海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

5・15平和とくらしを守る県民大会

2008-05-19 17:08:23 | 米軍・自衛隊・基地問題
 昨日は宜野湾海浜公園で開かれた「5・15平和と暮らしを守る県民大会」に参加してきた。午後3時の開会に合わせて出かけたのだが、高速自動車道から下り、普天間を通って58号線に出たところで、渋滞に巻き込まれ遅れてしまった。県民大会会場に向かう平和行進団に、右翼団体が街宣車で妨害活動を行っていて、それが渋滞の原因だ。
 昨日の午後、東コースを歩いたときも右翼の街宣車が三台、行進団の横をのろのろ運転しながら騒音をまき散らしていた。同じことを左翼団体や革新系の団体がやったら、即座に逮捕されるだろう。しかし、警備をしている警察も右翼の行動は黙認している。暴力的衝突が起こってマスコミ沙汰になり、警備担当者の責任が問われる事態にでもならない限り、好きなように妨害させろ、ということだろう。そうやって、右翼は怖い、というイメージを作り出し、映画『靖国 YASUKUNI』の上映を映画館側に自主規制させるような、心理的萎縮を市民に生み出す効果も狙っているのだろう。
 県民大会は時折雨が降る中、主催者発表で4000人が集まって開かれた。例年そうなのだが、地元市長や政党代表、国会議員など政治家の挨拶が延々と続く。県民の参加者が広がらない理由はこういうところにある。3・23県民大会実行委員長の玉寄哲永氏や韓国からの参加者代表の挨拶もあったが、そういう多様な声がもっと聴ける場にならなければ、特定の政党・政治家の支持者か組織労働者しか集まらなくなってしまう。
 辺野古や高江の基地建設、泡瀬干潟埋め立て、ヤンバルの林道建設・ダム建設などに反対している人、沖縄戦の体験者、教科書検定問題に取り組んでいる人、医療・福祉の切り捨てに苦しんでいる高齢者、低賃金で生活できないフリーター、大学生や高校生などに、3分間ずつ時間を与えて話してもらった方が、政治家の挨拶よりもはるかに切実な、「日本復帰」36年を迎える沖縄の生の声が聴けるだろう。県民大会がそういう場になれば、今よりも確実に参加者の幅は広がる。
 これは幅広く県民を集めるために政党色を消し、労働団体の発言を封印しろと言っているのではない。政党は独自の色をどんどん出し、労働団体も組合旗を掲げて独自の主張をすればいい。しかし、年内にもあり得る衆議院選挙や6月8日の県議会選挙を意識して、政治家の挨拶をずらずら並べるような大会では、参加することさえ嫌になってくる。今の沖縄で県民が抱えている問題の切実さは、政治家達の型にはまった挨拶では伝わってこない。また、政治家の発言を聞く機会は、他にいくらでもあるのだ。
 3・23県民大会で、参加者が一番胸を打たれたのは、米兵によるレイプの被害にあった女性の発言だった。そのときは会場は静まり返り、みな話に聞き入っていた。米軍であれ自衛隊であれ、軍隊によって「命とくらし」を実際に脅かされている人の生の声を聞けば、たんに地位協定の改定にとどまらず、安保条約を廃棄して基地そのものを無くしていかなければ、という思いが湧いてくる。問題を地位協定の範囲内に押しとどめ、米軍基地を法的に支えている安保条約の問題には触れない政治家達には、沖縄県民の「命とくらし」を守ろうという気持ちが本当にあるのだろうか。
 政治家の話が並ぶのは今年だけではない。毎年同じような形式と中味がくり返されている。今回の県民大会の参加者4000人のうち半分はヤマトゥからの参加者だ。なぜ沖縄県民は2000人しか参加しないのか。「日本復帰」から36年が経った沖縄で、基地問題にかぎらず「命とくらし」を脅かされている県民は数多くいる。そういう県民の声が汲み上げられ、直接的に響き合う場として変わっていかなければ、5・15県民大会は「年中行事」として続くことはあっても、ジリ貧化はまぬがれないだろうという思いが湧く。
 宮古・八重山を含めて県内を行進し、各地で集会や大会を開くエネルギーは大変なものだ。主催者や裏方の苦労も並大抵ではないだろう。5・15は沖縄にとって忘れてはならない日であり、米軍と自衛隊の基地がある限り平和行進や県民大会を続ける必要がある。一日も早くやめるためにやり続ける、という矛盾を背負った取り組みなのだが、実際に基地を動かすだけの力を持った運動にするためにも、そのあり方にはもっと議論と工夫がほしい。

