日々の出来事

当院の出来事を紹介します

猫のパルボウィルス感染症

2010-10-14 00:18:45 | Weblog
先ほど時間外で、夕方から急にぐったりしたという猫を診察しました。
意識がもうろうとしていて、低血糖が予想されました。
検便の異常もありましたが、脱水と低体温でぐったりしておりました。

術後管理で柳田先生と残っていたため、血液検査をしたところ・・・、
白血球数が激減しており、やはり低血糖でありました。
パルボウィルスによる猫汎白血球減少症であると判明しました。
感染症に伴って、低血糖が生じているのでありましょう。

この猫は数日前にもらって来たらしく、潜伏期が外れたものと推測されました。
ちなみに一緒にもらってきた別の猫も、同じような症状で亡くなっていたと判明しました。
このウィルスは伝染性が強く、死亡率も極めて高いのですね。
時間外に来ていただけたのは病院としては幸いでした。
すぐに環境を閉鎖して隔離対応とし、院内の徹底消毒を開始できました。

当院には厳密な隔離室があります。
換気も含め、他の動物と接触することはありません。
強力ではありますが動物に負担のない消毒用水(中性電解水)を作成する機械を持っております。
これで徹底的に院内を清掃すれば、院内感染が生じることはないのです。

隔離スペースを持ち、消毒の優れた設備があること・・・、
ようやくまともな診療ができるようになりました。

法事とミニ同窓会

2010-10-12 15:34:21 | Weblog
土日は、車で東京に行ってきました。
祖父と祖母の法事があり、親戚が集まる数少ない機会なので家族連れで行きました。
あいにくの雨模様でしたが、お経の後の墓参りの時だけ少し止んでくれました。

出発前の夜は、お世話になっている獣医大学の先生が教授になった昇進祝いがありました。
残念ながら一次会で失礼しましたが、仲間の婚約発表も重なりおめでた続きとなりました。

土曜日の夜は、小学校の時の同級生と久しぶりに会いました。
各自が異なる地域に住み、子供の年齢もバラバラなので、なかなか会う機会がなかったのです。
気兼ねない関係ですから、よい話ができました。
私の法事に合わせて、東京駅まで出て来てもらいました。
年齢からか、皆微妙に調子の悪い部分が体に出て来ているようです。
感覚的には、大昔と変わりませんが、あちこち痛いのは皆同じ、で安心してしまいました・・・。

ふうう

かわいそうに…

2010-10-08 12:13:19 | Weblog
先日ご紹介した、前足の血栓によると思われる血行障害の猫ちゃん。お薬などで治療頑張ったのですが、かわいそうなことに腕が壊死してきてしまいました…。
心臓に心筋症という持病があったようで、これにより血栓ができて飛んでいき、動脈に詰まってしまったのでありましょう。

私は26歳の時に、同級生の親友を、この猫ちゃんと同じ病態で亡くしています。血栓の原因は心筋症ではなく多血症でしたけど…。初めは足の動脈に血栓が詰まり、その後多発性にあちこちで梗塞を起こして、一週間の入院で亡くなったのでした。今でも昨日のことのように思い出しますね。

友の形見のトロンボーンを、自分の机の脇に置いて日々を過ごしています。

胸腺型リンパ腫

2010-10-08 01:37:14 | Weblog
昨日、初診でいらした猫は猫白血病ウィルスが陽性で、胸水が貯まっていました。
胸水を抜いて呼吸困難を解消しつつ、胸水の沈渣を塗抹し染色して顕微鏡で観察しました。
予想通り、リンパ腫の細胞が多数出現していました・・・。

血液検査でも、末梢血中に少数ですがリンパ芽球が出ていました。
ステージⅤという状態です。
猫白血病ウィルスは、外に出る猫が発病しないで持っていることが多いです。
この猫ちゃんは、子猫の時にいただいて来た猫で、外に出た事はないそうです。
母猫がすでにウィルスを持っていたためによる、垂直感染があったと判断されます。
授乳を介して感染してしまう、とされています。

5年間、何もなかったようですから、よくもっていたほうだと思います。
通常はもっと早く発病して、何らかの症状が出て来るものです。
貧血が多いですが、風邪が治らない、などという場合も感染が背景にあることがあります。

この子は、避妊手術もしていませんでした。
初めにかかった獣医師の説明が、不十分だったのだと感じます。
猫白血病ウィルスや猫免疫不全ウィルスについて、説明しておくべきだと思います。
初めのワクチンで猫が病院嫌いになってしまったみたいなのです。
それで動物病院には、その後行かなかったみたいです。

初めにかかった獣医師の初期対応の違いで、人生が変わってしまう場合があるのです。
運の一つではあるんですけどね・・。




竹串+鶏肉

2010-10-06 01:43:56 | Weblog
竹串と鶏肉・・・。
焼き鳥屋さんのお話ではありません。

火曜日は予約の診療日でした。
柳田先生が留守番してくれていました。
馴染みのワンちゃんが、竹串と鶏肉を誤食して来院したのです。
レントゲン撮影したら、立派な骨が映ってきてしまいました・・・。

