孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ロシア  コロナ関係のジョークのような話2件と、医療関係者を黙らせるブラックPR

2020-12-01 22:34:26 | ロシア

(ロシアで10月、スプートニクVの接種を受ける医療関係者=ロイター【11月30日 朝日】)

 

【「大統領が(臨床試験の)ボランティアに参加するわけにはいかない。」】

ロシア流ジョーク・その1

 

****ロシア軍、国産ワクチン接種へ…指示したプーチン大統領自身は接種に慎重****

ロシア軍は、露政府が承認した新型コロナウイルスの国産ワクチン「スプートニクV」を大量の軍人に接種させるキャンペーンを始めた。最高司令官のプーチン大統領の指示によるもので、40万人以上の接種を目標とする。プーチン氏は外国への売り込みに熱心だが、自身の接種には慎重だ。

 

セルゲイ・ショイグ国防相が11月27日、軍幹部らとの会議でキャンペーン着手を明らかにした。約90万人とされる総兵力の4割超がワクチン接種を受けることになる。露軍では既に約2500人が接種済みで、ショイグ氏も接種した。接種した軍人は、年内に約8万人に達する見通しだという。

 

スプートニクVは8月の承認後も、臨床試験の最終段階は完了していない。インターファクス通信によると、大統領報道官は11月24日、プーチン氏の接種について、「試験が終わっていないワクチンを大統領が受けるわけにいかない」と述べた。【11月30日 読売】

**********************

 

ロシアの大統領報道官、結構正直なんですね。「総合的俯瞰的に・・・」なんて訳の分からない説明よりは好感がもてます。

 

報道官は「大統領が(臨床試験の)ボランティアに参加するわけにはいかない。」とも。まあ、そうなんでしょうが・・・。

 

****ロシアのワクチン、安いけど…大統領も国民半数超もNO****

米欧で新型コロナウイルスワクチン開発が進むなか、世界で初めてワクチンを承認したロシアが、安全性や価格の安さをアピールして国外への売り込み攻勢をかけている。ただ、ワクチンの質に対する疑問は国内ですら払拭(ふっしょく)されておらず、思うように市場を獲得できるかは不透明だ。

 

ロシアは8月、ワクチンの承認で国際的に求められている最終段階の大規模な臨床試験を後回しにし、国産のワクチン「スプートニクV」を承認。すでに医師らへの接種を開始し、年内に一般国民向けの接種も始まる見通しだ。10月には「エピワクコロナ」も承認し、三つ目のワクチンも開発が進んでいる。

 

プーチン大統領は国際舞台でのアピールに余念が無い。今月20日には、オンライン形式で参加したアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議で「ロシアのワクチンは完全に安全で効果的だ。唯一の問題は大量生産体制の確立だが、ロシアは拡大に取り組んでいる」と強調した。

 

翌日の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でも、「我が国の研究者が開発したワクチンを、必要とする国に提供する用意がある」と世界の首脳に向けて呼びかけた。

 

スプートニクVの開発資金を提供したロシア直接投資基金は24日、このワクチンの感染予防効果が95%を超えるとする中間調査結果を発表。外国での販売価格は「1回あたり10ドル未満」だとし、米国のバイオ企業モデルナや製薬大手ファイザーが開発するワクチンの「半額以下だ」と強調した。

 

同基金は、これまでにブラジルサウジアラビア、インドなどから計12億回分以上のワクチンの注文を受けているとしている。

 

ロシアのワクチン販売攻勢は、ロシアと関係が悪化する欧州連合(EU)域内にも及ぶ。19日には、ハンガリーにスプートニクVの試験用のサンプルを提供。有効性が確認されればハンガリーは年明けにも大規模な調達を始め、現地生産に向けた協議も進めているという。

 

ただ、EU域内での使用には欧州医薬品庁(EMA)の承認が必要だ。スプートニクVはEUの基準をクリアする必要があり、ハードルは高い。

 

同基金のドミトリエフ総裁は、「政治的事情のため、EUへのワクチン供給は簡単ではない」と主張している。EU加盟国のハンガリーへの供給を実現させ、ロシア製ワクチンの象徴的な成功例としたい狙いがありそうだ。

 

大統領は未接種…国民に不信感

国外への積極的な売り込みをかけるなか、国内世論はワクチンの接種に懐疑的だ。国民の多くが強制的な接種に反対しており、一般向けの接種が始まってもすんなりとは進まない可能性がある。

 

政権与党「統一ロシア」が10月に発表した世論調査では、回答者の73%がワクチンを打ちたくないと回答。医療関係者を対象にした8月の別の調査では、効果や安全性が不明なことから52%がスプートニクVを接種しないと答えた。

 

新型コロナウイルス患者の対応に当たっているモスクワの医師の一人は取材に、「国産ワクチンは安全性や副作用が不明で、接種を考えるのはまだ早い」と話した。

 

