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3月23日「勝手に出張シノギング 鳥取編」の様子

昨年夏、無謀にも開催した「勝手に出張シノギング」(初回は茨城編)

その第二弾の地に選定したのは、鳥取県!

我々も実は初めての来訪となる県。最終の参加人数はなんと6名。予想外に集まっていただき嬉しい限りである。はたしてどのような方々が来られるのか。まさか東京からの参加者はいないよね??等とそわそわしながら集合場所にて待つ。

一人、また一人と、続々と集まり出し、

全員揃ったところで、まずは簡単なご挨拶。もう気になって仕様がないので、参加者皆さんの出身地を含めた自己紹介もしてもらう。

鳥取県は勿論、島根県、岡山県、兵庫県に京都府まで、周辺府県から万遍なく集まっていただいたよう。本当にありがたい限り。

我々も満足した所で、、まずは凌、シノギングとは、についてのご説明。皆さん講義を受けているようにピシッとされているので、こちらまで少し緊張気味笑

お次にそんな凌の企画、製品についてのご説明。様々な想いがあって、凌の製品は出来上がっている。その想いを感じていただけたならば幸い。

その流れで、いつものツユハラヒ、クナイと、他ご希望のあった製品のお貸し出しも済ます。

まだまだ続く。シノギングには切っても切り離せない、地図読み。初めての方が主となるので、基本に忠実にイロハを教える。

コンパスチェックも、皆さん優秀で、問題なさそう。毎度申し上げているが、日本の狭くて急峻な低山では尾根を道として歩く場合、コンパスで16方位まで認識確認出来れば大体凌げる。

そして肝心なのは、地形図を如何にして読み解き、自身の現在地をそこに落とし込め考えられるか。そのためには大まかな地形図の見方も知る必要があるが、こちらも最低限、尾根と渓が識別できるようになれば大体凌げる。この辺りは習うより慣れろな所も多分にある。

皆さん総じて、地図読みでの山歩きには興味津々で、そういう方々はその興味が薄れる前に、どんどんソロなどで地図読みシノギングを実践すると良い。本当にスポンジのように知識経験値を吸収できる事請け合い。

談義も一段落した所で、いざ出発!と見せかけて、お貸し出し分を含めたパッキングしなおしがてらの、凌流パッキング術を実践、伝授。イベントという事を差し引いても、我々がなぜ常日頃45L前後のザックを日帰りでも背負っているのか、ご理解いただけるであろうか。。

こうして早1時間半笑

ようやくいざ出立。まずは車道をテクテク、入口となる神社を目指す。シトシトと降る雨。シノギングらしいシノギングになりそうな予感。

到着するも石段を上がる拝殿の手前に、煉瓦造りの垣を要する御堂?が目に入る。何か意味ありげな様相。こういう気になったところは宿題として帰ってから調べてみると良い。

石段は長く急で、雨に濡れたそれは所々滑りやすく、一段ずつ慎重に登っていく。

登り上がると鎮守の森のよう、一気に厳かな空気が増し、予想以上に立派な拝殿が姿を現す。

樹齢高そうな木々も多く、歴史と共に、この神社がしっかりとこの地で受け継がれてきた事が窺える。

神社に始まり、神社に終わる事が多いシノギングルート。実に幸先が良いではないか。

さて、ここからはいつも通り、参加者先導にて凌いでいただこうか。まだまだ不安の残る参加者たち。無理もない、最初は誰だってそうである。まずは地形図の情報を信じ拝殿の裏を覗いてみては?少しだけ提案をさせていただき、不安な気持ちに助太刀。

さすれば何てことは無く、車道並みの道が延びていた。しかし案ずる勿れ、この人工的に作られた”道”というのはシノギングにおいて猛威を振るう鬼門と化す場合がある。。

そうこの道は地形図上には載っておらず、どこにどう延びているか正確に見当がつかない。だからこそ、野山での道として”尾根”をタドルが一番確実。という事で、早々に尾根へ分け入る。

普通の尾根道かと思いきや、所々まどろっこしい人工的なフミアトがあり、本来の尾根は少し埋もれているような様相。何よりも足元にはあの忌まわしき笹の葉が、、波乱の予感。

