海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

埋め立て工事の進行と県民投票キックオフ集会

2019-01-27 14:39:20 | 米軍・自衛隊・基地問題

 26日(土)は強風のためカヌーは海に出られなかった。午前8時45分頃、抗議船1隻を出してK9護岸の様子を見に行った。すでにランプウェイ台船が接岸して、ダンプカーに赤土混じりの土砂が積み込む作業が始まっていた。

 いつもは海に出ている警戒船も、この日は出港を控えていた。キャンプ・シュワブのゲート前では集会があるため、資材搬入がなかった。集会に参加した市民のなかには、今日は作業がなかった、と勘違いした人もいるかもしれない。しかし、海ではいつも通りの埋め立て作業が進められている。

 土砂の陸揚げと並行して、ガット船(運搬船)からランプウェイ台船に土砂を積み替える作業も行われていた。また、土砂を積んだガット船が3隻、新たに大浦湾に入ってきた。

 今はまだK9護岸一つからしか陸揚げができないため、ガット船は自分の番が来るまで沖で待機しているしかない。しかし、新たな護岸が造られ、桟橋代わりに使われると。土砂投入の速度が倍加する。ゲートから搬入される大型の石材は護岸建設で使用するものだ。それを止めなければ、辺野古岬から長島方向に新たな護岸建設が着手される。

 午前9時50分頃、豊原区の高台から辺野古側の埋め立て作業を見た。次の土砂投入が打ち出されている②工区では、K3護岸やK4護岸の内側に栗石を敷き詰め、その上に防砂シートを敷いて、上端を根固め用袋材で押さえる作業が行われていた。

 埋め立てが進められている辺野古岬近くの②-1工区では、K9護岸から陸揚げした土砂をダンプカーで運んできて海に投入し、ブルドーザーで広げる作業が行われていた。大浦湾の埋め立て予定区域に軟弱地盤があることが問題になっている。しかし、それで日本政府・沖縄防衛局が工事を止めることはない。

 むしろ日本政府・沖縄防衛局がやることは、埋め立て工事を加速して辺野古側の埋め立てを終了し、ここまで工事が進んでいるのに設計変更を承認しないのか、と玉城知事に圧力をかけることだ。同時にあらゆる機会で玉城知事に打撃を与え、次の県知事選挙で言いなりになる知事を作り出そうとする。県民投票もその機会として利用されている。

 海と陸から埋め立て工事の様子を見たあと、ゲート前に行って午前11時から開かれた「県民投票キックオフ集会」に参加した。多くの政治家が発言したが、若者代表でマイクを握った翁長雄治議員の発言が、反対票を集めるために力を尽くそう、という熱意が伝わってきて一番良かった。

 3択で与野党が一致し、全県実施が実現してよかった、ということで、そのために尽力した議員たちの苦労が語られていたが、そもそも、今回の混乱の原因は何なのか。市民の投票権を奪ってまで県民投票に風穴を開けようとした5市の首長は、彼らだけの判断でそうしたのか。そうではあるまい。

 宮崎政久衆院議員や自民党の県議、市議らとの連動した動きを見ても、5市の首長の行動が自民党県連と自民党中央、安倍政権に支えられていたことは明らかだろう。彼らは本気で県民投票つぶしを仕掛けたのだ。彼らがそこまでやってくるという認識を、玉城知事や与党県議、住民投票を進めてきた者たちは持っていたのか。

 1996年に行われた県民投票の時と今では、政治状況が大きく変化している。いま県民投票をやれば、自民党や保守系首長がボイコットする危険があることは、少なからぬ人が指摘していたはずだ。それには耳を貸さず、県民投票で圧倒的な反対票を集めて知事の撤回を後押しする、という主観的願望からことを進め、運動を進めていけば反対している人も参加せざるを得なくなる、と高をくくっていたのではないか。

 県民投票は諸刃の剣であり、大きなリスクを伴う。それにどう対処するかという議論はないまま、県民投票で反対の民意を示せば、撤回をめぐる裁判で裁判所も無視できない、という希望的観測でことを進めてきた者たちは、自分たちの状況分析の弱さ、判断の甘さを反省すべきだ。

 今回、保守系首長や自民党は県民投票に風穴を開けて失敗させることで、裁判で県にとってマイナスの材料になるよう仕掛けてきた。3択にすることで玉城知事は、肉を切らせて骨を断つ形で、どうにかその攻撃をかわした。自民党県連も国政選挙への影響を考えれば、「やむを得ない」という選択肢を入れることはできなかった。だが、これですべてがおさまるわけではない。

 県民投票が全県実施となれば、自民党、公明党も本腰を入れて取り組むだろう。それを日本政府がバックアップしたとき、公職選挙法が適用されない住民投票で何が起こるか、警戒しすぎてもし足りない。仮に宜野湾市と名護市で集中的に政府が力を入れた時、ここ最近の市長選選挙や議員選挙の結果を見れば、反対が多数になるとは限らない。私も投票できる、と喜んでいる場合ではないのだ。

 投票率を上げるために、賛成の人も投票で意思を示そう、などと呼び掛けていたら足元をすくわれる。県民投票で圧倒的に反対の意思を示す、と口で言うのは簡単だが、それを実現するのは大変なことだ。投票率が50%を越えて反対が賛成を上回れば成功、ということにはならない。成功のハードルは高く、もし失敗したときのリスクは致命的に大きい。そのことを心しなければならない。

 県民投票を後押ししてきた県内の新聞は、これからさらに県民投票の報道に熱中して、現場で進む工事とそれに対する抗議の取材は少なくなるだろう。現場で抗議を続けてきた市民も、県民投票に力を割かざるを得なくなる。しかし、県民投票が現場の運動を後退させたのでは本末転倒だ。

 辺野古新基地問題で投票するというなら、沖縄県民は今こそ辺野古に足を運んで、工事の実態を自分の目で確かめるべきだ。本気で反対というなら、今現に進んでいる工事を止める努力をしないといけない。

 

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