goo

4月16日「第一回シノギング講習 実践編」の様子

基礎編から早三週間。私も含め、この日に向けて思い思いの日々を過ごしてきた事であろう。

時は満ちたと言えるかはその者のみぞ知る。そうして再び、我々は約束の地にて集う。

いつもの月例シノギングとは場所も然ることながら、空気感もどこか異なる。実践編という事で、いつも以上に参加者主体で事を進行してもらう。何なら我々も一参加者、パーティの一員であり、厄介な野次馬でもある笑

前回決めたルートを再度お互い確認し合い、手はず通り入口までは森勝氏に先導してもらう。昨日から早朝に掛けて降り続いていた雨はそのなりを潜めたが、はっきりしない曇り空とひんやりとした空気が残る。何とも凌らしい気候と相成った。

少し車道を歩くと、神経が研ぎ澄まされた参加者の皆さまが感じ取る分岐点。我々的にはもう少し先から延びるはっきりとした道があったので、そこから入ればと思っていたが、なるほど確かにその手前にも点線の道がついていた。どうやら皆さん、しっかり仕上がっているようだ。

聞くところによる、この準備期間内に前回歩いたエリア周辺を復習を兼ねて凌いでいたり、フィールドへの都合がつかなくともイメージトレーニングでしっかり地図読みを予習し、ロープワーク等もしっかり練習されてきたという皆さん。うむうむ。頼もしい限りだ。

さてこの道からわずかに渓沿いに続くトラバースな点線道が存在するはず。少し奥まった所に登り基調で隠れるようにその道は確かにあった。よし。

感じ的にそれなりにはっきりと道が続いていそうだ。そして恐らくこれが地図乃至は駅からも補足していた送電線鉄塔の巡視路も兼ねているであろう。思いも巡らせつつ進む。

一応森勝氏のいつか対の山域から確認した際の情報では、この渓寄りの辺りに何か東屋のような人工物が確認出来たとの事。それを意識しつつ進んでいくと、ツヅラヲリながら、手前の小さなピークに向けて延びる分かれ道にぶつかる。さてこのまま渓よりを進むか、そのピークを踏んで尾根上に進むか。言い換えれば渓沿いにあると思われる人工物の確認を優先するか、確実な尾根沿いに出てそこを詰めるか。暫し皆で相談する。そしてその先の道も見比べてみる。単純にこの巨石が何か気になる気になる。。醸し出されるこの上に何かありそう感。

という事で、その好奇心的直観を信じツヅラヲリのピークの道を進むことに。

どうやらその直感は正しかったようだ。進んだ先のピーク少し手前に立派な忠魂碑と小さな御社が鎮座していた。これが森勝氏が確認した東屋と人工物の正体だったのだ。

この気になるから少し足を延ばしてみる。これがシノギングの醍醐味であり、一般的な山頂を目出す登山とは一線を画す概念でもあると思う。結果そこに何も無くとも、その「気になった」という好奇心に従う事が大切なのである。用意された道をただ進むだけでは味わえない。また地図読みやそれらに付随した経験値があるからこそ、その道から外れるという行為もある程度リスクを抑えて進む事が出来る。スタートからそんな大切な心を体現させてくれる、何とも良いルート取りだこと。

結果的に目的ともしていた人工物の答え合わせも出来た。次なる選択肢は、このまま尾根上を進むか、元に戻って渓寄りの道を進むか。補足としてここまでの登りも大した登りではない。再度皆さんで相談し決めてもらう。ちゃんと地図を確認しながら。良い光景だ。

で、尾根上を直進する事にする。ピーク辺りから少し下る尾根の入り口が少し不明瞭だったが、突っ込んでみると何て事は無い、フミアトもある明瞭な尾根道であった。下りた鞍部では道が交差していた。東寄りの道はどうやら先の渓沿い道の延長で、西寄りの道は駅からすぐ入れたトンネルを抜けた先から繋がる道のようだ。色々と点と点が繋がる。

鞍部より少し登りあがると鉄塔に到着。忠魂碑への道に入る前に捕捉出来ていた送電線。シノギング時、山中で捕捉しやすく且つ信用できる数少ない人工物である。確実なポイントなので、すかさず現在地と時間のマーク。そして次の道を確認する。勿論皆さん主体で。また良い光景だ。

次の道は少々分かりづらい尾根道が続く。そう我々は捉えており少々心配だったが、それも杞憂で終わる。

見えてきたのはその尾根っぽい方に延びる道とトラバースのように延びる逆の道。先頭はおもむろに後者の道を進む。そこで我々は確認を兼ねた野次を入れるが笑 しっかりとその先にあるであろう送電線の続きに向けた巡視路の道であり、その先にある分かりやすい尾根から詰めよう、という明確な意図を教えてもらう。なるほど申し分ない捕捉に飛ばす野次もなし。