惑わされず、忠実に尾根をタドっていく。変わらず堀のようなかつて使われていたであろう埋もれた道が交差してくるも、しっかり見極め尾根をタドル。すると先頭が何かを発見する。

そこには何と、小さな祠が。麓の神社の奥の院なのか、それとも何か他意味合いの物か。答えは分らぬが、こういう出逢いに想いを馳せるのもシノギングの醍醐味。

暫し余韻に浸るも、先を急ぐ。

すると先の嫌な予感は的中。。背丈ほどある笹薮が姿を現す。小雨後のこれは一番最悪なやつだが、意を決して飛び込む。

良く良く見ると、人か獣かが歩いた微かなフミアトが残る。それを頼りに尾根からも極端に外れぬよう漕いでいく。

意外にもすぐに藪は落ち着く。しかし灌木な低い木々が所々行く手を阻む。まだまだ気が抜けそうにない。

地形図的には南西基調に延びる、大きく単調な尾根だが、実際に行ってみないと読めない植生にはやはり難儀させられる。

日本海側に良く見られる常緑広葉樹とその灌木群による複合技で、手で枝を払ったり、中腰になるような状況が多発。特に中腰、きついぜ。

更なる忌まわしき羊歯群が現れ、追い打ちを掛けられるかと思ったが、これはこの幼葉で落ち着いており一安心。この山域の主稜線へと繋がる最後の急登を捉えると、ラストスパート。

無事合流。やはりこちらが主稜線か、フミアトも明瞭に残っている。

ただこの辺りの広めの地形でハンモック休憩できると目論んでいたが、相変わらずの鬱蒼とした灌木具合で、適地とは言えず諦める。

ここは一つの分かれ道。このT字路を以って、北西側に分け入るか、南東側に分け入るか。どちらにもその先に白場はチラホラあり。ただ下りの事も考えて、南東側を選択。

その先には一つ大きく緩やかな三角点ピークがあり、そこに掛ける事に。フンドシを占め直すが如くツユハラヒを巻き直す。此の濡れや汚れは凌いだ証。

さて再び歩き始めると、意外やそのピーク手前の白場が適度な木々があり、景観も良かったので、すかさずストップ。こちらにて休憩時間とする。

しかし、すぐに休憩させないのがシノギングイベント。。凌流のハンモック術講座へ。

相変わらず皆さん真剣な眼差し。そして私はそれに緊張笑

こうしてこの講座を元に、各々ハンモックを張ってもらう。シノラー同士のあれやこれやの交流も垣間見れる。

勿論わからない所があれば、しっかり再レクチャー。

こうしてようやくハンモック休憩時間へ。。

今回申し込み一番乗りだった、既に孤高のシノラー感漂うH氏。

地形図とにらめっこしながら、景観の変化を楽しんでいたシノラーK氏。

凌製品に興味深々で、ハンモック製品のご要望もいただいたシノラーH氏。

先のK氏、H氏との仲良し三人組にして、凌製品お試し達に大いに感銘を受けてくれたシノラーK氏。

離れたところにポツンとハナレを構築し、ニヤニヤとハンモックを堪能されていたシノラーT氏。

事前ご希望のお貸し出しを漏れなくお試しいただき、全身凌と化していたシノラーH氏。

皆さん思い思いにハンモック休憩を堪能されていた。そして昼食も落ち着き、シノラー同士の交流が始まると、我々がニヤニヤ。

前半の尾根歩きが思いの他凌ぎ甲斐のある尾根だったのもあり(あと最初の談義1.5時間笑)、休憩時間もガッツリ取ることは難しく、この間にロープワークもやろうと思ったが断念。せめてものメタルマッチによるアルストとダケカンバ樹皮着火でお茶を濁す。

それでも結局2時間は休憩できたかな。

後ろ髪を引かれる思いで撤収作業の後、再び終結。身なりも整っており素晴らしい。

さて、下りのルートをどうするか。我々事で恐縮ながら、帰りの飛行機の事もあり、余裕はあるが時間オーバーは許されない状況。。という事で、申し訳ないがこのまま尾根を詰め、送電線経由でその巡視路と思しき点線道をタドって渓沿いに下り、その林道で終点を目指すルート取りへ。皆さんともしっかりとすり合わせ。

そうと決まればいざ、出立。

最初目星つけた三角点エリアは灌木帯だった。結果的に直感的に手前で休憩としておいて良かった◎

相変わらずの枝漕ぎと、中腰地獄を織り交ぜつつ、下り始めると送電線を捕捉確認!