夕方から緊急に手術になったみたいです。
みたい・・・と書くのは、私は休日で病院には不在だったからです。
法事が近いため、床屋さんに来ていました。

幸い発見が早く、手術もうまくいったみたいです。
特に串は、消化管に刺さると大変です。
犬や猫は、異物(食品ではないもの)を意外と食べてしまう場合があります。
獣医さん的には、異物は診断が難しい場合があり、頭を悩ませます。

紐(ひも)状の異物が特に厄介ですね。
腸にからみつくと、すごく手術が大変です。
竹串の他に、ラップや軍手、タオル、化粧パフ、ビー玉、コインなど、
いろんなモノが出て来たことがありました。

命に関わる場合もあるので、飼い主の皆さん、特にテーブルの上やゴミ箱の注意してください。
異物は本当に、おっかないのでね。
よろしくお願いいたします。

骨盤骨折・・・

2010-10-04 21:07:41 | Weblog
日帰りで、犬を連れての依頼手術・・・。
ちょっとお疲れの、院長・浅井です。

今日は、月イチミーティングの日。
細かく気づいたことを、熱く若い方に語ってはたして伝わったんだろうか?
少々、不安になりますよ。

さて先日、避妊手術と内股のヘルニア(そけいヘルニア)の手術をしたダックスフントのメルちゃん。
抜糸の日を前に、遠方の自宅近くで車にひかれてしまいました。
近くの獣医さんで応急処置を受け、
翌日来ていただいたら、なんと骨盤が粉砕骨折!
はてさて、どうしたものか・・・。

坐骨や恥骨がバラバラで、左の腸骨(腰の骨)がズレていました。
私の技術の範囲を越えていましたので、骨折が専門の先生に電話して、
翌日には無事に手術が成功して、今はもう病院でごはんをしっかり食べています。
よかった、よかった。

お母さんが、夜で車も来ないからと、ちょっと放してしまったみたいなんです。
軽トラックにはねられたそうです。
でも、命に別状がなくて幸いでした。
今のところ、足の神経に障害も出ていないようです。
不幸中の幸いというか、麻酔がかけられないような重大なダメージがおきていませんでした。
このあたりに、メルちゃんの運の強さを感じます。

10月2日に日帰りで、整形外科が専門の病院に持って行き、そのまま手術。
飼い主さんも来てくれて、現地で手術が終わるまで、待機していてくれました。
覚醒後、ゆっくり運転で連れ帰りました。
手術も手伝って朝から強行軍だったので、少々お疲れです。
でもベストを尽くして結果が出ているので、満足感のある疲労ですね。

メルちゃんも飼い主さんも専門の先生も、皆さんがんばりました。
痛み止めが効いているのか、バクバク食べてくれています。
しっかり治して、早く帰ろうね。


7テスラMRIに入ってきました

2010-10-02 02:00:34 | Weblog
新潟大学に設置されている、国内最大規模の7テスラMRIにボランティアで入り、自分の脳を撮影してきました。アルツハイマー病の研究の一環として、40歳代の人の脳のmicroscopy(顕微鏡画像)が得たかったようです。脳のある特定の部位を、強力なMRIを用いて拡大・詳細な画像を得て、研究に役立てようということのようです。研究ボランティアとして登録していたため依頼があり、今日機械に入ってきました。

私も実際の診療で、特に脳の詳細な画像が必要な場合があります。年に数回、東京の獣医大学などまでわざわざ運んで、犬や猫のMRI画像を撮影し、診療に役立ててきました。おそらく新潟県にいる獣医さんとしては、初めにMRIを撮影して臨床に役立てたのは、私だろうと思います。初めての患者さんは猫で、進行性の斜頚が生じ、撮影してみたら中耳を中心とした腫瘍が確認されました。この子は病理解剖までさせていただき、扁平上皮癌の骨浸潤でありました。

その後は、肺癌や脳幹部の髄膜種(この子は放射線治療で復活しました)、下垂体腫瘍(猫では稀なクッシング症候群)、脳の脈絡膜腫瘍など、時々持ち込んではMRI撮影し、診断を得てきました。CTとはまた違う特徴の画像ですから、いろいろ判明することが多く、現代の医療機器のすごさを体験してきました。

今回は基礎データをとるための研究の一環ですが、通常の3テスラMRIも撮影していただきました。後から、ヤバいですよ・・・なんて診断が来ないか心配してしまいます。自分の脳の画像をプリントしてもらい、いただいてきました。俺の脳みそって、こんなんなんだ・・・。自分では見れない世界ですから、個人的にはびっくり、スタッフの方々は興味なし・・・、病院の待合にでも掲示しておきます。興味ある方(普通はないでしょうが)、私の脳のMRI画像を見てみてください。