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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第11章—2 魔性シュリリスとナイトメアランド

2019-03-04 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「誘いをかけるもの」夢魔の女王“ジル”・シュリリスは、四天王の内、三人までも眠眠に破れたことにショックを受けていた。「不思議じゃ・・・・・・なぜ、人間ごときに?」黒不死鳥フェルミナの頭をなでながら、つぶやいた。
「ミホシムにも分かりません。ですが、あの娘も夢魔の血筋かも?」魔法使いの衣装に緑色の光の輝きをまとった「惹き付けるもの」ミホシム、目深に帽子をかぶったその姿はさながらマレフィセントであった。
「終わったことを悔やんでもしかたない。深層心理の底に沈んだ夢魔は、人間共の妄想が高まればまた生き返る。あの娘はナイトメアランドに向かっている。対峙してみればおのずと正体も分かるというもの。さあ、お主はアポロノミカンランドへ向かうがよい」

 シュリリスは、精神世界研究を行うナイトメアランドのメカニズムを利用し、世界中のテロリスト、独裁者、野心家に「怒り」と「憎しみ」を送り続けた。そうした感情がさらに人々の「恐怖」と結びついた時、民族単位、国家単位でこの世の地獄を現出させる準備が整うはずであった。
 彼女は、かつて男性夢魔インキュバスと女性夢魔サキュバスを束ねる立場であった。自身エロチックそのものを具現化した姿と言われるが、相手によって理想の姿を取るために真の姿は誰にも分からない。だが、いったんキレると相手を容赦なく切り裂く。
魔性シュリリスはかつて降臨した姿が、シリアルキラー「切り裂きジャック」であった。1888年8月末から11月初頭のわずか二ヶ月間に次々メスで喉を掻き切って殺害後、身体の一部を取り去る手口で売春婦ばかりを殺害し、イギリス「霧の都」ロンドンを恐怖のドン底に陥れた。
 三件目の殺人直前に、犯行声明を新聞社に投書し『劇場型犯罪』の元祖と言われた。「彼」が行ったとされる犯行は五件だが関係を疑われている事件も多く、それらを含めれば被害者は約20人とも言われる。
 ロンドン市警とスコットランドヤードが、面子をかけて医療関係者から皇室関係者まで犯人捜しをしたが逮捕に至らなかったのも道理。シリアルキラーの正体こそ、『切り裂きジャック』ならぬ不眠症の美少女に取り憑いた『切り裂きジル』ことシュリリスだった。本来、淫夢で人々を楽しませる夢魔の女王が、悪意に満ちた人間たちと交わることで自ら気づかない内「影の人格」ジルを育ててしまったのであった。
実は、殺害した中年娼婦たちが「夢売り少女(fantasy girls)」と自称していたことが許せなかったことが動機だったとは、今に至るも知られていない。

     

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