孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

キリバス・ツバル 温暖化、国土消失そして北極グマ

2007-09-09 11:25:52 | 国際情勢

(絵葉書そのもののキリバスのビーチ。 蛇足ながら、私の住む奄美も、椰子の木をアダンに変えれば似たような写真は撮れます。 
“flickr”より By WorldWideSeb )

シドニーで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議は8日、地球温暖化対策について長期的な行動計画を求める特別声明を採択しました。

「向上心のある目標」として、APEC域内のエネルギー効率を2030年までに少なくとも25%向上させる、二酸化炭素を吸収する森林面積を域内で 2020年までに2000万ヘクタール以上増やす、などといった数値目標が一応盛り込まれています。
ただ、こうした目標は共通ですが、中国の強い主張で、国ごとに独自の計画を策定することを認める原則を確認しています。
二酸化炭素削減割当量の目標を遵守する確固たる約束、ないしは明確な目標が設定されていないことから、特別声明は拘束力のないただの言葉に過ぎないとの批判があります。【9月8日 AFP】

確かに、各国への拘束力はありませんが、京都議定書を離脱した米国や義務を負わない中国を含む国際的な合意で、日本政府は「次期枠組み作りを進展させる大きな原動力になる」としています。 【9月8日 朝日】
物事を一気に達成するのは無理ですので、今回の合意は国際的なコンセンサスづくりへ向けての一歩と評価してよいのでは・・・と個人的には思います。
しかし、こうした状況を待てない国もあります。

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「我が国は海に沈む」キリバス大統領が全10万人移住計画
地球温暖化に伴う海面上昇により、国土が水没の危機にひんしている太平洋の島国キリバスのアノテ・トン大統領(55)は本紙(読売)と会見し、「我が国は早晩、海に沈むだろう」と明言。
国家水没を前提とした上で、国民の脱出を職業訓練などの形で側面支援するよう、日本など先進各国に要請した。
国際社会の取り組みについても、「温暖化は進んでおり、国際社会が(2013年以降のポスト京都議定書の枠組みなどで)今後、どんな決定をしても、もはや手遅れだ」と明確に悲観論を展開した。
また大統領は、温暖化に伴う海面上昇について「国民の平穏な生活を奪う『環境テロ』」と強く非難。京都議定書に参加しない米国、オーストラリアを名指しで挙げ、「我が国は存亡の危機にひんしているのに、高い経済水準を保とうとしており、極めて利己的だ」と批判した。【9月1日 読売】
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キリバスは南太平洋に散らばる多くの島々からなる国で、国土の大半が海抜3.5m以下。
人口は10万人(多くはミクロネシア人)。
海面上昇と温暖化、更には二酸化炭素との関連については異論もあるようですが、原因はともかく“沈んでしまう”のは大問題です。
大統領の発言は、今世紀末に世界の平均海面水位が最大59センチ上昇するなどとした、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第4次評価報告書に基づくものだそうです。
もちろんそのときは、世界中で同様の事態が進行しますし、日本でも大きな影響があるでしょう。


(写真はツバル 湧きあがる海水による浸水のほか、散乱するゴミも問題
“flickr”より By DER Documentary Educational Resources )

隣国のツバルも事情は同様です。
ツバルは最高海抜が5m、人口約1万人(多くはポリネシア人)の島国です。
すでに、潮の高いときには地中から海水が湧き出し、畑に侵食して作物が被害を受けています。
井戸の水も淡水から塩水へ変化しつつあり、砂浜が削られる、海岸の植物が倒されるなどの海岸侵食も進んでいるそうです。
また、“政府はニュージーランド政府と協議し、集団移住を計画中。しかし、祖国を離れる事に反発する人も少なからずいる。オーストラリア政府は移住を拒否したが、2006年4月現在ではオーストラリア政府は毎年75名ずつの移住を受け入れている。”(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
とのことです。
京都議定書に調印しなかったアメリカやオーストラリアを国際司法裁判所に提訴する動きもあったそうですが、費用的に断念したとのこと。

両国に共通するのは、水没現象だけでなく、その国家的基盤の脆弱さです。
産業らしい産業はなく、国土は農業にも適さず、ツバルは飲み水に適した水も殆どないとか。
国家財政的には、日本、オーストラリア、ニュージーランドなどの外国からの支援に頼っています。

国家基盤の脆弱さという点では、やはり近隣の島国ナウル(人口約13000人)も同様です。
ナウルは、アホウドリの糞からできたリン鉱石採掘で以前は大きな収入を得ていましたが、2000年頃には資源が枯渇。
しかも、長年の乱掘で、島の中央部は使用不可能な状態に荒れ果てているそうです。


(リン鉱石採掘で荒れ果てたナウルの国土
“flickr”より By lotto94024 )

リン鉱石収入が途絶して以来、オーストラリ移住希望のアフガン難民を受け入れることでオーストラリアから資金を引き出す、台湾と断行して中国承認で中国から資金援助を受ける、海外資金流入を狙ってマネーロンダリングの抜け穴になるような政策を行うなど、“奇策”を弄しています。

ナウルの最大の問題は、なまじ今までリン鉱石による大きな収入があったため、国民に“勤労意欲”がないことのようです。
国民生活の仕組みがどうなっているのか知りませんが、失業率は90%にも及び、多くの人が無為にブラブラ暮らすだけとか。
政府も小学校高学年に“働き方”を教えるようになったそうですが・・・“なんだかな・・・”。

石油で莫大な収益があり、税金もなく、福祉も充実、住宅も無償・・・というサウジアラビアの若者も殆ど勤労意欲がなく、毎日砂漠をバギーで走りまわって遊び暮らしているなんてTV番組を観たこともあります。

サウジの話はさておき、キルギス、ツバル、ナウルの話です。
そもそも国家として成り立つ基盤を欠いているのでは・・・、どうして独立国でないといけないのか・・・という疑問も感じます。

しかし、逆に言えば、そんなところだから誰も真剣に関心を持ってくれない、自分達で国を興すしかない・・・と言われればそうかも。
今日9日AFPで“米地質調査所は7日、地球温暖化による海氷の減少で、ホッキョクグマの生息数が50年以内に現在の3分の1になるとの予測を発表した。”というニュースがありました。
恐らく、ホッキョクグマの窮状には世界の多くの人々が関心を示すでしょうが、キリバスやツバルの人々にはどうでしょうか?
人間の思いやりなんてその程度のものでしょう。

それにしても、多分キリバスやツバルの人たちは海辺で風に吹かれて、今日も穏やかに暮らしているんだろうな・・・。



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