海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

弾はどこへ射った?

2009-02-12 17:15:15 | 米軍・自衛隊・基地問題
 昨日「ジュウルクニチというのに」を載せた直後に、テレビのニュースで在沖米軍海兵隊報道部が、金武町伊芸区の民家で発見された銃弾について、海兵隊の訓練との関わりを否定する調査結果を出したことを知った。それではいったい発見された銃弾はどこから来たのか。伊芸区の住民が狂言を演じたというのだろうか。
 だいたい海兵隊報道部の発表は、犯人が自分で自分を調査して、分析の結果私は無罪です、と言っているようなものだ。自分たちの訓練による流弾です、と認めれば訓練中止に追い込まれるので、たとえミスがあっても認めはしない。これは「良き隣人」ならぬ腐りアメリカーどもの常套手段なのだ。
 米軍が自らの調査結果の客観性を保持するためには、たんに調査資料の公開だけでなく、訓練の場所、実態などを把握できるように基地内の立ち入り調査を県関係者に認め、訓練実行者への聴き取りなどをはじめ県と合同で調査する必要があるはずだ。しかし、軍事機密の壁を作って米軍がそれを認めることはない。結局、米軍基地は治外法権の場所として、沖縄県民の命と生活を脅かし、基本的人権を侵し続ける。
 今日の琉球新報夕刊には、以下のような伊芸区住民の声が載っている。

「結局泣き寝入りか」 着弾目撃の住民
 【金武】着弾を目撃した玉城ミツさんは「どう考えても米軍は逃げている。キャンプ・ハンセンから飛んできたとしか考えられない、事実のもみ消しだ」と述べ、被弾事件と無関係とする米軍の発表に憤った。
 玉城さんは「先日もヘリコプターの音を聞いて、忘れかけていた着弾の時の恐怖が一瞬でよみがえった。やっぱり基地が憎い」と話しながらも「伊芸の場合は結局泣き寝入りするしかないのか、誰かが傷つかない限りは無理なのか」と、半ばあきらめた表情で語った。

 沖縄・日本に米軍基地が置かれている法的根拠は、日米安保条約である。問われているのは、伊芸区の住民にこのような絶望的な言葉を口にさせる、日本の政治家たちの責任である。たとえ政権与党の政治家であっても、伊芸区住民のこの言葉を読んで恥辱にかられなければ、政治家として終わっている。これは「沖縄問題」ではない。狭い沖縄に米軍基地を集中させ、民間地域に隣接して実弾演習場を造らせ、米軍に好き放題やらせている日本政府とそれを容認している大多数の日本人の問題なのだ。
 ヤマトゥのマスコミは沖縄に基地を集中させておきたいから、この在沖海兵隊報道部発表の問題も、無視するかおざなりに記事にするだけだろう。このブログを読んだ人は、ぜひ沖縄タイムスや琉球新報のホームページも見てほしい。

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2 コメント

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相模原から (ブーゲンビリア)
2009-02-12 20:14:23
こんばんは。
さっそく私のブログに掲載させていただきました。
http://blog.goo.ne.jp/naha_2006/e/0e9f424a7bdb0309cb379d45a0d078e2

よろしくお願いします。
安保無効 (宮坂亨)
2009-02-12 23:08:10
やはり安保条約破棄しかないですね。
ここで僕は「安保条約無効確認訴訟」の原告になりました。
岸信介がアメリカに買収されていたことが分かり、これが国際法に違反していて、岸の結んだ日米安保条約は国際法上無効だ、というのを確認するための裁判を起こしています。

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