ロシア連邦消費者庁のポポワ長官は記者会見で、「ロシア製のワクチンは非常に良い。全ての皆さんにできるだけ早い接種を勧める」と強調し、国民の不信感を拭うのに躍起だ。

 

閣僚らが相次いでスプートニクVを接種して安全性をアピールする一方で、プーチン氏がいまだに接種を避けていることも国民が不信感を抱く一因と指摘されている。

 

有力紙ベドモスチは15日、「国は今後、国民にワクチンを受け入れるよう説得する必要に迫られる」と指摘。「国家のトップが模範を示すのが最適だ」とし、プーチン氏のワクチン接種を暗に求めた。

 

だが、大統領府のペスコフ報道官は24日、プーチン氏がワクチンを接種しない理由をロシアメディアに問われ、「大統領が(臨床試験の)ボランティアに参加するわけにはいかない。全ての手続きが終わり、本人が必要と判断したら接種する」と答えた。

 

スプートニクVは近く一般市民向けの接種が始まる見通しだが、承認後に始まった追加の臨床試験が今も続いているためとみられる。安全性や効果を強調する一方で、自らは慎重なプーチン氏の姿勢は、国民の不信感の増大につながりかねない。【11月30日 朝日】

********************

 

首脳会議で「ロシアのワクチンは完全に安全で効果的だ。」と言いつつ、「大統領が(臨床試験の)ボランティアに参加するわけにはいかない。」 やはりブラックジョークですね。

 

まあ、日本も「原発は安全だ」と言いつつ、東京には建設しませんしね。

「それは、大地震が予想されるから・・・」 はい、そうですね。

 

【救急車を呼ぶと、数日かかることも】

ロシア流ジョーク・その2

 

*****病院廊下で感染者待機、救急車は「数日かかる」…ロシア医療崩壊の危機****

新型コロナウイルスの累計感染者数が約220万人に上るロシアが、医療崩壊の危機に直面している。感染拡大は全土で深刻化し、専用病床の占有率は全国平均で約8割に達する。プーチン政権は医療関係者への情報統制を強めている。

 

ロシア政府は27日、1日あたりの新規感染者数が2万7543人で、過去最多だったと発表した。死者も496人増え、累計死者数は3万8558人となった。

 

8月には新規感染者数が5000人前後に一時落ち着いたが、10月頃から状況が悪化した。タチヤナ・ゴリコワ副首相(感染症担当)は24日、専用病床の占有率が全国平均で78・2%に上ると発表した。連邦を構成する州や共和国などの半数以上が平均を上回り、90%超の例も6か所あるという。

 

ロシアの医療体制は新型コロナの流行前から、プーチン政権が旧ソ連型の肥大化した医療の効率化を急いだ影響で脆弱ぜいじゃくさが指摘されてきた。西部サンクトペテルブルクは緊急増床を進めるが、25日時点で約1万床のうち空きベッドは約1割にとどまる。モスクワでも一般病棟の廊下や待合室で感染者が待機しているとの報道がある。

 

地方の状況はさらに厳しい。独立系インターネットメディア「メドゥーザ」によると、中南部アルタイ地方では9月末の段階で専用病床の占有率が97%に達した。医療関係者の感染も相次ぎ、よほど深刻な症状でない限り新型コロナの検査をしないという。地元知事は10月末、「ウイルスによる絶え間ない攻撃を受け被害者が増え続ける。戦場のようだ」と述べた。

 

西シベリア・オムスクでは10月下旬、コロナの患者受け入れを断られた救急車の運転手が抗議のため地元保健当局に乗りつけた。バイカル湖に面したシベリアのブリヤート共和国では救急車を要請する住民からの電話が急増し、到着に「数日かかる」例もあるという。

 

露保健省は10月末、地方の医療当局を通じ、「誤った情報の流布を避ける」との名目で、医療関係者に新型コロナに関する発言を控えるよう指示した。感染を拡大させた場合、医療関係者に罰則を科す法律もあり、感染の全容把握は難しい。

 

プーチン政権は自国産ワクチンの接種開始で国民の不満を和らげたい意向だ。ワクチン製造は遅れており、大量接種の開始時期は当初予定の10月から来年1月以降にずれ込んでいる。【11月28日 読売】

********************

 

当然ながら「救急車を呼んでも到着までに数日間かかり、その間に死亡する人が相次いでいる」(リベラル紙ノーバヤ・ガゼータ)【12月1日 産経】

 

“モスクワでもスケート場を臨時病院に改装するといった措置がとられている。”【同上】とも。

 

【「ブラックPR」 真実を覆い隠す国家、準国家、非国家主体による誹謗中傷】

“露保健省は10月末、地方の医療当局を通じ、「誤った情報の流布を避ける」との名目で、医療関係者に新型コロナに関する発言を控えるよう指示した。”・・・このあたりは、武漢パンデミックの際の中国当局の対応にも共通します。

 

