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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第4章−2 ポシー・コミタータス(再編集版)

2016-12-29 00:00:07 | 私が作家・芸術家・芸人
 第五期に入って、KKK団は他の極右団体と連帯を図るようになる。
 たとえば、1960年代に設立されたアメリカにおけるKKK団と並ぶ強大極右組織「ポシー・コミタータス」である。この団体のメンバーたちは、政治はローカルなものだと考えており、選挙で選ばれる各地の保安官こそ最高の行政官であり、カウンティと呼ばれる各郡では、保安官が連邦や州政府の影響なしに自由な権限を持つべきだと考えている。白人こそがイスラエルの失われた支族の子孫であり、ユダヤ人は悪魔から派生しており、黒人その他の少数民族は人間以下であると考えていた。さらに、一部のメンバーは戦争や災害に備えて生き残るために、食料備蓄や武装する必要を信じるサバイバリズムを信奉している。1976年のFBIの報告書によれば、当時すでに全米で1万二千人から5万人のメンバーとさらにその約十倍のシンパがおり、二十三州に七十八の支部があると言われていた。

 先ほど触れたKKK団第五期の理論家の一人ボブ・マイルズは、ミシガン州フリントの出身であり、KKK団内部の対立を解消して、他の人種差別団体との連携をかけて実現させることに貢献した人物である。
 KKK団は、非合法組織の常でさまざまな符牒を用いていた。自分たちにだけ通じる表に出せない言葉を共有することで、裏のきずなを強めようとする儀式のようなものだった。彼らは、全米組織をエンパイア、全米の長をインペリアル・ウィザード、特定の州組織をレルム、各レルム長をグランド・ドラゴンと呼んでいるが、マイルズはミシガン州のグランド・ドラゴンにまで上り詰めている。マクミラは、マイルズがまとめあげた暴力的な非合法活動組織のノウハウと、白人国アメリカの将来のビジョンを知りたいと思ったのであった。
 マクミラは、人種対立をあおったり騒乱の引き金を引いたり、これはと思う人材を発掘するために、極右団体と交流を持った。しかし、人材発掘の可能性に関しては絶望的だった。実際、人類にとっては幸運だったのは下司な集団には光る人物は全くいなかったからだ。優秀な人間は自分の意見をはっきりと主張する傾向があり、必ずしも組織には向いてはいなかった。
 マクミラは、人間を見ていて興味深いと思った。いかなる集団であっても、優秀な人間などまず10人に1人もおらず、せいぜいマシな人間が3割、普通の人間が3割、ひどい人間が3割というのがマクミラの評価だった。
 興味深いのは、最もひどい人間はレベルが低すぎて自らのレベルを認識できずに「自分こそ優秀」と勘違いしている点だった。少しマシな人間も、優秀な人間の匂いだけはかぎつけて、陰で悪口を言ったり足を引っ張ることに血道を上げる。結果として、たまたま指導する者も優秀でない限り、優秀な人間は才能を伸ばすよりもつぶされることが多かった。自分のベストを他人がやすやすと超えていく時、それを努力と才能の結晶と呼ぶことができずにあらさがしをする輩のなんと多いことか! まるで彼らの活躍が親の仇でもあるかのように。ところが、普通の人間は概して謙虚であり勘違いもしないために正しい判断をすることが多かった。結果として、ほとんどの集団ではねたみとそねみがメンバーの行動原理になっていた。


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