その道はフミアトしっかりだったのでやはり巡視路であることは間違いなさそう。しかしながら久しく人が入っていない様で所々荒れていたので、細心の注意を以って進む。

南側に位置するはずの送電線を常に意識、確認しつつ、渓沿いをトラバースす。その薄暗い道の先に白む空間が少しずつ近づいてくる。

到着、鉄塔。これはもう鉄塔巡視シノギングでも良いかも笑 これもニッチだが実は面白いシノギングなのだが。再び現在地諸々のマーク。少し駅線路側の展望が良かったので、周りを色々と確認考察する。周りの山域を外側から確と考察し、気になった所をまた次回以降に訪れるわけだ。

このまま鉄塔巡りを続けても良いが、いよいよ主稜線へと延びる支尾根に入る。この先の巡視路を横目に、嫌らしい藪っぽい尾根を進む。トゲトゲの植物も散見され凌らしい尾根への繋ぎ。

藪ゾーンを抜けると、緩急のついた登りが続く。息は上がるが、この辺りは基本薪炭林自然林で、歩いているだけで心地よい。

また早朝までの雨と残る湿気で緑が活き活きしている。思ったよりも気温も上がらず、実は登りでもちょうど良い気候。オーバーヒートさせないように、着実に一歩ずつ進む。主稜線への空が近づいてきた。

無事主稜線へ乗る。分岐でもある西側へ延びる主稜線道とその先の白場も非常に気になるが。。これはまたいつかの宿題として取っておく。そのまま展望が良さそうなこの山域の最高点568を目指す。主稜線上は少し笹薮ぽい所が目立つ。

雨後の笹薮。。言わずもがなツユハラヒの出番。正統な使用方法。ゾーンを抜けていらなくなればサッと外し、ザックのサイドポケットやパンツポケットに仕舞えばよい。常に手に届くところに忍ばせておくのがミソ。露が無くとも太もも周りの滑りを良くし、単純に引っ掛かりや汚れ防止にも一役買う。特に気温が上がらずムレ感も少なければ常に着けていても良いような凌三種の神器の一つ。

そうこうしていると、568へ到着。凌的には落ち着かない展望の良い山頂のようだ。

この展望良い山頂では、あの山綺麗だねーという観察をするのではなく、直ぐ近くの低山のあの辺りが気になるよねーという確認をするのが凌流。その時双眼鏡や単眼鏡があればよりその観察にも拍車がかかる。

しかしながらこの辺りの山域はどこも気になる所ばかり。。この周辺だけでも数年シノギングで遊べるであろう。

さてこの先は隣の小さな山域への接続点となる鞍部尾根がある。ここが何とも分かり辛そうなので、事前にしっかり地形図を確認し、その分岐の尾根がどの方角寄りなのかしっかり捕捉しておく。灌木の少し煩わしい尾根下りを進む。

途中露岩帯にぶつかり、一瞬ヒヤッとしたが、良く周りを観察し、露岩を巻くルートを見出す。

いや~な痩せ気味の露岩帯もこなす。。

分岐点に到着し、一息ついてから確認した北よりの尾根を下る。この集中して凌いでいる少しピリッとした空気感が心地よい。

下った先は少し平たく、色々と出来そうなポイントだったのでシメシメ。。ここらで抜き打ちのタープ張りをしてもらおうではないか。

前回の教訓を活かし、三者各々相談しながらあっちへこっちへ。

リッジラインが決まると、それを基準にロープワークを駆使して具合をみながら各角、辺を調整していく。

素晴らしい連携プレイだ。その間も我々の野次プレッシャーは続くが、どうやら皆さん、そのプレッシャーも「気にしない」という教訓を得られたようだ。

基本のロープワークも問題なさそう。

そうして一丁上り!うむ、綺麗に張れている。

今回は一張りでは終わらせず、組合せは任せるが二張りという命題を課す。

もう、危なげない所などなく、協力して慣れた手つきで二丁目、上り!

少し間は空いていたが、縦のトンネルスタイルで広い休憩スペースを確保。ではここらで休憩としようか。と、その前に...

前回少し端折ってしまった、メタルマッチ講習を実行。第三の火種にして要ともなるメタルマッチ。その有用性と、実際使う時がきた時に困らぬよう、伝授。しっかりイメージをしながら練習してもらう。

そうしてようやっと休憩時間へ。。

シレっとタープの下に安住の別荘を築き、ちゃっかり寛ぐI氏。

前回から虜となり、ちょうど近くにも上質なそれがあり、採取に勤しむ、ファットウッドマイスターなK氏

とにかくハイカロリーな食事で腹を満たし、ナイフ談義にも花を咲かせるS氏

そうそう。ナイフ好きが二人も揃うと、そのトークが進む進む笑 そのお話を肴にコーヒーを啜る。

何張りか張れるスペースもあったので、体験とイメージを兼ねてハンモックビビィTyvekを展示張り。その名の通り、基本は他のハンモックアイテムとの組み合わせが前提ではあるが、勿論単体での使用も可能。個人差はあるが、感覚としては20℃以上の気温化の休憩昼寝では単体でも無理なく使用できる。(日が暮れた泊りとなると話は別)