ロシアの場合、政府に都合の悪い人物には「長い手」が伸びて殺害・・・・というのはよくある(少なくとも“よく聞く”)話ですが、情報社会の今日、情報を駆使した「ブラックPR」という対応もあるようです。

 

****コロナ危機でも炸裂するロシアの「ブラックPR」とは 女性医師は「殺されない限り黙らない」と徹底抗戦****

「病院では患者は何の治療も受けられず死んでいる」

2人の子供を抱えるシングルマザーのアナスタシア・ワシリエワさんはロシアの眼科医です。2018年に医師の労働組合を設立しました。彼女が勤務するモスクワの病院で母親を含めた医療従事者が大量に解雇されたからです。アナスタシアさんは署名と抗議活動を始め、メディアの関心を集めました。

 

運動の結果、一部の解雇を撤回させることに成功したアナスタシアさんのもとに全国の医療従事者から助けを求める声が寄せられるようになりました。

 

予算不足からロシアの医療現場は厳しいプレッシャーにさらされています。そして今年3月、ロシアは新型コロナウイルス・パンデミックに直撃されました。

 

感染者218万人、死者3万8千人。第2波にのみ込まれたロシアでは1日当たりの新規感染者も死者も増え続けています。医療現場では感染防護具(PPE)が不足しています。にもかかわらずクレムリンは「国の医療システムは十分対処できている。第一線の医療従事者もPPEで守られている」と嘘をつき続けました。

 

アナスタシアさんはクレムリンの嘘を糾弾します。「状況は全く制御されていません。いくつかの病院では患者は何の治療も受けられず、死んでいるのです」「国家はウラジーミル・プーチン大統領が病気にならないよう守っています。どうして医師が感染しないよう注意を払わないのでしょうか?」

 

彼女はコロナ危機に関してデマを流しているとして調査委員会に呼びつけられました。PPEを第一線の医療従事者に供給しようとしたところ若者グループに嫌がらせを受けました。6月には国営テレビ局の著名プレゼンターから「詐欺師、悪党、悪人、できそこない」と誹謗中傷の集中砲火を受けるようになりました。

 

それでもアナスタシアさんはへこたれません。「私を殺さない限り、黙らせることはできません」。警察から自称ジャーナリスト、インターネット上のトロール部隊(偽ニュースを流す地下組織)まで国家、準国家、非国家主体による誹謗中傷はロシア社会では「ブラックPR」と呼ばれています。

 

ブラックPRは個人や組織の信用や評判を貶める手口

英シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサエティーのロシア・ユーラシア研究センター、アンドリュー・フォックスオール所長は、アナスタシアさんのような活動家や企業の評価を貶める方法を検証したロシアのブラックPRを調査した報告書を発表しました。それによると――。

 

・ブラックPRは個人や組織の信用や評判を傷つけ、貶める手口だ。合法、半合法、違法のグレーゾーンの中で国家、準国家、非国家主体によって利用される。コンプロマット(不都合な情報を流すこと)のほか、出版への関与、有権者を混乱させるため同じか類似した名前を持つ個人を擁立したりする。

 

・ブラックPRは1990年代前半に民主的な選挙が導入されたのを機に始まった。政治コンサルタントは国家やオリガルヒ(新興財閥)に代わって行動する。96年の大統領選でオリガルヒは政治コンサルタントを使って共産主義と国家主義が復活するという幻覚を作り出し、現職のボリス・エリツィン大統領を勝たせた。

 

・2000年にプーチン氏が権力の座に就いてからは醜いクレプトクラシー(泥棒政治)を監督し始めた。ブラックPRはクレムリンで体系化された結果、生活全般、中でも企業収奪のため強い影響を与えるようになった。

 

・ブラックPRはクレムリンや政権内部の関係者だけが使用するのではない。裁判所の決定をカネで買収したり、ライバル企業に税務調査をかけたり。国営メディアのトップは「何の客観性もない。可能な限り多くの異なる声からなる真実のようなものがあるだけだ」と公言する。ビジネスの紛争や取引でブラックPRは常態化している。

 

・ブラックPRはクレムリンの偽情報と誤情報キャンペーンを通じて欧米社会に広がっている。それは偽情報のルートを覆い隠す「情報ロンダリング」のプロセスでもある。新聞やテレビ、看板、ソーシャルメディア上に現れる。企業の調査報告書や裁判所の係争事件にも紛れ込んでいる。(中略)

 

ブラックPRは何もロシアに限ったことではありません。米大統領選や2016年にイギリスで行われた欧州連合(EU)残留・離脱を問う国民投票はまさに“ブラックPRの闘い”だったと言っても過言ではないでしょう。そんな中でジャーナリストやメディアに求められる規範も高まっていることは言うまでもありません。【11月26日 木村正人氏 YAHOO!ニュース】

**************************

コメント   この記事についてブログを書く
« オーストラリア  対中国 ... | トップ | フランス  警察官の顔撮影... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ロシア」カテゴリの最新記事