ロシア軍はシリアに進駐する事で、中東の支配権を手に入れた。
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引用:http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-KS276_2eusyr_P_20151012073457.jpg


ロシアのクリミア併合から2年が経ち、欧米のロシア制裁が続けられています。

プーチンが打ったシリア爆撃という一手が大当たりし、アメリカは中東から追い出されようとしている。


ロシア制裁はどこに行った

ロシアがシリアで空爆を開始してから約5ヶ月で米露が停戦に合意したが、この間に世界はすっかり変わってしまいました。

1年前ウクライナ分割を巡ってロシアが介入し、新ロシア武装勢力に武器援助したり、ロシア軍を送り込んだ。

ウクライナ東部は事実上ロシアの支配地域になり、クリミア半島はロシアに併合されました。 
 
これを受けて米国と欧州のNATOはロシアに経済制裁を課し、嫌がる日本を巻き込んで包囲網を形成した。

ロシアは局面を打開するためシリアに軍隊を送り込み、欧米から孤立したアサド政権を支援した。

ロシア軍による連日の無差別爆撃でシリア国民の半数が難民になり、トルコ軍とは戦闘機同士の空中戦も行われた。


この欧米対ロシアの戦いはどうなったかというと、事実上ロシアが勝ちアメリカは敗れました。

大規模空爆するロシア軍との衝突を避ける為、米軍は事実上シリアから撤退し、シリアは「ロシア領」になりました。

ロシアはシリアを支配下に収めた事で中東で重要な地位を占め、中東の石油をも支配しようとしています。


現在は原油価格暴落で利益は出ていないが、将来価格が回復すれば、ロシアの国力はV字カーブで上昇するでしょう。

アメリカは失地回復のためイランと国交回復し制裁解除したが、オバマ政権発足以来、中東での基盤を失い続けている。

オバマはブッシュ前大統領のイラク戦争を批判して当選し、中東からの米軍の撤退を進めてきました。

別の言葉でいうと、オバマは中東での米国の利権と支配を、失い続けてきました。



中東を失いつつあるアメリカ

支配とは結局は軍事力であり、住民がプラカードを持って行進しても何も起きません。

これをプーチンは理解していたが、オバマには分かっていなかったのが敗因でした。

米国とロシアが対立した原因はウクライナ内戦でしたが、そのウクライナでもロシアが優勢です。


ウクライナ危機の頃、欧州はまだ景気が良かったが、現在は中心国のドイツでさえ経済にガタが来ています。

ウクライナの民主主義を実現するどころが、自分の明日の食い扶持を確保しなければなりません。

それにウクライナ危機の頃は「原油高」だったので、天然ガスなどエネルギーの経由地であるウクライナは重要でした。


現在は原油安なので、エネルギーは余っているから、もうウクライナはどうでも良いという事です。

アメリカ人やフランス人が言う「民主主義」が実際は自分の金儲けの為だというのが分かります。

アメリカが中東から手を引き、ロシアの横暴を見逃しているのも、原油が安くなったから「もうどうでも良い」のです。


金が儲かるときだけ「民主主義だ」と言って大騒ぎをし、金が儲からないと民主主義の話はしないのです。

もしアメリカや欧州が中東で失った地位を回復しようとすると、シリアに腰を据えているロシア軍を追い出さねばなりません。

戦争は論外だし、脅したくらいでロシアが席を譲ったりはしません。


アメリカ軍はカリフォルニアの操縦室から無人機で無差別攻撃したが、戦果は何も無かった。
こちらも攻撃対象の9割以上が誤爆だった。
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アメリカ軍の無能ぶりは度を越していた

2016年2月になるとロシアとシリアの連合軍がシリア領内の反政府勢力を圧倒し、ほぼ鎮圧するまでになっていた。

このままでロシアはシリアどころか周辺地域まで支配下に入れて、中東はロシアのものに成ってしまいます。

アメリカと欧州はこれ以上ロシアが中東で拡大しない為に、ロシアと「停戦」する必要があったのでした。


こうなったのはアメリカとオバマの間抜けぶりが原因で、アメリカは無人攻撃機をカリフォルニアからラジコンで操作していました。

操縦士はゲームセンターの機械とそっくりの装置を前に、コーラとポテチを摘みながら「敵」を攻撃しています。

シリアにはアメリカの地上軍は居ないので、操縦士が適当に「敵」を判断するが、90%以上は誤爆です。


こんな戦闘で効果が上がる筈が無く、アメリカのイスラム国討伐は大失敗に終わりました。

そこにさっそうと乗り込んで来たのがプーチン率いるロシア軍で、あっという間にイスラム国をシリアから追い出した。

中東の人々にはロシアの強さとアメリカの弱さが、刻み込まれたでしょう。 3拍手