その方角を目指すように、微かな尾根分岐を鉄塔があるであろう方へ分け入る。

見えてきたぜ、我々が全幅の信頼を置く鉄塔さん♡

その存在の実用性もさることながら、このアーキテクチャーな造形美にも惚れ惚れしてしまう。

これで完全に地形図上の現在地は約束された訳だ。ここからは送電線に並行するように繋がる点線道(巡視路?)があるはず。少し方角を注視しながら分け入るも、すぐにしっかりしたツヅラヲリの道に繋がる。

降雨後という事もああり、少しグズグズの厭らしいツヅラヲリ。ふと西の渓側に目をやると、何とも気持ちよさそうな緩く広い渓道が。そんなの放っておくわけにはいかず、勿論分け入る。

鞍部に下り切ると、ここからは完全な渓筋へ。ただ実線も入った広い道で問題なさそう。ただ、今はほとんど使われていないことは明白。

灌木ぽい所を抜けると、そこは渓が織りなす緩やかなオアシス。

地形図的にも真っ平になっている辺りにて、咲く花と戯れるシノラー達。

そのシノラーを見送るミツマタの花。

どうやら実線道には入っているが、明瞭さに欠ける。盛大な蒐場を横目にそれっぽい所をタドル。

すると沢のチロチロとした流れと共に、明瞭な細い林道を見つける。なるほど広い枯れた沢筋を歩いていたのだな。次第に地形図にも載っている廃墟たちも姿を現す。

ここまでくれば一安心。

十字路にて、この辺りの廃屋群も気になるが、、こちらは皆さん次回の宿題!先を急ぐ。

いかにもな溜池の横を、颯爽と通り抜ける。気になるポイントが多すぎる。。

こいう単調になりがちな最後の林道歩きも、少し辺りに目を向けてみれば意外に気になる要素はたくさんある。そうやって気にしながら歩くと、良い脳内ミチクサができ、林道も飽きずに歩ける、はず。。

朝の神社周辺へ繋がる集落に出る。この集落も実に風情があり、良かったな~

辿り辿って、最初始点の終点へ無事到着。

達成感に満ちたシノラー面々と、その装備達が全てを物語っていた。凌いだ凌いだ、実に凌いだ。

最後の〆は勿論、決して笑ってはいけない奴。

今回の勝手に出張シノギングへ参加いただいたみなさま、本当にありがとうございます。

中国山陰近畿と、周辺地域より広くお集まりいただき、この企画の意義を大いに感じさせていただきました。我々も嬉しい限りです。

初めてのシノギングにして小雨降る中の藪漕ぎも有りで、正に凌のそれを体験いただけたのではないでしょうか。

人が少ない静かな低山でまったりと、、その理想のためにはしっかり身に付けなければいけない知識や術があります。そしてそれらを身に付ける事で、真に自立した安全な山歩きが出来ると、我々は考え信じております。そんな想いをこのシノギング延いてはこのイベントに込めています。

シノギングや地図読みは、積極的に実践する事で大いに花開きます。まずは地元の気になる裏山から、積極的に凌いでみてはいかがでしょうか?

 

シノギングの情報は巷に溢れていません。気になる方はまず、このシノギングイベントに参加してみて下さい。この手記から得られる知識情報はほんの一部で、文献では得られない体験がこのイベントには詰まっています。実際に参加することでシノギングのあれやこれやを知ることができるでしょう。即ち百聞は一見に如かず。

 

凌は美学

いつ何時でも所作、立ち居振る舞いを美しく

いつ何時でもあたふたせず、まごまごせず

道具に踊らされず

凌ぎ

美を追求すべし

 

 

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