休憩とは言え、色々と補足内容お話していくと、ついつい時間が経ってしまう。最終の行程を気にしつつ、少しずつ撤収作業を進める。

一応気になる廃屋?を目指す命題だけ達成させ、後は素直に北側のダム集落へ下り、下道で駅へ戻るルートを選定しておく。この辺りもシノギングならではのルート取り。無理に尾根と尾根を繋ぎ、行程を達成しきるのではなく、臨機応変に道を選ぶ。これまでの行程と、地図読みの知識・経験値あってこその選択肢。

再び出発。次なる分岐ポイントはいよいよ謎の建物がある?隣の主稜線から北へ延びる尾根道。単純に稜線に合流してから最初の北へ延びる尾根だからきっと分かりやすいであろう。

先の鞍部へ下りきり、無事接続点を繋ぎ、隣の稜線へ。どうやらこの辺りも少し笹薮が煩わしそうだ。

そうして分岐と思しき小ピークへ着く。ただここから延びる北の尾根のフミアトは不明瞭。。凌らしくなってきた。

意を決して笹薮へダイブ!

薄っすらフミアトはあるが、管理されているような形跡は一切ない。否が応でもその先への期待値が高まる。。

そろそろか。先陣を切っていた足音が止まる。それに追いつくと、在ったよ建物!素敵な御社!

航空では確認出来ない程の木々で辺りは隠れていたので、地形図の建物マークはかなり前の記録だったのかな?そんな考察も巡らせながら、思わず皆笑みがこぼれる。痺れるようなハイライト。これぞシノギング!

少し傾いていた石造の庇を直し、確と目に焼き付ける。かつてはここへ参詣する方もいたのかな。

この御社の向き的に、この集落方面に延びる尾根が”表参道”であろう。という事は、幾分安全ではっきりした道が続いている。

と、思ったら大間違いだった笑 暫く続く嫌な感じの尾根でそれを悟る。

再び露岩帯が現れると、その先は崖状に切り立っていた。マズイなぁ。

詰んだかなと思ったが、しっかりと見極めその側面を巻く。よくよく見れば道らしき道はあったが、この絶壁を尾根上に辿るのは流石に無理である。

嫌な予感しかしない露岩エリアが続く。この人間の直感というのは時に良く当たる。故に我々は気を緩めることなく、細心の注意を以って進む。

すると今度は急に露岩帯が終わりのっぺりとした”大丈夫そう”な尾根に出る。雰囲気で分かる。危険地帯は抜けた。

その先の平坦地に良い別荘地も見つけ、ウキウキ。最後の林道への尾根を詰めるだけ。

しかし、やはりというべきか、最初と最後で難儀するのがシノギング。。最後の林道へ繋がる尾根は切り立っており、お助け紐を使ってもとてもじゃないがタドレそうにない。

そんな時はしっかり地形図を読み解き、周りも良く見回してみよう。この時ばかりは”尾根を辿る”という概念に囚われないようにすること。その等高線の入り方と実際の地形から点と点で繋げられるルートが見えてくる時がある。(勿論そうじゃない時もあるが...)

かくして我々は尾根と渓との境目にトラバース気味に少しずつ下りられる道を見出す。

ここまで下りれれば着いたも同然!

渓側から最後の尾根詰めの状態を確認してみる。その先は完全に崩れ落ちていた。こりゃ下れないわ。

林道と交差する広場で、一気に開放される。いや~凌いだ凌いだ。月例の中でも屈指のシノギングルートだったのではなかろうか。さてこの後小一時間の下道歩きが残っているが。。

身だしなみを整えて集落へ繰り出す。

個人的には、シノギングの後のこういう集落を抜けて歩く道のりも乙なもので、またこのダムを挟んだ集落と山並みがとても素敵であった。

中間地点で電車の時間をチェックして、無理のないペースで寄り道しながら帰路に就いたのさ。

 

さて、この二回のシノギング講習を通じて、三人のシノラーは何を思い、感じ、得られたであろうか。その最後の皆さんの凛々しく引き締まった表情で、私は少しそれらを理解出来た気がする。

皆、もう立派なシノラーである。

願わくば、これからも自身のシノギングを実践し、どんどん経験値を積んでいってもらいたい。孤高であってもらいたい。

最後にそんな凛々しきシノラーによる決して笑ってはいけないやつ。

 

そして、長い長い二回に渡る投稿にお付き合いただき、ありがとうございます。

これら投稿から、何かご自身の琴線にふれるような事があれば、是非次回のシノギング講習乃至はシノギングイベントへのご参加お待ちしております!

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前ページ 次ページ »