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サツマ侵略400年に (太田武二)
2008-05-19 20:03:00
15日の母の法事から、辺野古、南北の塔のイチャルパから我喜屋さんの案内で宇栄原の12神様他の御獄参り、末吉霊場、前田高地、普天間宮のガマをお参りしてから平和行進、県民大会に参加し、最後が来るべき自決権シンポの二部に参加して昨日の最終便で東京に戻ってきました。その中で、17日土曜日の夜、糸数慶子さんの事務所をお借りして、来年のサツマ侵略400に向けての相談会をしました。参加者は、私を含めて7人。そして、事務所にいた秘書の城間君は、昔東京で一緒に活動していた仲間の次男だったと言う奇遇もあり、いろいろと話が弾みました。
 その時の合意事項としては、・来年に向けての諸企画としてサツマ侵略400を転機とする琉球の自立ー自決ー独立に向けて沖縄人自身の宣言運動を起こす。来年の4,28から6,23の時期に連続した企画を、沖縄を起点に日本各地(首都圏、関西他)で起こす。来年が焦点となっている辺野古新基地建設の阻止闘争を頂点とする米日軍基地撤去へ向けての運動を強化する。運動領域を日本国内からアジア、世界へ向けて非武装地域としての琉球ネシア連邦、琉球の自治、うるまネシアなどを具体的に国連人権委員会、先住民族作業部会へ働きかけを強める。
・こうした諸々の運動を起こすに当たって、具体的に基地撤去を闘っている仲間達、そして沖縄人意識をもって苦闘している労働者、農漁民、知識人、文化人、学者、神人、経済人などの広範な沖縄御万人が参加できるような人脈形成を目指すということでした。
是非、目取真さんにも参加していただきたく書き込みをしました。
うちなーよ (Stray-Cat)
2008-05-20 01:57:24
こんばんは。 
目取真さんのブログに出会って以来、いろいろとむぬ考えさせられています。平和運動が労組・市民団体に支えられていることに頭が下がります。私のような孤立傾向(?)の者には事前のPRが少ない感じを受けました。参加できず残念でした、と言い訳です。検索してみると日程は平和運動センターのページで詳細を把握できました。来年からはぜひ参加したいと思います。日曜日は「自己決定権」シンポジウムに行きました(前半だけですが)。「自己の内なる同化志向」にうちあたいし、重い気分で帰ってきました。帰りに博物館隣のショッピングセンターで屈託のない買い物客たちの顔を目にして、浦添から南はもう完全に東京なんじゃないかと危機感を覚えました。
そのあと、タイムス土曜日の刺激的なブックレビュー、野村浩也著「植民者へ」、拝読しました。精神の植民地化、今後最も強く意識し考えたいテーマです。早速読んでみたくなりました。
今後とも目取真さんの発言に注目しております。
駄文をお読み下さりありがとうございました。
Unknown (目取真)
2008-05-20 04:54:11
いろいろコメントを下さり有り難うございます。
来年は薩摩侵略400年、琉球処分130年の節目を迎えます。東京・関西・沖縄だけでなく、奄美、宮古、八重山、与那国、大東の皆さんにも声をかけて、多様な形で琉球・沖縄の歴史と現状を議論できる場が作れたらと思います。
いずれにしろ、その地域で生活している人達が主役にならなければ意味がありません。ヤマトゥから有名人を呼んで盛り上げるという発想はやめにしたいものです。
独立を口にするなら、日々の生活でそのための努力を本気でやらなければなりません。ただのイベントに終わらせず、現実の政治に反映させられる動きを作り出したいものです。

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