブラジル政府が人質の解放の際に、輸送面などで援助を申し出ていることに対して謝意を示した。

FARCは身代金目的や収監された仲間の釈放の取引材料にするために誘拐を繰り返し、現在も民間人の人質が数百人いるとみられている。2001年には日本の矢崎総業の現地法人副社長が誘拐され、2年9カ月後に遺体で発見された。10年にはコロンビア在住の日本人男性も誘拐され、その後解放されている。【2月27日 朝日】
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こうしたFARC側の姿勢もあって、サントス大統領はFARCとの和平に向けた予備交渉に入ったことを発表しています。

****コロンビア政府、左翼ゲリラと和平予備交渉入り****
ロイター通信などによると、南米コロンビアのサントス大統領は27日のテレビ演説で、同国最大の左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」との和平に向けた予備交渉に入ったことを明らかにした。

大統領は、交渉開始の時期など詳細には触れなかったが、交渉が順調に進めば約半世紀に及ぶ抗争に終止符が打たれる可能性もある。隣国ベネズエラのテレビ局は同日、本格交渉が10月にも北欧ノルウェーで始まり、キューバで継続されるとの見通しを伝えた。

FARCは1964年に結成され、麻薬取引や誘拐よる身代金などを資金源に反政府闘争を展開してきた。コロンビア政府は2002年以降、米国の支援も受けて掃討作戦を大幅に強化し、FARCの構成員は最盛時の約2万人から9000人程度まで減少したとされる。【8月28日 読売】
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もっとも、衰退したとはいっても、FARCの活動がなくなった訳ではなく、コロンビアの現地ニュースを翻訳紹介しているブログ「音の谷ラテンアメリカニュース」(taro氏)では、“FARCへの入隊を断った報復として2人の先住民少年がFARCによって殺害された”(8月24日 http://blog.livedoor.jp/otonotani/archives/7407723.html)とか、“FARCが送電線鉄塔8基を爆破・倒壊させたため、トゥマコ市では16日間に渡り停電となった”(8月26日 http://blog.livedoor.jp/otonotani/archives/7411543.html)などの記事が紹介されています。

対麻薬密売組織でも成果
コロンビアはメデジン・カルテルなどの麻薬密売組織が横行していたことでも有名ですが、組織幹部の逮捕という点では大きな成果を見せています。
今も麻薬戦争に苦しむメキシコなどからすれば、コロンビアは輝かしい成功例でもあります。
しかし、貧困の問題が解決されない限り、麻薬密売自体は姿を変えて続くであろうとも言われています。

****麻薬密売組織のリーダーを逮捕、コロンビア****
コロンビアの麻薬密輸組織「オフィシナ・デ・エンビガド」のリーダー、エリクソン・バルガス容疑者が8日、同国北東部の都市メデジンで逮捕された。麻薬の密輸や殺人の共謀などの容疑が持たれている。

コロンビアの国防相によるとバルガス容疑者は近年の同国における最大級の犯罪者の1人で、この10年間に同国で起きた多くの殺人事件に関与したという。警察当局は、近年バルガス容疑者は欧米に麻薬を密輸する中でメキシコの麻薬密売組織セタスとの関わりを深めてきたとしている。

コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領は、バルガス容疑者の逮捕はオフィシナ・デ・エンビガドに大きな打撃を与えたと述べるとともに、同容疑者を米国に引き渡すことを明らかにした。

バルガス容疑者は前のリーダーが2011年11月にベネズエラで逮捕されたことを受けてオフィシナ・デ・エンビガドのリーダーになっていた。前のリーダーは2011年12月に米国に引き渡された。【8月9日 AFP】
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