日々の出来事

当院の出来事を紹介します

かわいそうに…

2010-10-08 12:13:19 | Weblog
先日ご紹介した、前足の血栓によると思われる血行障害の猫ちゃん。お薬などで治療頑張ったのですが、かわいそうなことに腕が壊死してきてしまいました…。
心臓に心筋症という持病があったようで、これにより血栓ができて飛んでいき、動脈に詰まってしまったのでありましょう。

私は26歳の時に、同級生の親友を、この猫ちゃんと同じ病態で亡くしています。血栓の原因は心筋症ではなく多血症でしたけど…。初めは足の動脈に血栓が詰まり、その後多発性にあちこちで梗塞を起こして、一週間の入院で亡くなったのでした。今でも昨日のことのように思い出しますね。

友の形見のトロンボーンを、自分の机の脇に置いて日々を過ごしています。

胸腺型リンパ腫

2010-10-08 01:37:14 | Weblog
昨日、初診でいらした猫は猫白血病ウィルスが陽性で、胸水が貯まっていました。
胸水を抜いて呼吸困難を解消しつつ、胸水の沈渣を塗抹し染色して顕微鏡で観察しました。
予想通り、リンパ腫の細胞が多数出現していました・・・。

血液検査でも、末梢血中に少数ですがリンパ芽球が出ていました。
ステージⅤという状態です。
猫白血病ウィルスは、外に出る猫が発病しないで持っていることが多いです。
この猫ちゃんは、子猫の時にいただいて来た猫で、外に出た事はないそうです。
母猫がすでにウィルスを持っていたためによる、垂直感染があったと判断されます。
授乳を介して感染してしまう、とされています。

5年間、何もなかったようですから、よくもっていたほうだと思います。
通常はもっと早く発病して、何らかの症状が出て来るものです。
貧血が多いですが、風邪が治らない、などという場合も感染が背景にあることがあります。

この子は、避妊手術もしていませんでした。
初めにかかった獣医師の説明が、不十分だったのだと感じます。
猫白血病ウィルスや猫免疫不全ウィルスについて、説明しておくべきだと思います。
初めのワクチンで猫が病院嫌いになってしまったみたいなのです。
それで動物病院には、その後行かなかったみたいです。

初めにかかった獣医師の初期対応の違いで、人生が変わってしまう場合があるのです。
運の一つではあるんですけどね・・。