孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

スーダン・南スーダン  首脳会談で、アビエイ地区帰属など未解決問題での合意の期待

2012-09-24 21:47:34 | スーダン

(7月15日 AU首脳会議の際のスーダン・バシル大統領(左)と南スーダン・キール大統領(右)“flickr”より By Pan-African News Wire File Photos  http://www.flickr.com/photos/53911892@N00/7573020708/

双方の代表団からは先行きを楽観視する声
スーダンと分離独立した南スーダンは、石油産出地域でもあるアビエイ地区が南北どちらに帰属するのかなど国境線が未確定な状態で、両者の間で武力衝突も起きる不安定な緊張関係が続いています。
そうしたなかで、このほど南北双方の大統領の会談が行われ、合意形成への期待が出ているそうです。

****スーダンと南スーダンの大統領が会談、合意実現に期待広がる****
スーダンと南スーダンの大統領は23日夜、エチオピアの首都アディスアベバで、2時間にわたって首脳会談を行った。

スーダンのオマル・ハッサン・アハメド・バシル大統領と、南スーダンのサルバ・キール・マヤルディ大統領は深夜零時ごろ会談を中断し、その後友好的に会話する姿を見せた。会談はエチオピアのハイレマリアム・デザレン首相が仲介して24日朝に再開するとみられている。

交渉では両国間の紛争の火種になっているアビエイの帰属などの領土問題や、非武装地帯の設置など主な議題になっている。
両国の協議は、南スーダンが独立した2011年7月の数か月前からアフリカ連合(AU)の仲介で行われている。南スーダン代表団のアティフ・キール報道官は「意見の隔たりはあるがわれわれはそれを縮めようとしており、合意できると希望を持っている」と語った。

非武装地帯の設置は、スーダンの南コルドファン州と青ナイル州の武装勢力への南スーダンからの支援を断ち切ることにもつながる。この地域の武装勢力を一掃しようとしているスーダン政府は、南スーダンが内戦時代に協力関係にあった武装勢力を支援していると非難している。

これまでに繰り返された協議で両国は合意に達していない。しかし国連安全保障理事会が制裁を科す可能性がある上、今回の首脳会談で両大統領が問題解決に積極的な姿勢を見せたことから、双方の代表団からは先行きを楽観視する声が聞かれた。

南スーダン独立の時点で未解決だった多くの問題を解決するために国連が両国大統領に与えた期限は22日に切れた。3月に南スーダン軍がスーダンの油田地帯ヘグリグを一時的に奪い、スーダンがこれに空爆で応じたことを受けて、国連はこの期限を設定していた。【9月24日 AFP】
**********************

8月:石油利益配分で合意するも、国境線画定等は先送り
交渉の経緯を振り返ると、国連安保理は5月2日,AU平和・安全保障理事会声明を土台とした決議を採択。
南北双方が,空爆等を含む全ての敵対行為の48時間以内の停止,双方の両国からの兵力の無条件撤退,国境付近の治安措置(共同国境検証モニタリング・メカニズム及び非武装国境地帯の始動等),石油問題,国籍問題,アビエイの最終的地位などについての交渉をAU ハイレベル履行パネル仲介の下で無条件に再開し,3か月以内(期限は8月2日)に交渉を妥結すべきこと等を求めていました。【日本外務省ホームページより】

アビエイ帰属問題と並んで両国間の重要懸案事項であった石油利益配分問題(南で産出した石油を北のパイプラインで運ぶ際のパイプライン使用量など)については、交渉期限の切れた翌日、8月3日に合意に達したことが報じられています。

****南北スーダン、石油の利益配分に合意 通信社報道****
石油を巡り対立するスーダンと南スーダンが4日、エチオピアで協議し、石油利益配分について合意した。スーダン政府の話としてAFP通信などが伝えた。

昨年7月に分離独立した南スーダンは、スーダン側のパイプラインを使って石油を輸出していた。しかし、今年1月、パイプライン使用料が法外だとして生産を停止。南スーダンの国家収入の95%以上が失われ、財政が困窮していた。

生産再開の交渉の中で、スーダンが使用料を1バレルあたり22.2ドルを要求するのに対し、南スーダンは7.61ドルを主張していた。今回の詳しい合意内容は明らかにされていないが、スーダン政府側は「合理的」としている。【8月4日 朝日】
********************

ほとんど唯一といっていい収入源の石油生産がストップした南スーダンの苦境は言うまでもないところですが、北のスーダンも厳しい状況です。

“スーダンも苦境に立たされている。大半の油田を失ったことで、国家収入が落ち込んだうえ、戦費がかさみ財政を圧迫。バシル政権は先月中旬、ガソリンへの補助金削減や日用品への増税を決めた。これに対し、負担増に反発した学生や野党勢力はデモを始め、その後「反政権デモ」に転化、道路を封鎖し、タイヤを焼くなどして抗議を続けた”【7月11日 朝日】

9月22日までの新たな交渉期限
「合理的」なパイプライン使用料で合意できたのであれば、南北スーダンにとって喜ばしいことです。
ただ、このときは国境線の画定等については先送りされています。
スーダン外務省報道官は国営スーダン通信に「石油合意の履行は国境安保協定が合意されてからとなる」「スーダン政府にとって安保が優先課題である」と語り、南北スーダン両国の争いを終結するには国境問題での合意が必要となることを強調しています。

また、アフリカ連合(AU)の調停者ムベキ氏(元・南アフリカ大統領)は、両国の合意について8月9日にビデオ会議で国連安全保障理事会に報告していますが、同氏の報告を聞いたアメリカのスーザン・ライス国連大使は、“合意が完全履行されない場合、国連安保理は経済制裁を含む追加手段を取ること、また、国連安保理は、国境の画定、アビエイ地区の管理権などの早急な解決を期待していること”などを指摘しています。【「中東・エネルギー・フォーラム」http://inspecs.org/jameef/2012_folder/August/0821_17.html より】

8月3日、AU平和・安全保障理事会は南北スーダンの石油問題における合意を歓迎し、先送りした国境画定問題などについて、南北スーダンに対し9月22日までの新たな交渉期限を与える旨の声明を出しています。
これを受けて、8月31日,国連安保理は,南北両スーダン間の石油等の課題に係る合意を歓迎すると共に,未合意の課題について速やかな合意を求める旨の議長声明を出していました。

冒頭記事にある南北スーダン大統領の会談及び合意への期待は、こうした経緯を踏まえてのもとなっています。
これまでの両国の緊張関係を考えると、“双方の代表団からは先行きを楽観視する声が聞かれた”というのは、「本当だろうか?」と疑いたくもなりますが、とにかく国境画定問題での何らかの前進を期待しましょう。

『政治』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
« パキスタン  イスラム冒涜... | トップ | 韓国大統領選挙  父親の存... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

スーダン」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事