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ウェールズ最高峰と同じ標高を凌ぐ

梅雨入り前、そして展示会前にサンプルテストを兼ねてのお泊りシノギング。試作品だけではなく既に販売しているアイテムも継続的なテストを繰り返している。素材のスペックにこれでもかと肉付けをした情報を露出してあぐらをかくのではなく、実際に使ってどう感じるかを正しく伝えるのが凌の重要な仕事のひとつであり凌流である。

最近になってやっとICカードが使えるようになったバスを降り橋を渡る。

あらあら、目星をつけていた尾根の末端には、地形図に載っていない出来たての林道が白く伸びているではないか。

せっかくなのでちょっと辿ってみるが、尾根を外れ始めたのでここらで凌ぎはじめることにする。

シノギングでは自分が楽しみたい道具を詰め込んだ重いバックパックを自分の責任で背負って歩くので一日で長い距離を歩こうなどとは思わない。狭い範囲を存分に楽しむのがシノギングである。

今回のバックパックの重量は15kg。これでも冬季シノギングの装備に比べれば3kgも軽い。この重さになるとさすがに肩加重のバックパックではつらいのでEXPED Lightningに凌道具を詰め込んだ。Lightningはしっかりしたヒップベルトのおかげでほぼ腰加重で背負うことができる。ショルダーベルトは決して締め付けずそっと肩にあてる程度で十分だ。

後ろから引っ張られているかのような重いバックパックを背負って、荷重バランスに注意して急斜面を登る。ここから250mの直登の始まりだ。

急傾斜の直登・直降に凌ピッケルは欠かせない。ピックやブレードはもっと悪い場所で使うのだが、こうして石突を突いて歩くだけでバランスが取れるしトレッキングポールよりも頑丈で扱いやすい。そしてハンモックポイントの整地、トイレの穴掘り、行燈スタンドにも使える。どちらを持って行くかと問われれば迷わず凌ピッケルと答える。

あらあら、目の前が開けてきたよ。

林道延伸工事の末端に出たのだ(笑)まったくもう、シノギングではよく林道に邪魔される。

気温は13℃ほど。暑くも寒くもないが当然この時点で既に汗が吹き出している。ウール×ポリエステルのTシャツ(試作品)にヒネモス(試作品)を重ねているが、吸汗性のあるヒネモスはまんべんなく汗を吸収してくれるので、Tシャツの裾から汗がぽたぽた垂れるようなことがない。撥水加工されたソフトシェルは汗を吸ってくれないので、たとえ通気性が高くてもどうしても蒸れを感じてしまう。そんな汗っかきにヒネモスはうってつけのシャツである。そして、しじら織りという独特のシボ(凸凹)のある素材は和のデザインを取り入れている凌にとても合うのである。

今回の着こなしのもうひとつはフタエズボン。薄手の高通気素材を二重にしているので13℃という気温でも行動中は寒くなく、もちろん暑くもない。ただ、このような急斜面では前面のフラップを踏む、確実に踏む。そんな時には着物の裾を端折るようにフラップを腰のボタンで止めるのが正しい使い方。そうすればこんな露岩帯も安全に凌ぐ事ができる。

850m圏から先は緩いアップダウンの稜線になる。都立なんとか公園みたいに雑草もゴミもない綺麗な森が続く。もちろんだあれもいない。

緩いアップダウンの広い稜線は現在地がわからなくなりやすいので、ちょっとした地形の変化を気にしながら方位や地形が明らかに変化する場所で現在地を更新しながら歩くことが大事だ。

こんなにきれいなブナの稜線がずっと続く。

完璧な地図読みで目星をつけていたハンモックポイントにチェックイン。

さてさて、まずは水を確保しに行こう。西側の緩い渓に下りて行くとすぐに水が湧いていた。

稜線のすぐ脇のここから湧き出している。なんて豊かな森なんだろう。

いつもであれば凌メソッドによる高通気レイヤードで汗に濡れたベースレイヤーを着干しするのだが、今回は多めに持ち込んだ試作品に着替えて楽々汗冷え解消。贅沢に2枚重ねしたベースレイヤーにクイックハラマキ octa、その上にツヅラヲリを重ねた。そしてフタエズボンの下にカルフワタイツ、濡れたパンツにはカルフワタオルを巻いて寒さを凌ぐ。カルフワタイツは暖かい時期のシノギングでもとても重宝する。

