海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

名護市議会傍聴

2008-09-24 16:01:43 | 米軍・自衛隊・基地問題
 19日(金)と22日(月)は午後から名護市議会の傍聴に行った。辺野古の新基地建設問題に関しては、特に新しい展開はなかったのだが、今さらながら目についたのは、島袋吉和市長の答弁のトットローぶりである。
 22日の午後は仲村善幸議員が一般質問を行い、島袋市長が日本政府とV字型滑走路案を基本合意した際に、米軍ヘリの陸地(住宅地域)上空の飛行を認めない、と主張したのは公約か否か、と質問した。それに答えるのに、島袋市長は自分では考えきれないのか、副市長や基地問題担当職員と顔を突き合わせて何度も相談を重ね、答えた内容も焦点がずれていて、仲村議員との間で徒に応答が繰り返された。職員が論点整理をしてどうにか収拾したのだが、その様子を見ながら、いくら言質を取られないためとはいえ、自分の頭で考えてもっとてきぱきと答弁できないのか、とイライラしてならなかった。傍聴席からは失笑が漏れ、野次も飛んでいた。
 陸地(住宅地域)の飛行はいっさい認めません。政府との間でそれが協定として結ばれなければ、V字型案への基本合意は撤回します。島袋市長が騒音対策を徹底し、事故の危険性を除去するというなら、市民にそう公約すべきだろう。しかし、それができるはずはない。実際に新基地ができてしまえば、米軍がどういう訓練をしようが、名護市にそれを止める力はなく、日本政府も関与する意思がないのは、現在の沖縄基地の状況を見れば分かる。せいぜいが議会で答弁しているように、政府の「誠実な対応を要求する」とお茶をにごして切り抜けるだけだろう。島袋市長にしても内心は、米軍が陸地(住宅地域)を飛ばないとは思っていないのではないか。
 だいたいが海兵隊の戦闘は陸地を主に行われるのだから、海の上だけを飛んでいて訓練になるはずもない。宜野湾市上空で訓練をしている米軍のヘリは、公共施設や民間の建物を攻撃目標や「テロリスト」の拠点などと設定して、侵入、接近、回避などの飛行訓練を行っているのではなかろうか。都市上空での戦闘訓練が自由にできる場所など、沖縄以外にはあるまい。老朽化の問題はあれ、普天間基地は米軍にとって得難い基地であるというのが本音だろう。
 辺野古に新基地ができても、米軍が市街地上空での訓練を行うのが目に見えているのは、海兵隊の戦闘が市街地でも行われるからであり、それに対応する訓練ができる場所が沖縄だからだ。北部訓練場で山岳部のゲリラ掃討訓練を行い、名護市上空では都市部での戦闘訓練を行う。そうならないと島袋市長は断言できるだろうか。しかも、新基地に配備されるのは、墜落事故を何度も起こしているオスプレイなのである。沖合に位置をずらせば騒音対策になるという議論は、米軍の訓練の実態から目をそらさせるためのまやかしにすぎない。
 そうやって市民を危険にさらす「見返り」として政府と沖縄県・名護市が進めている北部振興策にしても、実際の振興には結びついていないことが仲村議員から指摘されていた。市の失業率は改善せず、金融・情報特区の企業誘致にしても低賃金・非正規雇用のために短期間での離職者が多く、農家の戸数、農業生産高も激減していること。さらに、空き店舗率や生活保護世帯は増加し、今年に入って市内の建設関連業者8社が倒産し、200名余が失業していることなど、問題が列挙されていた。それへの市の答弁は、時間切れでなされないまま終わった。
 他にも複数の野党議員から辺野古海域の赤土汚染の問題が追及されている。台風13号の影響で雨が続き、現在キャンプ・シュワブ内で進められている兵舎建設のための土地造成工事現場から赤土が海に流出し、ジュゴンの餌となる藻場一帯が汚染されているという問題である。赤土対策は県の工事基準を満たしていると言ってもこの有様である。新基地建設の埋め立て工事は、兵舎建設とは比較できない大規模なものだ。それがどれだけの環境破壊をもたらすかは推して知るべきだろう。
 他にも名護市の抱える問題は山積しているのだが、書いていると切りがないのでここで終わる。 

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