気温は上がりもせず下がりもせず相変わらず13℃だがじっとしていると結構寒い。早く火を起こして温まろう。

一夜を凌ぐこの場所はウェールズの最高峰スノードンとほぼ同じ標高である。

この稜線で海と陸の空気がぶつかるので雨が多いと聞いたことがあるが、なるほど我々の別荘はいつの間にか靄に包まれ湿気を帯びてきた。

朝になっても気温はほとんど変わらなかった。

今回のハンモックシステムは、EXPED Solo Tarp & Travel Hammock、モグ wool insulation、ハンモックビビィ Tyvek。

ハンモックビビィ Tyvekは保険のつもりで持って来たのだが、意外と寒かったのでこれがあってよかった。保温着が薄手のモノばかりだったのでモグ wool insulationだけでは少し寒かっただろうな。やはり保険は掛けておくものだ。それでも保温着が薄手だったおかげで着膨れせずリラックスして眠れたし、裸足になって足を開放して寝ることができた。これはこれで良しとしよう。

ハンモックビビィ Tyvekはベンチレーターにあるループをショックコードで吊って使っていただきたい。こうすることで顔まわりの空間を確保できる。この場合はリッジラインが必要になるが、便利な自在やフックなどで小細工せずに引き解け結びとトラッカーズヒッチでビンビンに張ってほしいものだ。Solo Tarpもガイラインの先のトグルなど外してしまって引き解け結びで張ってほしい。こうすればおのずとロープワークを覚えられる。

しばらく前からクッカー類と保険の薪の収納に試作品の風呂敷を使い続けている。クッカーの種類が変わっても、保険の薪の量が変わってもぴっちり包むことができて無駄がない。結び目のコブがパッキングの邪魔になる場合には無理に結ばずに包むだけでいいだろう。綿から撥水ナイロンに素材を変えただけのシンプルな風呂敷だが破れにくいし湿気に強い。なになに用のスタッフザックというものをよく目にするけど、持っているすべてのものに専用のスタッフザックが必要なのかな?そういうことを楽しんでいるんだろうけど、そんなの必要かな〜、風呂敷でいいんじゃないかな〜、夢がないのかな〜(笑)凌風呂敷の製品化はいつになることか・・・。

さて、本日は昨日の尾根に対して渓を挟んで反対側の尾根を凌ぐ。下り尾根はトリッキーな分岐もあるので注意が必要だ。

見た目は昨日とほとんど同じ着こなしだが、試作品のウール×テンセルTシャツに着替えその上にヒネモス。裾を端折ったフタエズボンにクナイショートの黄金バランス。そして汗止めのクビマキ。

いくつかのトリッキーな地形を無難にこなし尾根を分岐して順調に下ると・・・。出ましたシノギング名物林道トラップ(笑)今回は登りと下りセットでお出まし。

一旦は林道を辿ろうと思ったが、尾根からそれていくので尾根の続きを下降することに。

しかしここが激下り・・・。近くの木に抱きつきながら小刻みに安全に下りる。やはりシノギングは最初と最後に難所が多い。

100mほどの激下りを終えると傾斜は緩み、茨のトラップにイテテ、イテテと言いながら凌ぎ終えたのであった。おつかれ山〜。

尾根を凌いだアイテム

ヤマボウシ Air

クビマキ

ヒネモス(試作品)

ウール×ポリエステルTシャツ(試作品)

ウール×テンセルTシャツ(試作品)

フタエズボン

クナイショート

Super Fit Mesh Glove

ヤマバッグ XP

タモツウルオス XP

凌ピッケル

EXPED Lightning 45

 

一夜を凌いだアイテム

EXPED Solo Tarp

ハンモックビビィ Tyvek

モグ wool insulation

EXPED Travel Hammock

ツヅラヲリ

クイックハラマキ octa

ウール×ナイロンTシャツ(試作品)

カルフワタイツ

カルフワタオル

行燈風シェード

シノギチャブダイ

ヌノバケツ 4litters XP

風呂敷(試作品)

 

 

 

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